久しぶりに、日経新聞の連載「やさしい経済学」からの記事を採り上げます。
昨日のブログとは全く異なる記事なのですが、
共通点は多くあるように思います。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事は冒頭から強い口調で始まっています。少し引用します。
多くの企業経営者は「我が社でも人工知能(AI)を活用しろ」「社内データをもっと生かせ」と声高に叫び、推進するための組織を設けます。データやAIの活用が目的ならば、それは正しいでしょう。
しかし、それだけでいいのでしょうか。データ革命は企業の経営環境を激変させます。データやAIを活用して業務改善しても、ビジネスモデルそのものが時代に取り残されれば、競争力は失われます。データやAIがビジネスにどのような影響を与えるかを先読みし、その布石として何を目指すかを定め、それに沿って企業という船の進行方向を変えることが大切です。それができるのは、船長である経営者だけです。
昔から言われている「目的」と「手段」の関係がここにもみられる気がします。
AIやデータというのはあくまでも手段。
何らかの目的があってこそ役に立つものです。
が、手段が先行してしまい、目的が不明確なまま、
といったケースは決して少なくありません。
目的を示すことこそが経営者の役割、と
この記事は示唆しているように思います。
最新の技術を活用するために経営者がなすべきことは何なのか。
この記事には以下の2つが指摘されています。
1つは、「経営ビジョンの明確化」。
データ時代における自社の強みを見極め、過去の成功体験と決別して、ゼロベースで目指すべきビジネスの形を考えなければなりません。経営者は自らの頭で考え抜き、社員や株主に伝わるほどの信念を抱かなければならないのです。
そしてもう1つは、「変革できる企業体質に変えること」です。
企業体質とは全社員の心に宿るもので、一朝一夕では変わりません。でも、経営者がトップダウンで変革を促せば、企業体質は変わり始めます。自律を目指した組織のフラット化や、人事制度における変革者の優遇、経営会議におけるファクトベースの徹底により、企業体質は変えられます。
この記事は一般営利企業を念頭に書かれたものではありますが、
私学経営者にとっても気付きが多いのではないでしょうか。
学校は大型船に例えられます。
一気に舵を切ることはできなくても、
操舵でその進路を少し変えることによって、
数年後には異なる目的地へ到着するものです。
進路を示すこと。そして風土を変えること。
経営者にしかできないことが、私学にもたくさんあるはずです。
(文責:吉田)