寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

アフリカ、2050年に21億人

将来を見通すときに、最も重要な指標は「人口」ではないでしょうか。

日本国内はもちろん、世界の人口動態についてもある程度想定しながら、

学校経営を組み立てることが大切です。

では皆様、こんな見通しはすでにご存じでしょうか。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

国連の最新の予測によると、地域別で人口増のペースが最大なのが、サハラ砂漠以南のサブサハラアフリカだ。他地域に比べ高い出生率を保ち、2019年時点の10億6600万人から50年には21億1800万人に倍増する。2100年には約38億人と世界の人口の3割強を占める見通しだ。

 

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ここから30年で人口が「倍増」する地域。想像できますでしょうか。

上のグラフを見ても歴然ですが、アフリカの当該地域は

他地域での人口変動とは全く異なる動きをすることが推測されています。

 

ちなみにアジアの人口は、逆にあと30年で頭打ちになります。

現在はインド、中国など、アジア各国が世界有数の多人口地域なのですが、

そんな人口地図はあっという間に塗り替わっていくのです。

 

先日、テレビで「恐竜」を特集していたのですが、

恐竜の研究がここ数年で大きく進展し、

これまで常識と思われていたことがそうではないことが

次々に分かってきている、という内容を報じていました。

 

常識が覆っていくというのは、それほど珍しいことではなさそうです。

学校教育を受けてから時間が経った私たちには、

自分たちにとっての常識を当然のことだと思ってしまいがちですが、

未来の世界ではその常識がむしろ非常識になることは

よくあることなのだ、と思わされます。

恐竜しかり、人口動態しかり、そして学校経営もしかり、でしょう。

 

 

先入観をすべて捨て去ることは難しいかもしれませんが、

自分の価値観にはバイアスがかかっているという意識だけは忘れずに、

素直な気持ちで将来を見据え、

来るべき将来のために必要なことをゼロベースで考えていきたいですね。

人口はそのための貴重な基礎資料になることでしょう。

 

(文責:吉田)

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教員の勤務時間は最長

これまでもさんざん指摘されてきた、教員の長時間労働

最新の調査でもそれが裏付けられた格好です。

日経新聞より。

 

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OECD国際教員指導環境調査の結果から、日本の教員の長時間勤務は国際的にみても異例であることが分かる。1週間の仕事時間は小学校54.4時間、中学校56.0時間で、ともに参加国・地域の中で最長。一方で職能開発にかける時間は小中とも最短だった。

 

どんな調査だったのか、概要がネットに出ておりましたので、

以下に貼らせていただきます。

 

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中学教員の1週間の仕事時間のOECD平均は38.3時間。

そもそも平均は週40時間を切っていること自体、

日本とは勤務環境が大きく異なるように思えます。

 

日本では部活動などの「課外活動の指導」が7.5時間と、

OECD平均の1.9時間に比べると非常に長くなっています。

加えて、事務仕事の時間も長くなっていて、

「一般的な事務業務」は小学校5.2時間、中学校5.6時間。

中学については平均(2.7時間)の2倍を超えています。

 

一方で、短いのが研修などの「職能開発活動」です。

その時間数は、小学校で0.7時間、中学で0.6時間。

これに50(週)をかけると30~35時間ですから、

1年間でこれだけの職能開発しかできていないとすれば、

研鑽にかける時間は決して十分とは言えないのではないでしょうか。

 

 

同じような調査結果が次々と出ている中で、

学校現場での環境改善は進んでいるのでしょうか。

今回の調査結果では5年前とそう変わらない、

あるいはむしろ悪化しているようなところも見られます。

学校という職場の魅力を高められるよう、

各校園での取組が進むことを強く願っております。

 

(文責:吉田)

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日本の小中学校、デジタル教育遅れ

ICT、そしてAI。

今後に向けては避けて通れない、重要な技術です。

教育内容もこれを見越したものにすべきところですが、

実態はどうなのでしょうか。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください) 

