寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

平成30年度版交通安全白書

内閣府が平成30年6月15日に発表した平成30年度版交通安全白書によりますと、

交通事故死者数は3,694人と現行の交通事故統計となった昭和23年以降で最小となりました。

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「平成30年度版交通安全白書」より

 

グラフからは交通事故発生件数も負傷者数も減少していることが読み取れます。

白書では、

このような状況の中,交通事故による死傷者数を減少させるためには,

事故を未然に防止し,また被害を軽減するための取組が重要であり,

そのためには,先端技術を活用した施策の推進が有用と考えられる。

「第10次交通安全基本計画」(平成28年3月決定)は,

平成32年までに24時間死者数を2,500人以下とし,世界一安全な道路交通を実現する」ためには,

これまでの施策を一層充実させることはもちろん,

先端技術を活用した安全支援システムの開発普及や情報の効果的な活用を強力に推進していくことが必要である。

とまとめています。

最近では自動車の誤発進抑制装置や自動運転技術によって交通事故が減っている事からも技術革新が更に進むことを期待したいですね。

 

交通安全白書では、道路交通安全施策の現況の中で

「児童・生徒の交通事故防止対策について」も報告されています。

児童・生徒の交通事故死者数および死傷者数は減少傾向で推移していますが、

交通事故の特徴として、歩行中の事故は小学1年生が死者・死傷者数ともに最多となっており、このうち死者数は小学6年生の8倍になっています。 

f:id:ysconsult:20180621100607p:plain「平成30年度版交通安全白書」より

 また、自転車乗用中事故では小学6年生から中学1年生で死者数が倍増、中学3年生から高校1年生で死傷者数が3倍に増加し、高校1年生が死者・死傷者数ともに最多となっています。

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「平成30年度版交通安全白書」より

 

では時間帯別ではどのようになっているのでしょうか。

小学生の歩行中事故からみていきます。

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「平成30年度版交通安全白書」より

やはりと言いますか、登下校中の時間帯に集中していますね。

中学生・高校生についてもみてみましょう。

 

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「平成30年度版交通安全白書」より

小学生よりも、登校中の時間帯に集中していますね。

 

児童・生徒の事故の多くは登下校中に起こっていることを考えると、

保護者にとって「通学の安全性」は学校選びのポイントのひとつであることは間違いないでしょう。

どのように児童・生徒の登下校中の安全を確保するか、を検討することが募集対策のひとつになるというのは言い過ぎではないと思います。

 

(文責:長森)

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国家公務員 兼業容認へ

先日の日本経済新聞に掲載されたニュースです。

 

www.nikkei.com

 

記事の冒頭にはこうあります。

政府は国家公務員の兼業を正式に認める調整に入った。兼業をほとんど認めてこなかった従来方針を改め、NPO法人や非政府組織(NGO)などの「公益的活動」を目的とした兼業に限り認める方針。政策・法律の知見を民間でも活用し、地域の活性化につなげる。公文書改ざんなど最近の不祥事では内輪の論理も目立つ。民間で経験を積んだ、視野の広い官僚を育てる狙いもある。

 

公務員のノウハウを民間に活かす、という観点。

そして、民間での経験を公務員自身が活かす、という観点。

どんな業界であっても、

「業界の常識は世間の非常識」

という現象が起きがちであることを考えれば、

このような動きの効果を期待したいところです。

 

一方で、兼業はなかなか難しい問題をはらんでいます。

情報漏えい、利益誘導…といった危険はないのか。

そもそも、兼業先での勤務時間をどう捻出するのか。

時間的には多少余裕があったとしても、

本業先でめいっぱいのエネルギーを使っている人たちにとっては、

兼業などできるはずがないのでは…と、私などは思ってしまいます。

 

学校で働く皆さんはいかがでしょうか。

仮に兼業ができるようになった場合、実際に兼業するためには

かなり多くの課題を解決しなくてはならないような気がします。

 

と、兼業にはやや消極的な私ですが、

今回の記事の末尾にこんな記述があり、なるほど、と感じました。

政府が国家公務員の兼業容認に本腰を入れる背景には、民間の人手不足がある。特に人材難に悩むNPOは多く、過去3年で大手転職サイトへの求人掲載数は3倍以上に急増した。専門性の高い人材の引き合いも強い

 (赤文字は筆者による加工です)

 

学校の教職員さんは高い専門性を有している、これは事実です。

人材不足の中で、それをより有意義に活用できれば、というのは

確かに重要な視点であるかもしれません。

兼業が難しくても、例えば複数の学校法人で人材の共通化を行う、

というのは可能かもしれませんよね。

ひょっとすると、この話題には人材の確保と活用に向けた

ヒントが隠れているのかも、と思わされました。

 

(文責:吉田)

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24時間いつでも利用可能、電子図書館

神戸市が楽天の「電子図書館サービス」を6月22日から試験導入することが発表されました。 

resemom.jp

 

