寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

スクールカウンセラー実践活動事例集

先日、学生時代の仲間たちと久しぶりの再会を果たしました。

私が所属していたサークルの同期メンバーは、

その多くが関西を離れてしまい、 すぐに集まれるのは10人未満。

その時に集まったのは5人でしたが、私自身は

ずいぶん久しぶりの顔も多く、懐かしさを感じながらも

ほんの数分で当時の空気感を取り戻しました。

 

そして、そんな仲間の一人は現在、

スクールソーシャルワーカーとして某市に所属していることを知りました。

昨今の社会構造の中で、子どもたちは様々に苦しんでいる…

その最前線にいることの大変さを味わいながらも、

友人は大きなやりがいを感じているようでした。

 

子どもたちの学習環境整備という観点はもちろん、

教職員の勤務環境を整える意味においても、

学校におけるカウンセラーの存在は重要性が高いように思います。 

そして、良し悪しは別として、私学においても

スクールカウンセラーの活躍の機会が増えている印象があります。

文科省HPにその事例集が掲載されていましたので、ご紹介いたします。

 

平成28年度スクールカウンセラー実践活動事例集:文部科学省

 

本資料には各都道府県の取組概要が同じフォーマットで記載されており、

公立校の事例のみが掲載されていますが、

【3】スクールカウンセラー等の活用事例

【4】成果と今後の課題

の2項目については、 私学においても十分参考になると感じました。

ここでは内容の詳細には触れませんが、子どもたちが苦しんでいる事案が

赤裸々に記載されていますので、ぜひ本資料をご一読いただければと思います。

 

それにしても、このレポートを読んでいると、

カウンセリングが必要な事例がこれほどまでに多いこと、

そしてこれほどまでに深刻な内容であることが分かります。

スクールカウンセラーのお仕事の重みを感じるとともに、

1件でもこれらの事案が減っていくことを願わずにいられません。 

  

 (文責:吉田)

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受験年齢要件の緩和進む、公立学校教員採用試験

4月になり、2019年卒採用の内定を出す企業も増えています。

今年も売り手市場が続いており、採用に悩む企業が多い中、

一般企業同様、教職員確保が難しい学校法人も多いのではないでしょうか。

 

実際、教職員試験採用試験の受験年限を引き上げる自治体が増えています。

www.sakigake.jp

www.asahi.com

(会員限定記事となっております。ご容赦ください)

 

文部科学省でも、各都道府県・指定都市教育委員会が実施した

公立学校教員採用選考試験に実施方法について、例年調査を行っており、

平成30年度採用選考の実施方法が取りまとめられています。

 

平成30年度公立学校教員採用選考試験の実施方法について:文部科学省

 

調査結果によると、受験年齢制限なしとした県市は32県市(前年は28県市)に拡大とあります。

確かに、受験年齢制限なしとしている県市は毎年拡大しており、

平成29年度は28県市、平成28年度は25県市、平成27年度は21県市で、

近年、3~4県市ずつの増加となっています。

 

これだけ受験年齢要件の緩和が進むということは、

それだけ採用が年々難しくなっていることの表れだと考えられます。

しかし、年齢要件を緩和したものの、受験者数の増加に至っていない自治体もあり、

人材確保はなかなか解決に至らない問題なのだと感じます。

 

私立学校においても、公立学校同様、人材確保が難しくなっていることと思います。

受験年齢要件のみで解決する問題ではないかもしれませんが、

まずは受験要件の緩和を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

(文責:長森)

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セミナーをふりかえって

先週金曜日、弊社主催セミナーを開催いたしました。

 

2018年度最初の学校経営セミナー、タイトルは

「経営者と管理職のための学校法人会

 ~学校の決算書のポイントを知ろう~」。

新年度の多用な時期、ご参加いただく皆様には

お忙しい合間を縫って…になりはしないか、

と心配したのですが、お申込は数日前に定員に達し、

HPでも「満員御礼」を表示させていただきました。

(お申込みいただけなかった皆様、申し訳ございませんでした)

 

 

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(当日の風景です)

 

「決算書を読む」となると構えてしまう方も多いと思いますが、

それほど高い技術が必要なわけではありません。

 

今回のセミナーでは決算書の構造と特徴を踏まえたうえで、

決算書を読み、分析する際に留意する点について考える機会を持ちました。

架空法人の決算書をお配りし、グループごとにその分析を行い、

さらには経営課題を抽出していただきました。

 

 

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(グループワーク、盛り上がっております)

 

今回のセミナーでは、会計情報を経営に活かすために、

管理会計・意志決定会計という考え方についてもご紹介いたしました。

経営課題を抽出するのに必要なことは「目標設定」。

目標と現状の間にあるものこそが「課題」であり、

その意味においては、課題は達成すべき目標に向かうために存在するものです。

教職員の採用、施設整備等、学校法人において投資案件はいろいろありますので、

それぞれの案件について検討する際に会計情報をうまく活用していただけるよう、

そのポイントをお伝えしたところです。

 

