以前も採り上げた、小学校の教科担任制について、
別の記事が挙がっておりましたのでご紹介します。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
各教科を専門の教員が教える「教科担任制」が2022年度をメドに小学校に本格導入される見通しだ。その具体策を話し合う文部科学省の検討会議の議論がこのほど始まった。教員の確保をはじめ課題は多く、全国の小学校で実施する体制づくりがどのように進むのか注目される。
この記事では、群馬県の公立小学校に勤務する金井先生が登場します。
6年3組担任の金井先生は算数を担当し、
6年生3クラスの算数の授業を全て受け持っておられます。
担任のクラスでは体育、道徳、総合的な学習の時間と学級活動も担うのですが、
国語や理科、社会などは他クラスの担任や担任を持たない専科教員が教えている、
とのこと。
「授業の質が格段に充実した。分かりやすい授業ができていると実感する」。
(中略)
金井教諭によると、担任が基本的に全ての教科を受け持つ学級担任制との違いは大きい。算数の教材研究に集中できるようになり、日中、授業のない「空き時間」もできた。新しい授業の進め方を考えたり、児童一人ひとりに配れる数の教材を作ったりする余裕が生まれた。「もし学級担任制に戻り、国語や図工の準備もしないといけなくなったら、かなり負担を感じるのでは」と語る。
「中1ギャップ」の解消策、「確かな学力」の育成、
さらに近時は「教員の働き方改革」といった観点から、
公立校に導入が進む小学校の教科担任制。
私学では当然のように実施されているケースが多いようにも思いますが、
今回の記事ではその課題についても指摘があり、
参考になるところもあると感じます。以下、引用します。
教員の持ちコマ数を減らして空き時間を生むには手厚い教員配置が必要だ。富岡小は加配された教員4人を理科や英語の専科にしている。品川区や茨城県守谷市など先行実施している自治体は任期付き教員を独自に採用している。
最大の課題は教員の数と質の確保だろう。文科省はグローバル人材育成やプログラミング教育に関連する英・算・理3教科を対象とすることなどで財政当局の理解を得たい考えだが、実現には曲折もありそうだ。
増員する教員の専門性を担保するため、採用時にどのような要件を課すかも焦点。「当該教科の中学校免許保有」などが挙げられているが、条件が厳しいと採用が難しくなる恐れがあり、(以下略)。
ここまでは経営上の観点ですが、忘れてならないは子どもたちの視点です。
学級担任制からの移行に際して注意すべき点もある。仙台市教育委員会が今年1~2月、教科担任制を本格実施1年目の小学校7校で実施した意識調査の結果によると、授業ごとに先生が替わることについて「教え方が違うので戸惑うことがある」とした児童が全体の37%いた。変化に対応できない子どもが一定数いる。
「担任以外の先生とも話や相談がしやすくなった」と思う児童は62%、思わない児童は38%。高学年は思春期にさしかかる時期で、子どもが相談相手を選べるようになるのはよい。半面、担任を頼りにしている子にとっては相談機会が減る恐れもある。
記事では、子どもたちの不安を取り除くための方策として
「教員間の情報共有」が挙がっていますが、それは当然として、
各校園でのさらなる工夫も必要になる気がします。
貴校園はどのようにして質の高い教科担任制を実現していますか?
今一度、確認してみていただきたいと思います。
(文責:吉田)