通信制高校が私学にも増えているようです。
日経新聞より。
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少子化による学校の統廃合が相次ぐ中で例外的に増えているのが通信制高校である。1989年度には全国で84校だったが、30年後の2019年度には3倍の253校に増加した。とりわけ私立校の増加が著しく、30年前の17校が175校と10倍以上に増えた。
皆様ご承知の通り、少子化が深刻な昨今、
私学のマーケットは縮小を続けていて、
この30年で、高校生の総数は約581万人→336万6千人と4割以上も減少しています。
これに対し、通信制課程の生徒数は16万4千人→19万7千人と増加。
全生徒数に占める割合は2.8%→5.9%へと2倍以上になっています。
もともと通信制高校は、全日制に通えない勤労青少年のために設置されましたが、
高校進学率が9割を超えてくると、不登校生や、
学業成績が低く全日制に進めない生徒の進学先や転入・編入先としての
存在へと変わってきていました。
ところが近年、通信制の魅力をより積極的にアピールしようとする動きが
出てきています。すでに有名になったN高がそのひとつでしょう。
同校は仮想現実(VR)の技術を活用した「バーチャル入学式」「ネット遠足」、株式投資の人材を育てる「N高投資部」などで注目を集めてきた。校長の奥平博一氏は雑誌オンラインサイトの記事で、N高は「通信制の制度を使った新しい教育を提供する学校」であると語っている。こうした宣伝が奏功し、20年1月時点で1万2414人の生徒が学んでいる(同校ホームページより)。
私立の通信制が拡大している現状を把握するにつけ、
学習のカタチ、教育のカタチがこれまでとは変化していることを
思い知らされます。
私学は公立校に比べると柔軟な運営が可能ですから、
通信制の取組を参考にしながら、新たな学校の枠組を模索することもまた
学校経営にとって大切なのかもしれませんね。
ただ、私がひとつ気になるのは、学校という場の大きな特徴である
「集団生活」「人との交わり」による学びが、
どのように担保されるのか、という点です。
そのような場が苦手という子どもたちがいることは理解できるのですが、
社会は人との接点なしには過ごしていけないものだとも思います。
そう考えると、学校は失敗が許される場として、
緩くであっても集団生活を経験することが必要な気もするのです。
学校の枠組について、正解のない中で今後も試行錯誤が続くでしょう。
そこには柔軟な考察があってほしいと願いつつ、
学校が存在する本来の目的にもしっかりと目を向けていただきたいと思います。
(文責:吉田)