記事によりますと、サービス開始時に貸出可能な電子図書は、

石田衣良の小説や池上彰の解説本、飛田和緒の料理本など、実用書約1,000冊。

著作権の切れた文学作品などを扱う「青空文庫」約1万冊も加わる。

約2年間の試行実施期間中、随時冊数を追加し、最終的には1万3,000冊程度を扱う予定。

 

「たった1万3,000冊しか蔵書しないの?」と思ったのですが、

公共図書館は「紙の本」であれば無料貸し出しできるものの、「電子書籍」については著作権の問題をクリアしなければならないため貸し出しができないのですね。

(余談ですが、神戸市にも提供される「OverDrive」は、

米国、カナダ、英国などを含む約50カ国で、

約5,000の出版社が提供する250万以上のタイトルを取り扱い、

3万を超える施設にサービスを提供しています。)

 

この電子図書館システムを使った導入事例は公共図書館に限ったものではないようです。

overdrivejapan.jp

 

導入事例として、近畿大学中央図書館や、工学院大学附属中学校・高等学校、清泉インターナショナルスクールなどが紹介されています。

 

この他にもさまざまな電子図書館サービスがあります。

www.jdls.co.jp

こちらのシステムは、聖徳学園中学・高等学校、中央大学附属中学校・高等学校クラーク記念国際高等学校、関西創価高等学校など、18館の学校図書館に導入されています。

 

公共図書館のみならず、学校にも導入される電子図書館のメリットは一体何なんでしょうか。

  1. いつでもどこでもアクセスが可能
  2. 一度に多人数に貸し出せる
  3. 書籍を保管する物理的なスペースが要らない
  4. 図書館の維持・管理コストを削減できる

などが挙げられるのではないでしょうか。

著作権法などクリアしなければならない課題はまだまだありますが、

電子図書館の導入は学校法人にとっても大きなメリットがあるように思います。

特に施設の老朽化や改築、建替えを考えられている学校があれば一度検討されてみてはいかがでしょう。

 

(文責:長森)

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AI時代 教育あり方見直し

先日の朝日新聞に、小さいながらもこんな記事が掲載されていました。

 

「AI時代 教育あり方見直し」

文部科学省は、小中校生たちの学習状況や成果をデータ化して蓄積し、一人一人の特徴に合う「学びの個別化」の研究開発に乗り出す。学年が異なるグループによる学習や飛び入学も促す。「教師が同じ内容を一律に教える」という従来の授業のスタイルだけに頼らず、自律した学びを続けられる人材を育てる狙いだ。

 

学校の大きな特徴のひとつが「集団性」。

すなわち、個が集まったうえで教育活動が行われることで、

ひとりずつでは生まれなかった効果が生まれることを狙う、

それこそが学校という場の教育活動の意義とも言えるでしょう。

 

ただ、それぞれの個はそれぞれの育ちを続けていきますから、

個をさておいて集団の論理で…というわけにはいきません。

時折お邪魔する各校の授業参観においても、

個の学びをより効果的にするために、

クラスという集団を維持しつつ、

隣の生徒同士で復習を支援しあったり、

デジタル教材を活用して個別の学びを促進したりする場面に出会います。

学校の先生方はそれこそ様々な工夫をしながら、

子どもたちの学びの場を創出されています。

 

今回の記事はe-ポートフォリオに近い印象を抱きましたが、

学びの履歴を次の学びに活かすという工夫として、

今後の学習スタイルを形成する基礎になるかもしれない、と感じました。

 

昨日できなかったことができるようになる、それが成長だとすれば、

昨日解けなかった問題が今日解けるようになる、であったり、

昨日知らなかったことを今日は知ることができた、であったり、

教育現場にはいろんな成長が生まれていることでしょう。

集団性を活かしながらも個としての成長を促進できる、

そんなしくみをAIが支援してくれるとすれば心強い限りです。

学校での教育のスタイルはまだまだ変わっていくのかもしれませんね。

 

(文責:吉田)

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講師もバーチャルの時代!?教育分野にも広がるバーチャルYou Tuber

ポケモンGOやSNOWといったモバイル端末アプリに代表されるAR(拡張現実)や、VR(仮想現実)は教育現場にも大きな影響を与える存在になっており、良くも悪くも携帯端末が手放せなくなりそうな時代になりつつありますね。

 

近年では、なりたい職業ランキングにも登場することが多くなった「You Tuber」ですが、2017年末ごろからは架空のキャラクターが動画配信者となるバーチャルYou Tuberがブーム化しています。

そして、そのバーチャルYou Tuberは教育分野にまで広がりを見せているそうなんです。

www.oricon.co.jp

 

記事によると、

人気の塾講師といったケースを思い浮かべてもらえれば分かりやすいと思いますが、

バーチャルなキャラクターなら講師の属人的なスキルや魅力に依存するわけではありませんので、

安定した長期のコース提供が可能になります。

 

確かに、テレビに引っ張りだこの先生の授業であれば授業を受けたくても受けられないかもしれませんし、費用も高額になりそうです。

しかし、バーチャル講師ならそのような費用は掛からないですし、

何より働こうと思うと同時刻に何人でも働いてもらうことも可能ですね。

 

