寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

状況変化に対応する柔軟性

日経新聞の連載「やさしい経済学」は、私にいろんな気付きをくれます。

今回のシリーズは「新たな時代の人事制度」。

私学にそのまま当てはめることは難しくても、

起こり得る事象や考え方は参考になるところが多いように感じました。

今回は10回シリーズの第5回をご紹介しましょう。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 
 
貴校園では、人事制度の見直しはどのくらいの頻度でなされているでしょうか。
例えば給与制度も人事制度のひとつですが、おそらく、
その見直しは10年単位に一度あるかないか、くらいのことが
実務的には多いかもしれませんね。
 
しかしながら、人事制度というのは本来、
「組織が個に求めることと、個が組織に求めることの一致点」
をしくみ化したもの、と私は考えています。
とすれば、例えば中期計画によって組織づくりの目標が示されれば、
当然個に求めるものが変化することもあるでしょう。
逆に、社会背景等の変化によって、個が組織に求める事柄も
刻々と変化していくことはそれほど珍しくないと思われます。
 
つまり、人事制度が両者のあるべき姿を映すものであるなら、
その見直しは適宜行うべき、とも言えるような気がします。
今回の記事で、筆者はこのようにおっしゃっています。
 

従業員に期待される貢献は不変ではないということです。特に具体的な行動やスキルの価値基準は、数年単位で変化することがあります。企業の競争環境や労働市場、そして組織的な価値創造のプロセスが、年々変わるからです。同じ貢献を期待しても、従業員の世代が変われば従来の表現が伝わらない可能性もあります。

あらゆる人事制度について、数年単位のスパンで柔軟に変更することが望まれます。もちろん、人事制度を毎年更新するわけにもいきません。制度の変更ではなく、運用を通じて状況に柔軟に対応するため、実際の人事制度には常に解釈の余地が残されます。

 

しくみですべてが解決するのであればいいのですが、

価値観が多様化する中で、ひとつのしくみが全ての想いや要望を叶えることは

ほぼ不可能でしょう。

そのためにあえて制度上の曖昧さが残されている、という筆者の説明を目にして、

なるほど、と感じました。

 

しかし、解釈の余地を大きくすると、人事制度上の規定がどうしても曖昧になります。それでは企業の価値観や企業から示される期待を、従業員は読み取りにくくなり、仕事やキャリアにおける目標を失う可能性があります。

人事制度を曖昧にすることによる失敗を、多くの日本企業が経験してきました。例えば、従業員の職務遂行能力に基づいて待遇を決める「人事考課」と呼ばれる能力評価の仕組みがあります。多くの場合、評価基準は職種横断的で、社員等級間での違いも不明確です。こうすることで制度設計の手間が省け、見かけの寿命は伸びました。しかし、基準が曖昧な能力評価に管理者は苦慮し、能力の代理指標としての労働時間や年齢・勤続年数が重視されることになりました。

 

ここのところ、在宅勤務などが進んだこともあり、

評価制度についても見直しが言及されるケースが増えた気がします。

ただ、どう評価するのが適切なのか、というのはまさに答えのない問い。

おそらく、各私学でも評価のしくみについては検討が長引いたり、

あるいは試行錯誤が続いたりしていることでしょう。

 

筆者はこのように提案されています。

 

企業から従業員へのメッセージを明確に伝える、ということを大前提に、人事制度の「朝令暮改」を人事管理の常識とする必要があります。そこでの経営者や人事責任者の役割は、人事制度の成果についての到達目標を立て、頻繁に現状確認し、結果を全社的に共有し、制度変更の機運を醸成することです。人事管理を取り巻く状況の変化に人事制度が対応しきれなくなることこそが、最も避けるべきことなのです。

 

さて、貴校園の人事制度は現状、どのような設計がなされ、

運用がなされているでしょうか。

それらを確認するとともに、しくみを変えることを過度に恐れないよう、

組織風土を変革していくことも重要な気がします。

 

(文責:吉田)

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