新卒採用、という枠組みが変化してきています。
各企業は、どんな人材を求めるのか。
企業自らがこのことを見つめ直しているようです。
学校もまた、採用が難しい昨今ですので、
きっと参考になることもあるでしょう。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
まずはこのグラフをご覧ください。
記事とともに掲載されたグラフです。
日本の若年失業率は確かに低く推移しています。
この理由はお分かりでしょうか。
そうです。新卒一括採用、ですね。
海外では大学を卒業した後の過ごし方が少し異なっているようです。
欧米では大学を卒業してからインターンシップ(就業体験)や留学など様々な経験を積んだ後に就活をするケースが多い。一方、フィンランドでは12歳の時点で企業のオフィスや店舗などを模した施設で社会体験をする。仕事や会社に早い段階から触れることで、キャリア観を養わせる。
失業率が低いのは決して悪いことではない、と思うのですが、
少し困った問題が起こっているのは皆さまもご承知でしょう。
日本では若年失業率こそ低いものの、入社してから3年以内に離職する大卒が過去30年間、3割前後で高止まりする。海外の就活事情に詳しいパーソルキャリアの佐藤裕氏は「日本でも高校生くらいからキャリア教育を始めなければ企業と学生のミスマッチは減らないだろう」と指摘する。
実は本日ご紹介している記事では、「30歳未満」を新卒と位置付けて、
中途採用と区分して採用するしくみが各企業にできつつあることが
書かれています。
ところが、それがあまりうまくいっていない、というのです。
大手企業は相次いで29~30歳までを「新卒」として扱う採用を始めた。通年採用を先取りした動きともいえるが、言うはやすく行うは難しだ。
2017年卒から29歳以下の採用を始めた東急エージェンシーは、いまだ採用には至っていない。留学や起業など幅広い経験を持つ人材の応募を期待しているというが、職務経験がないため、選考では結局、潜在力で判断することになる。人事企画部の仲野大輔氏は「潜在力で見ると22歳の新卒のほうが魅力的に映ることが多い」と明かす。
むむむ。採用というのは本当に難しいですね。
ちなみに、この記事には「数少ない成功例」も掲載されています。
英蘭ユニリーバの日本法人ユニリーバ・ジャパン(東京・目黒)は内定獲得から入社まで最大2年間の猶予を与える制度を始めている。大学を卒業し同社の内定を持ちながら、海外留学やボランティアに取り組む人が若干名いるという。島田由香取締役・人事総務本部長は「時間をかけてきちんとキャリアを考えた上で入社してもらうことが会社と学生双方のプラスになる」と狙いを語る。
目的意識を定めた人材を採用してからの育成方法にも一計を案じた。社員は月に1回、上司と面接し、設定する目標を随時見直すことができる。日用品業界では競合他社が次々と新製品を投入するため、上司との人事考課で擦り合わせた目標がわずか1カ月で古くなることもある。「めまぐるしい環境変化に対応できるようにしている」(同社)。月替わりの目標が社員の成長を促す。
採用と就職、いずれの側においてもかなりの労力を使うわけですから、
極力ミスマッチを防いで、少しでも長く勤められる職場でありたい、
と願うものだろうと思います。
そのための工夫が「社会経験」「目標設定」にあるのだとすれば、
それは学校法人においても取り入れられる方法ではないか、
とも思うのですがいかがでしょうか。
(文責:吉田)