本日のタイトル、何のことかお分かりになりますでしょうか。
実はこれ、国の行政機関に義務付けられているものなんです。
文科省HPにはこの「事前分析表」に関して、こんな説明がなされています。
国の行政機関は、施策レベルの政策について、目的、指標及びそれらの達成手段等が、いかに目標等の実現に寄与するか等を事前に想定・整理するため、また、国民への説明責任を徹底するため、「目標管理型の政策評価の実施に関するガイドライン」に基づき、評価対象となる施策ごとに毎年度「事前分析表」を作成し、公表する必要がある。
毎年度、数多くの施策が実行されてはいますが、その施策が果たして効果を生んでいるのかどうか…税金の納め手である国民の気になるところ、もっと言えば気にすべきところでもあります。
事前分析表はその点に関する情報提供ツール、と言えます。
ちなみに、文部科学省ではその使命(=存在意義)のもとに14の政策目標を定め、さらにそれぞれの政策目標を達成するために実施する42の施策を有しています。
以下のリンク先にはそれらの施策がすべて列挙されています。
私学向けにもちゃんと目標が設定されています。
政策目標6:私学の振興
施策目標6-1:特色ある教育研究を展開する私立学校の振興
施策の概要:私立学校の振興に向け、教育研究条件の維持向上を図るとともに経営の健全性を高めること等を目的とし、私学助成や学校法人への指導・助言等を行っている。
そして、施策目標を達成するための行動目標が2つ設定されており、そのそれぞれについて成果指標も定められています。
まずはひとつめの目標と成果指標を見てみましょう。
少々長くなりますがお付き合いください。
<達成目標1>学生等が安心して学べる教育研究環境の整備
<成果指標(アウトカム)>
①②教育研究経費依存比率(%)
【大学、短期大学】平成22年度(基準値)66.3%→平成26年度 70.1%
【小学校、中学校、高等学校】平成22年度(基準値)43.0%→平成26年度 48.1%
・年度ごとの目標値:前年度より改善
・目標値の設定根拠:本比率は、学生納付金収入に対する教育研究経費支出の割合を表しており、本比率が高いほど、学生等が支払った金銭が、教育研究経費として学生等に還元されることになる。比率が高いほど、金銭が学生等に還元される一方、学校法人においては教育研究経費以外の支出も重要であるため、一概に高い目標値を立てる事は必ずしも適切ではない事から、「前年度より改善」とした。
③生徒等一人当たりの補助額の増加率
平成22年度(基準値)238,177億円→平成27年度 249,391億円
・年度ごとの目標値:前年度より改善
・目標値の設定根拠:私立高等学校等の教育に係る経常的経費について、生徒等一人当たりの補助額が増加することで、教育条件の維持向上及び修学上の経済的負担の軽減につながると考えられるため。
④⑤教員一人当たり学生数
【大学、短期大学、高等専門学校】平成22年度(基準値)8.5人→平成27年度 8.2人
【幼保連携型認定こども園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校】平成22年度(基準値)11.7人→平成27年度 10.4人
・年度ごとの目標値:前年度より改善
・目標値の設定根拠:教員一人当たりの学生数が少ないほど、学生一人当たりにおける教育を受ける機会の確保につながると考えられるため。
⑥⑦私立学校施設の耐震化率
【大学等】平成22年度(基準値)77.9%→平成27年度 88.8%(速報値)
【幼稚園から高等学校】平成22年度(基準値)70.2%→平成27年度 86.3%(速報値)
・年度ごとの目標値:100%(早期)
・目標値の設定根拠:全ての子供・若者が耐震化等の施された安全な学校施設で安心して学習できる環境を整備する事が必要であるため。
(以下略)
いかがでしょうか。
指標として用いられているものはそれほど複雑なものではなく、例えば教育研究経費依存比率などは私学各校でも決算のたびに気に留めておられる指標のひとつかと思います。
この数値が高まれば、その分だけ教育活動の充実が図られていることが推測できる、との理由でこの指標が採用されているわけです。
ちなみに、公立小中高では平均48%。
御校は果たしてどのくらいの数値になるでしょうか。
計算式は「教育研究経費÷学生生徒等納付金」です(指標に関する説明の記載がないのですが、おそらく間違いないでしょう)。
ぜひ一度、計算してみてください。
そして達成目標の2つめは、「私立学校を設置する学校法人の経営の健全性、経営基盤の強化を推進する」となっています。
ここでの成果指標は次の4つです。
・財務情報等の一般公開を行っている学校法人の割合
・事業活動収入で事業活動支出を賄えない学校法人の割合
・総負債比率
・寄付金比率
さて先ほど同様、御校における各指標はいかがでしょうか。
特に4つ目に挙がっている寄付金比率については、平成26年度時点の平均値が3.07%と、それまで2%前後で推移してきたことに比べると大きな伸びを示しています。
国や地方自治体の財布が苦しくなる中、行政はあからさまに寄付金集めを促してきています。
ただ、自律財政実現のためには、寄付金をはじめとする収入源の確保は避けて通れません。
ぜひ一度、自校の状況をご確認いただければと思います。
やや話がそれましたが、このように、目標設定の後にはそれに対する評価が必須となります。
今年も大詰めとなりましたが、やろうとしたことができたのか、そしてその狙いは達せられたのかについて、ぜひとも振り返る機会を持っていただければと思います。
(文責:吉田)