この類のニュースがさまざまな統計を基に出ていますね。
今回は毎月勤労統計調査の結果を確認しておきましょう。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
厚生労働省が(5月)23日発表した2023年度の毎月勤労統計によると、基本給にあたる一般労働者の所定内給与が前年度比1.8%上昇した。23年の春季労使交渉(春闘)を受けて、賃金上昇が広がってきた。実質賃金は減少し、物価上昇の勢いのほうがなお強い。
1.8%って、賃上げの率がちょっと低く感じるけど…
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
それはおそらく、これまでご覧いただいていた情報と、
今回ご紹介した統計の特徴の差によるものと思われます。
毎月勤労統計の対象は従業員5人以上の事業所です。
労働組合のある比較的大きな企業が対象となる連合の集計結果や、
日経新聞等が行う大企業、上場企業を対象とする調査よりも
実際の伸びが低くなった可能性が高そうです。
従業員5人以上の確報で、2023年度の所定内給与は月325,504円。
伸び率が低く見えたとしても、この調査においては
1994年度の2.0%以来、29年ぶりの高水準となっています。
一般労働者はパートタイム労働者を除く正社員を中心とした社員を指し、
管理職なども含んでいます。
さて、貴校園の所定内給与の平均額と比べていかがでしょうか。
ちなみに、一般労働者とパートタイム労働者を含めた名目賃金にあたる
現金給与総額は1人あたり332,533円(1.3%増)。
所定内給与の伸びに比べてさらに小さくなっているのは、
残業代にあたる所定外給与が減少したことなどが理由だそうです。
一般労働者とパートタイム労働者の所定外給与は0.3%減。
総実労働時間のうち所定外労働時間は2.0%減少しています。
世間の企業ではコロナ後も残業は着実に減っているようですね。
これまた、貴校園はいかがでしょうか。
以前から、このブログでは「統計の罠」についてお伝えしていますが、
今般の給与水準の上昇については、調査対象によって
状況がかなり異なっていることには改めて注意したいですね。
加えて、賃金の動きから働き方にも想像力を働かせて、
所定内労働の価値を高め、所定外労働を低減させるということの
必要性や大切さについても考えてみる必要があるでしょう。
こういったことが人材確保の競争力にもつながるはずです。
(文責:吉田)