 

経済協力開発機構OECD)は(6月)19日、2018年に48カ国・地域の小中学校段階の教員を対象に行った「国際教員指導環境調査」(TALIS)の結果を公表した。児童・生徒に情報通信技術(ICT)を活用する活動を頻繁にさせている中学教員の割合は17.9%で、下から2番目の低さ。社会のデジタル化への教育現場の対応が立ち遅れている実態が浮かんだ。


この調査は、国公私立の学校から小中各200校を抽出して実施されたものです。

 

課題や学級活動でICTを「いつも」または「しばしば」活用させている、

とした日本の中学教員の割合は17.9%で、前回より8.0ポイント上昇。

結構上がりましたね…と喜びそうになるのですが、

OECD平均は51.3%。

ちなみに、日本の小学校教員は24.4%。これも下から4番目になっています。

教育現場でのICTはまだまだ発展途上、と言えそうです。

それにしても、下表を見ると上位は70%を超えているんですね。

差は歴然、といったところでしょうか。

 

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その他、いくつかの項目について、記事に掲載があります。


○コンピューター、タブレット端末などのデジタル技術による学習支援が「非常に良く」もしくは「かなり」できているとした教員の割合

 →中学35.0%、小学校38.5%(OECD平均は中学で66.7%)

○ICT技能の開発の必要性について「高い」か「ある程度(感じている)」と答えた割合

 →中学で39.0%(前回調査比13.1ポイントアップ)

○中学で「明らかな解法が存在しない課題を提示する」指導を頻繁にしている割合

 →16.1%(平均37.5%)

○中学で「批判的に考える必要がある課題を与える」指導を頻繁にしている割合

 →12.6%(平均61.0%)

 

小中学校では、まだまだICTの活用余地が大きいようです。

さて、貴校園ではいかがでしょうか。

公立との比較では私学が優位に立っていそうなテーマではありますが、

私の肌感覚で言えば、そうとまでは言えない、というのが実態のような気がします。

旧来型の学習指導に内在する良さは当然引き継ぎながら、

新たな技術の活用が学習効果につながることもきっとあるでしょう。

柔軟な姿勢でのお取組を期待したいと思います。

 

(文責:吉田)

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働き方改革 実施46.6%

働き方改革はずいぶんと日常用語になりましたね。

さて、その実施もかなり進んだのでしょうか。

日経新聞に記事が掲載されていました。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

山田コンサルティンググループなどが中堅・中小企業を対象に実施した働き方改革に関するアンケートによると、改革に取り組んでいる企業は46.6%に上った。そのうち「効果が出ている」との回答はほぼ半数にとどまり、効果が出ている企業の46.9%が社長主導型。改革にこれから取り組む企業は39.8%、取り組む予定がない企業は13.3%だった。

 

とても興味深い調査結果です。

この調査は2018年11月~2019年1月に実施されたもので、

対象は中堅・中小企業1690社、回答率は36.9%とのことです。

 

まず、調査対象は中堅・中小企業ということで、

学校法人においても大企業より参考度が高い企業規模と言えます。

 

そして、取り組んでいる企業の割合は全体の約半分。

取組を進めている企業と、関心が薄い企業があるのもまた事実でしょう。

 

さらに、効果が出ている企業の半分近くが社長主導型。

トップダウンと聞くと抵抗感もあるかもしれませんが、

逆に言えば、働き方を本気で変えるなら経営陣が本気にならなければいけない、

ということを示してもいるように思います。

 

ちなみに、記事本文には「働き方改革の問題点」も記載されています。

・非効率な作業(39.8%、最多)

・特定人員の長時間残業(34.1%)

・業務の偏り(31.7%)

が3大項目になっています。そしてその原因は…

・人材の質的な不足・偏り(50.1%)

・人材の量的な不足(40%)

・社員の生産性・スキルの低さ(33.3%)

とのこと。

これらの課題を乗り越えることこそが働き方改革のような気がするのですが…

 

最後に、私が最も興味を惹かれた記事の箇所を引用して

本日のブログを終了します。

表面ではなく、本質の変化が必要であることがうかがえる内容です。

(太字加工は筆者によります)

効果が出ている企業と効果が見えない企業の取り組みを比べると、人員の増加や評価制度の見直しでは差がない一方、業務の削減・廃止、業務の棚卸し、サービス内容の見直しを実施した企業で効果が出ているとの回答が目立った。

 

(文責:吉田)

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キャリア教育遅い日本?

