企業が対象になっていますが、私学もひとつの経営体として、
同様のことが言えるのではないでしょうか。
日経新聞より。
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人材育成をはじめとする「人への投資」に投資家が関心を高めている。社員の能力や人材戦略を見極めなければ企業の実力は測れないとの見方が強まったためだ。人材力は財務諸表には表れにくい。オルタナティブ(代替)データで分析したところ、若手の成長を重視する企業などで株価や業績が高まっていることがわかった。
日興アセットマネジメントのファンド、
「日本株人材活躍戦略」は2021年1月から運用を開始。
その狙いは「人への投資」に優れた企業に集中投資することで、
従業員の増減や人件費などの情報から企業の人的投資効率などを算出し、
スコア上位に投資するというものです。
1998年以降の過去データでは、このスコア上位20%の累計投資リターンは
なんと「28%」。最も低い企業群は「マイナス25%」。
顕著な差が出ていますね。
また、社員や元社員が5段階で評価する「企業評価スコア」と、
業績や株価の関係を分析した結果も記事には掲載されており、
「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しのよさ」「社員の相互尊重」
「20代の成長環境」「人材の長期育成」「法令順守意識」「人事評価の適正感」
の8項目に「総合スコア」を加えた計9項目で、
2021年時点での上位20社と下位20社に分けて調べた結果が
下のグラフの通りです。
この分析では、業績向上に個別のどの項目が効いているのかを探っていて、
その結果、1人当たり売上高の伸びと「20代の成長環境」の関連が高いこと、
株価が「人事評価の適正感」の影響が最大だったことが分かったそうです。
下のグラフを見ると、「人材の長期育成」「社員の士気」も
かなり強い相関があるような気がしますね。
そしてもうひとつ、人材育成というのは
「やっている側」と「見ている側」では認識が異なっている、
という結果が下のグラフから分かります。
どれだけIT化が進んでも、やはり企業活動にとって人は重要、
というのが外部からの見方、と言ってよさそうな気がします。
さて、この記事を私学関係者の皆様はどうお読みになりますか。
私学に株価などないのだから、業績など関係ないのだから、
企業価値を上げることは二の次でいい…のでしょうか。
私学にとっての直接的な評価はおそらく「2つの募集活動」、
すなわち「生徒募集」と「教職員採用」に現れると言えるような気がします。
教職員への投資が「給与」に振り切れすぎている、
ともいえる私学において、本当の意味での「人への投資」が
十分な学校法人はまだまだ少ない気がします。
学校の価値を高めるためにも、人への投資について、
改めて考えてみませんか。
(文責:吉田)