大型連休中の日経新聞1面に、目を引く記事が掲載されました。
議論の活性化につながるでしょうか。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
私立の玉川学園(東京都町田市、小原芳明理事長)が秋入学(9月始業)の導入に向けて文部科学省と協議していることが分かった。小学校教育の開始を半年繰り上げ、高校まで学ぶ「初等中等一貫教育学校」構想だ。国際標準の9月始業・6月終業、高校は6月卒業とする。2023年度にも発足させたい意向だ。
1面に掲載されたのはやや小さめの記事でしたが、
詳細は別の箇所に。
それが以下の記事です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
玉川学園ではこの幼小中高一貫教育を「K-12」と呼んでおられるようです。
大まかなしくみは下の図が分かりやすくなっています。
幼稚園年長児(5歳)は9月から小1の学習を始め、翌年6月で1学年を修了。
9月から2学年に上がり、高校までの教育課程全体を半年前倒し。
高校卒業を6月とすることで、夏休み明けに海外大学に進め、
国内大学に入る場合は入学前の時間を多様な活動に使える、
という目論見です。
ちなみに玉川学園は幼稚園から大学院を擁する総合学園で、
幼小中高の総定員は2480人と紹介されています。
いわゆる中高一貫校においては、すでに学年を先取っての学習進度が
実現していると思いますが、12年間となるとなおのこと自由度が上がります。
同学園では、この取組を通じて履修主義から修得主義への転換も目指す、
としていて、理解度を重視して枠組みを整えておられるようです。
一方で、この制度は現在の法律では認められない内容です。
現行の学校教育法では、義務教育の開始は
「満6歳に達した日の翌日以降の最初の学年の初め」とされ、
同法施行規則も学年の始業は4月1日と規定しています。
これに基づいて、中高も4月入学・3月卒業となっています。
つまり、法律改正を前提としたしくみを作った、ということですね。
これこそ、私学の進取の精神の真骨頂、と言えるかもしれません。
このこと自体の善悪や良否についてはいろいろな見解があるかもしれませんが、
こういったチャレンジは各私学でぜひ積極的に展開していただきたい、
と私は思っています。
貴校園では、理想や理念に真摯に向き合えているでしょうか。
できない理由を並べているだけでは議論は制約を帯びるばかりです。
自校園の目指す教育を実現するためにどうしたらいいのか。
できる方法を見つけてやるんだ、という意識が、
大きな壁を崩してくれるのではないでしょうか。
(文責:吉田)