新卒採用、という枠組みが変化してきています。

各企業は、どんな人材を求めるのか。

企業自らがこのことを見つめ直しているようです。

学校もまた、採用が難しい昨今ですので、

きっと参考になることもあるでしょう。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

まずはこのグラフをご覧ください。

記事とともに掲載されたグラフです。

 

 

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日本の若年失業率は確かに低く推移しています。

この理由はお分かりでしょうか。

 

そうです。新卒一括採用、ですね。

 

海外では大学を卒業した後の過ごし方が少し異なっているようです。

欧米では大学を卒業してからインターンシップ(就業体験)や留学など様々な経験を積んだ後に就活をするケースが多い。一方、フィンランドでは12歳の時点で企業のオフィスや店舗などを模した施設で社会体験をする。仕事や会社に早い段階から触れることで、キャリア観を養わせる。

 

失業率が低いのは決して悪いことではない、と思うのですが、

少し困った問題が起こっているのは皆さまもご承知でしょう。

日本では若年失業率こそ低いものの、入社してから3年以内に離職する大卒が過去30年間、3割前後で高止まりする。海外の就活事情に詳しいパーソルキャリアの佐藤裕氏は「日本でも高校生くらいからキャリア教育を始めなければ企業と学生のミスマッチは減らないだろう」と指摘する。


実は本日ご紹介している記事では、「30歳未満」を新卒と位置付けて、

中途採用と区分して採用するしくみが各企業にできつつあることが

書かれています。

ところが、それがあまりうまくいっていない、というのです。

 

大手企業は相次いで29~30歳までを「新卒」として扱う採用を始めた。通年採用を先取りした動きともいえるが、言うはやすく行うは難しだ。

2017年卒から29歳以下の採用を始めた東急エージェンシーは、いまだ採用には至っていない。留学や起業など幅広い経験を持つ人材の応募を期待しているというが、職務経験がないため、選考では結局、潜在力で判断することになる。人事企画部の仲野大輔氏は「潜在力で見ると22歳の新卒のほうが魅力的に映ることが多い」と明かす。

 

むむむ。採用というのは本当に難しいですね。

ちなみに、この記事には「数少ない成功例」も掲載されています。

英蘭ユニリーバの日本法人ユニリーバ・ジャパン(東京・目黒)は内定獲得から入社まで最大2年間の猶予を与える制度を始めている。大学を卒業し同社の内定を持ちながら、海外留学やボランティアに取り組む人が若干名いるという。島田由香取締役・人事総務本部長は「時間をかけてきちんとキャリアを考えた上で入社してもらうことが会社と学生双方のプラスになる」と狙いを語る。

目的意識を定めた人材を採用してからの育成方法にも一計を案じた。社員は月に1回、上司と面接し、設定する目標を随時見直すことができる。日用品業界では競合他社が次々と新製品を投入するため、上司との人事考課で擦り合わせた目標がわずか1カ月で古くなることもある。「めまぐるしい環境変化に対応できるようにしている」(同社)。月替わりの目標が社員の成長を促す。

 

採用と就職、いずれの側においてもかなりの労力を使うわけですから、

極力ミスマッチを防いで、少しでも長く勤められる職場でありたい、

と願うものだろうと思います。

そのための工夫が「社会経験」「目標設定」にあるのだとすれば、

それは学校法人においても取り入れられる方法ではないか、

とも思うのですがいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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全学部でAI教育