堅いテーマでのセミナーでしたが、アンケートには

・学校の経理の特徴をつかめたのは大きな収穫でした。

・予算、決算の際、理事会のプレゼンテーションで活用してみたい。

・分析資料がとても参考になる。自学園でも活用します。

といったご感想をお書きいただき、ホッとしています。

 

次回は5月16日(水)、「働き方改革」をテーマに実施予定です。

受講をご希望の方はお早めにお申込みくださいね。

 

(文責:吉田)

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大阪府、府立学校における「働き方改革」に係る取組みについて

2017年、年間流行語大賞にもノミネートされた「働き方改革」。

今年も、スポーツ庁策定の「部活動の在り方に関するガイドライン」や、

勤務実態把握のためにICカード導入を決めた自治体などもあり、

働き方改革は、話題の中心となっています。

 

ただ、学校における働き方改革は、企業のそれと比べるとまだまだこれからの取り組みである感が否めません。

大阪府では、この3月に教育庁から「府立学校における働き方改革に係る取組み」が公表されました。

 

府立学校における働き方改革に係る取組みについて

 

概要を抜粋し、転載いたします。

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今回、公表された取り組みの中では、

定時出退勤日や、ノークラブ―デー(週休日)の導入の「検討」となっており、

具体的な対策を実施する、といった決定までは来ていませんが、

大阪府に先行して部活休養日を導入した市町村もあり、

今後、自治体の動きが更に活発になってくるものと考えられます。

 

働き方改革は、部活だけが問題ではなく、さまざまな要素が絡み合っていますので、

一朝一夕で解決できる課題ではありません。

自治体の後追いにならないよう、私立学校においても対応が必要ではないでしょうか。

 

そんな私立学校のみなさまの「働き方改革」の一助となるべく、弊社では

「学校における働き方改革と実践のポイント

 ~長時間労働を是正するための7つの段取力~」と題しまして、

セミナーを開催いたします。

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このセミナーでは、学校や幼稚園の業務特性を踏まえ、

限られた時間で成果を上げるための方策について考えます。

他校の現状や、働き方を変える方法についても考えますので、

みなさま、せひご参加ください。

 

(文責:長森)

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和式が約6割!小・中学校のトイレ事情

学校施設の中でも、「トイレ」は重要です。

一日の中で、トイレは必ず利用するものですよね。

そんな学校のトイレ事情が新聞記事になっていましたのでご紹介いたします。

 

mainichi.jp

 

文部科学省が2016年の4月に実施した調査では、

全国の公立の小・中学校に設置されている便器、139万7,019個のうち、

洋式便器が60万5,322個、和式便器が79万1,697個で、

洋式トイレ率は43.3%でした。

 

公立小中学校施設のトイレの状況調査の結果について

 

公立の小・中学校のトイレの洋式化が進んでいるとはいえ、

正直、もっと洋式トイレが設置されているのではないかと思っていました。

半数以上が和式トイレであるという調査結果に驚いています。

 

記事にもあるように、学校のトイレというのは、

「5K(汚い、くさい、暗い、怖い、壊れている)」

の印象が強かったのですが、

2011年の東日本大震災以降は、

地域住民の避難所として活用されるようになり、利便性を求める声に応じ、

トイレの洋式化に力を入れる自治体も増えてきています。

 

1996年に発足した、トイレ関連企業でつくる「学校のトイレ研究会」では、

さまざまな学校トイレ事例が紹介されています。

 

大阪府立泉陽高等学校

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窓からの明かりが上手に取り込まれており、雰囲気が明るいですし、

床がタイルではなく乾式になっており、衛生にも気が配られています。

 

それ以外に、私立学校のトイレ事例もあります。

 

学校法人常翔学園常翔高等学校

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広い窓から差し込む日差しで、開放的で明るいトイレですね。

こちらは、高層階だからなせる業かもしれませんが…。

 

常翔学園の生徒の皆さんが、

トイレのアンケートに答えていますので、そちらもご紹介。

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このアンケートによれば、

全身鏡や自動で水が出る蛇口、擬音装置や温水洗浄便座など、

百貨店やホテルのトイレと同等の機能を喜んでいる生徒が多いようです。

 

トイレは、学校説明会などで児童・生徒だけでなく、保護者も利用する施設です。

学校の建替えや施設整備の際に、トイレのこともしっかり検討してみてください。

 

(文責:長森)

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大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査

まずは今週金曜日の弊社セミナーですが、昨日の時点で満席となりました。

お申込みいただきました皆様、ありがとうございます。

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現在、キャンセル待ちでの受付とさせていただいております。

どうかご容赦ください。

 

 

さて教職協働、という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。

恥ずかしながら私、耳馴染みがありませんでした。

が今回、文科省HPにこんな調査結果の報告が掲載されました。

 

「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」調査報告書

 

この報告書はなかなかのボリュームですので、

ざっとご確認いただくには「概要版」が便利です。

 

「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」概要版

 

