人事の採否を寄付額で評価する、ということが行われていた、
という実例が報道されました。日経新聞より。
東京女子医科大学(東京・新宿)が、医学部卒業生を教授や講師などに採用する際、同窓会組織の一般社団法人「至誠会」への寄付額などを評価対象としていたことが17日、関係者への取材で分かった。文部科学省は、詳細を報告するよう大学側に求めている。
この制度は2018年5月に設けられたものとのことで、
卒業生が教授や准教授への採用や内部昇格を希望する場合、
至誠会が発行する「活動状況報告書」の内容が評価対象とされていたそうです。
この報告書には、至誠会主催の研修会などへの出席状況や、
過去5年間の至誠会への寄付額などが記載されていて、
それぞれ出席回数や寄付額に応じてポイントに換算され、
合計点数で5段階評価される仕組みだった、とあります。
まあ、ポイント換算までされていて、念入りな評価システムですね。。
東京女子医大は「公益性のある活動をしている至誠会への寄付を社会貢献活動の一つとして積極的に評価してきた。寄付を強いる行為があったとの報告はなく、問題があるとは考えていない」としている。
なるほど、社会貢献活動として評価してきた、というスタンスなのですね。
ということはおそらく、これ以外の社会貢献活動についても
評価がなされているはずでしょうし、
寄付額や研修の出席以上に、至誠会としての社会貢献活動に
直接参加したケースなども評価対象になっていたはず、ですよね。
細かなことは分かりませんので実際にそうなっていたのか不明ですが、
ひとつ確実に言えることは、評価基準はいつでも開示できるくらいの
ものでなければ、こういった見方をされる危険性が高い、ということでしょう。
実はこの至誠会という団体、勤務実態のない職員に
給与が支払われた疑いがあり、今年3月、特別背任の疑いで
大学本部や理事長の自宅などが家宅捜索されています。
理事長は昨年4月に、至誠会の会長を解任されています。
こういうことと併せて考えると、資金集めのために
就職希望者の善意を悪用したと見られても仕方がない気がします。
さて、まさかとは思いますが、
貴法人には似たようなしくみはないでしょうか。
繰り返しになりますが、入学や卒業、採用や昇格など、
一定の基準を基に可否が判断されるものについて、
その基準をオープンにする必要はなくても、
仮にオープンになった際に、
第三者から納得を得られにくいものが含まれているとすれば、
それは基準を変える一つの理由になるだろうと思います。
納得感の薄い基準が残っていないか、確認しておきましょう。
(文責:吉田)