バーチャル講師についてのメリット・デメリットをまとめると次のように考えられそうです。


<メリット>
・同じ講師の授業を長期間提供できる
・さまざまな学習コースを設置できる
・交通費や保険料などの経費が抑えられる
・利用した時間に合わせた費用しか発生しない

<デメリット>
・授業を受けるための施設整備への投資が必要
・その場で質問に答えられない

 

もう既に、塾業界ではスタディサプリや、東進、河合塾マナビスといった

受験向けの映像授業配信が盛んになっています。

教員の募集に苦慮されている地方の学校では、採用できなかった地学や公民の先生の代わりに映像授業を導入された学校もあります。

 

このような事例を見ていると、

今後、教科担当の先生が仮想のキャラクターになる日も

そう遠くないのかもしれません…というのは言いすぎでしょうか。

 

(文責:長森)

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働き方改革、参議院審議入り

今国会の最重要課題とされる「働き方改革関連法案」が6月4日に参議院本会議で審議入りしましたね。

先月31日に衆議院を通過した働き方改革関連法案ですが、

高度プロフェッショナル制度や、残業時間の罰則付き上限規制、

正規・非正規労働者の不合理な待遇差を禁じる同一労働同一賃金の導入などさまざまな内容が含まれていますね。

6月20日まで国会は会期延長され、法案成立の公算が高いようです。

 

学校現場においては今回の規制対象外ですが、同一労働同一賃金や残業時間の上限規制については、いずれこの罰則が適用される可能性があるのではないでしょうか。

ある日突然対応しようとしてもこれらの諸問題に対応することは難しいでしょう。

 

今国会に提出されている「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の概要を抜粋します。

 

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特に注目されることとして、

①労働時間の見直し、特に時間外労働の上限規制導入

②労働時間の状況の把握の実効性確保

フレックスタイム制の見直し

④労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

などが挙げられるのではないでしょうか。

 

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同一労働同一賃金ガイドライン平成28年12月に公表されていますので、

問題となる例をおさらいしてみましょう。

①基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合

<問題となる例>

・基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給しているE社において、無期雇用フルタイム労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの職業経験を有することを理由として、Xに対して、Yよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない。

 

②基本給について、労働者の業績・成果に応じて支給しようとする場合

<問題となる例>

・基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給しているC社において、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合に行っている支給を、パートタイム労働者であるXが無期雇用フルタイム労働者の販売目標に届かない場合には行っていない。

 

③基本給について、労働者の勤続年数に応じて支給しようとする場合

<問題となる例>

・基本給について労働者の勤続年数に応じて支給しているB社において、有期雇用労働者であるXに対し、勤続年数について当初の雇用契約開始時から通算せず、その時点の雇用契約の期間のみの評価により支給している。

 

基本給に関する事例だけでも3パターンあります。(実際はもっと事例があると思いますが…)

同一労働同一賃金ガイドラインには手当や福利厚生についても細かく事例が紹介されておりますので、お時間がある際に一度お目通しいただければと思います。

 

法律が適用されてからの対応では間に合わないかもしれませんので、今から制度設計に取り組んでみてはいかがでしょう。

 

(文責:長森)

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Society5.0に向けた人材育成

Society5.0、ですって。

ご存知でしたか。

文部科学省から、こんな情報発信がなされています。

 

Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会:文部科学省

 

そもそもSociety5.0とは何ぞや、という点については

内閣府HPに記載があります。

 

Society 5.0とは
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

 Society 5.0 説æå³

 

そして、そんなSociety5.0で活躍する人を育てるための人材育成、

というのが冒頭のリンク先記事のテーマのようです。

 

掲載されている資料にはこんなことが書かれています。

学校が変わる。学びが変わる。 ⇒Society5.0における学校(「学び」の時代)へ
・一斉一律授業の学校 →読解力など基盤的な学力を確実に習得させつつ、個人の進度や能力、関心に応じた学びの場へ
・同一学年集団の学習 →同一学年に加え、学習到達度や学習課題等に応じた異年齢・異学年集団での協働学習の拡大
・学校の教室での学習 →大学、研究機関、企業、NPO、教育文化スポーツ施設等も活用した多様な学習プログラム

 

「社会構造が変われば、学校での教育内容も当然変わってきますよね」

そんなことが言いたげな記述になっていますね。

 

狩猟社会から農耕社会へと変化したとき、

あるいは工業中心から情報中心の社会へ変化したとき、

それぞれにおいて活躍する人材のイメージは確かに大きく変化したことでしょう。

今回の社会変革、すなわちSociety5.0への変化においても、

当然同様のことが起きるというのは想像に難くありません。

 

その中で、学校は子どもたちのどんな育ちを目指すのか。

単なる高学歴への進学や有名企業への就職だけでは測ることができない、

新たな物差しが登場してくるのかもしれません。

そして、それが今後の学校選択において重要な要素となる、かもしれません。

 

御校ではSociety5.0への準備はお済みでしょうか。

この機会に一度考えてみてもいいのではないでしょうか。

 

(文責:吉田)

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