まずは結論から見ておきましょう。

概要版には「まとめ(先進事例の特徴)」というページが入っていますので、

そちらを引用してみます。

 教職協働の方向性,事務職員像
・「提案力」「マネジメント力」「経営感覚」
・教員が大学という組織の中でチームとして働くための「つなぎ役」

 教職協働の進んでいる業務分野
(1)従来の教員業務を事務職員が行うケース
(2)大学における新しい業務
(3)事務職員が行っていた業務に教員が参加

 教職協働を促進する上でのポイント
・教職協働の促進する体制づくり
 ⇒方針決定のための会議に事務職員が参加
  教職協働によるチーム編成で大学運営業務にあたる
・教職協働に関する働きかけの方法
 ⇒「学生のために」を軸に共有
  教員には「根拠」を示すことが重要
  成果を上げて信頼を得る
・事務職員の育成手法
 ⇒OJT(ローテーション,実践型研修),教職協働による研修の実施,社会人大学院入学

これだけを見てもあまりよく分からないところも多いですが、

今回のレポートの特徴は、実例からあるべき姿を導いているところです。

実例として、以下の各大学での取組が紹介されています。

【国立大学】
東京大学「プロフェッショナル人材の育成・確保」
愛媛大学「教職員が協働して研修を企画・運営」
公立大学
国際教養大学「教職協働で学生に深くコミット」
首都大学東京「管理職育成を見据えたキャリアパス
【私立大学】
共愛学園前橋国際大学「教職一体ガバナンス」
桜美林大学「提案型職員が活躍できる体制に」
芝浦工業大学「教職協働トップランナー
武蔵野大学「全学プロジェクトを教職協働で実施」
早稲田大学「プロジェクト型研修によるマネジメント力開発」
日本福祉大学「経営と教学をつなぎ,意思決定を支援」
立命館大学「事務職員の計画的力量形成と全学意思決定への事務職員の参画」
追手門学院大学「アサーティブプログラム・アサーティブ入試」
森ノ宮医療大学「経営的視点をもつ教職員の育成」
【参考事例】
・ある事務職員の教職協働に関する事例(愛知教育大学

実例を個別に見ていきますと、「教職協働推進のポイント」が書かれています。

その中には、

  • 事務職員主体での意思決定に抵抗がある教員もいる
  • 事務職員が実力をつけることが重要。教員から見て「彼・彼女に任せておけば大丈夫だ」と思ってもらうことが必要
  • 話し合いのルール作りを行うこともある。例えば「相手を否定しない」「建設的な意見を言う」など
  • 教員の思考法(仮説を立てて実証・検証する)を理解し,事務職員側も,物事を進める際は根拠となるデータを提示して教員の理解を促すことが重要

といったコメントが見られ、教員と職員の協働には壁があるケースが多い一方で、

それを打破するための様々な工夫も見られます。

 

病院では医師と事務職の間に溝があるケースが多いように、

学校でも教員と職員の間にいろいろな隔たりがあることも多いものです。

 

しかしながら、学校法人の存在意義はあくまでも

「子どもたち」「家庭」「地域」「社会」

といった、組織外部とのかかわりや繋がりの中にあるはずです。

 

とすれば、その目的に向かって組織が一丸となることは必要不可欠。

教職協働、という意識が大学のみならず高等学校等にも広がっていくことを

強く願っております。

 

(文責:吉田)

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「STEM教育」とは? プログラミングだけじゃない教育改革

人工知能やロボット技術の登場で「第4次産業革命」とも呼ばれるこの時代、

理数系教育はこれからの子どもたちにとって不可欠な教育ではないでしょうか。

そんな科学技術の発展に伴い、「STEM教育」の取り組みが増えています。

 

そもそもSTEMとは、

Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)の

頭文字を取り、統合的・体系的に学習するプログラムのことです。

最近では、Art(芸術)を加えた「STEAM教育」、

Robotics(ロボット工学)を加えた「STREAM教育」など、

さまざまなバリエーションが生まれ、概念を拡大しています。

 

みなさんもご存知の通り、教育界でよく引用される二つのキーワードがあります。

 

一つ目は、米ニューヨーク市立大学のキャシー・デビッドソン教授が、

2011年8月のニューヨークタイムズ紙インタビューで語った

「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」

二つ目は、英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が、

2014年の秋に発表した論文「未来の雇用」の中にある

「今後10~20年程度で、アメリカの総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い」

 

どちらも2030年までに大きな変化が訪れることを予想しています。

 

ちょっと、

「後10年程度しか残っていないじゃないですか…」

心の声が漏れ出てしまいました。

 

この二つのキーワードは文部科学省産業競争力会議ワーキンググループに提出した資料にも引用されており、学習指導要領の改訂の際にも議論されています。

 

産業競争力会議 文部科学省提出資料

 

これ以外にも、少し前にご紹介したブログでも触れましたが、

さまざまな取り組みが、事業者や学校から発表されています。

ysconsult.hatenablog.com

 

日本においては、

2017年10月に「日本STEM教育学会」が発足しています。

www.j-stem.jp

 

上記学会で3月に行われた研究発表会でも、

「STEM教育」は、教科を限定するのではなく、STEMリテラシーを育て、

大学やその後の職業に活かすことが提案されています。

 

今後はどの学校種においても、

文系・理系を超えて「STEM教育」が必要になる…とも言えるかもしれません。

ArtやRoboticsも含め、特色ある教育内容を検討されてみてはいかがでしょう。

 

(文責:長森)

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