大学の話題が続きますがご容赦ください。

(大学は大学以外の学校種を先どっての制度整備が多い、

 だからこそそちらに目配りすることが重要、との考えによっております)

AI教育に関する話題です。

日経新聞より。

 

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文部科学省は18日、Society5.0(超スマート社会)の到来や18歳人口の減少といった変化を踏まえた国立大学の改革方針をまとめた。人工知能(AI)時代に向け、データサイエンスや数理の教育を文系・理系を問わず全学部で課す。留学生の受け入れを後押しするため、従来の基準を上回る授業料を設定できるようにすることも検討する。

 

文科省は今年の秋以降、このことについて各大学と集中的に議論して、

教育研究や経営のあり方を定める各大学の

第4期中期目標・計画(2022~27年度)に反映させていくそうです。

 

AI人材を巡っては、政府が全ての大学生、高等専門学校生にAIの初級教育を行う方針を決めている。文科省は東京大や滋賀大など国立大6校で、文理を問わず学べる標準カリキュラムの開発に着手。完成後は一部の大学から実施し、国立大の全学部や公私立大にも展開する計画だ。

 

国立大のみならず、私大への展開も視野に入っているようです。

このような先進的な教育については、進取の精神よろしく、

私大が先んじていろいろ仕掛けて欲しいというのが正直な気持ちですが、

まずは今後の展開を見守りたいと思います。

 

そして授業料の柔軟設定については、

留学生への教育へのコスト発生を視野に入れてのことのようです。

留学生の受け入れには日本語教育など特別なコストが発生する。授業料を上げて収入を増やし、受け入れ体制の整備に充てられるようにする。

 

さてこれから各大学はどんな経営の枠組を想定していくのでしょうか。

大きな社会変化を目の前にして、

学校のあり方はまだまだ変わっていくような気がします。

念入りに将来設計をしながら、進んでいきたいですね。

 

(文責:吉田)

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女性管理職 大学が育む

女性の社会における活躍、という視点からは

このような取組も必要ということなのでしょうか。

日経新聞より。

 

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大学が企業の女性管理職養成を手助けしている。教授陣らが講師を務める研修プログラムを運営、女性幹部候補を受け入れて鍛え上げる。長年男性中心だった企業社会は女性社員の育成が後手に回ってきた。女性管理職登用が急がれるなか、企業単独で手が回らない部分を大学が補っている。

 

記事の中で紹介されているのは関西学院大学福岡女子大学

 

関西学院大学では

「ハッピーキャリアプログラム・女性リーダー育成コース」

という課程を設置されているそうで、スタートは2014年。

組織マネジメントや経営戦略、マーケティングなど、

ビジネススクールに準じた講義が特徴とのことで、

私自身もかなり興味深いプログラムです。

  

また、福岡女子大学は2017年から

「女性トップリーダー育成研修」を開催されていますが、

関西学院大学のプログラムが1年弱の継続ものであるのに対し、

こちらは2泊3日の合宿と1日のフォローアップ研修がセットになった、

かなり短期間のものになっています。

 

それでも毎年各回各層のトップリーダーを複数招いておられて、

直接その体験談や心掛けを聞くことができ、

また合宿中には地元財界トップや有力企業経営者らが参加する夕食会も開催。

このような機会は貴重でしょうね。

 

ちなみに、関西学院大学の女性管理職割合は15.58%(2019年度)。

そして福岡女子大学の女性役員・管理職は7名(25名中、2015年度)。

両校とも決してその比率や人数が小さいわけではないと思いますが、

学校経営において女性の視点を十分に生かすとすれば、

これが果たして十分な数字なのか、判断が分かれるところかもしれませんね。

 

私自身、管理職の性別を気にすること自体がなくなれば、と願っています。

女か男か、という枠組みではなく、

ひとりひとりが自分の強みが生きる社会へと発展していけばいいですね。

 

(文責:吉田)

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