義務付けられる私学も相当数ありそうですね。
日経新聞より。
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厚生労働省は従業員が100人超の企業に男性による育児休業取得率の目標値設定と公表を義務付ける。男性の育児参加は女性に偏る育児の負担を和らげ、夫婦が子どもを持つ意欲を高めるとの調査がある。子育てをしやすい体制づくりを企業に促す。
まずは上記後段の内容から見ておきましょうか。
厚労省が2021年に調査した結果によりますと、
家事や育児を夫が平日に4時間以上すると、
妻が出産後も同じ仕事を続けている割合が8割に達し、
逆に夫が全くしないと5割にとどまったそうです。
そして、夫が休日に6時間以上する場合は89%で第2子以降が生まれ、
その時間がないと36%だったとのこと。
確かに有意な差異のように感じられます。
では育児休業の取得率はどうかと言えば、やはり男性は低いのが現状。
下の図をご覧いただくと一目瞭然ですが、
取得率自体の低さもありながら、
取得したとしても期間が短いというのが男性の特徴です。
厚労省の22年度調査によると、男性正社員の23%は「職場の雰囲気や上司などの理解」が壁となって育児休業をとらなかったと答えた。同省は企業の意識改革と体制整備が重要と判断し、目標設定を求めることにした。
私学を外から見ている私からすると、
企業における職場の雰囲気と、私学のそれとは若干異なる点も感じますが、
休みを取りにくいという現実はよく似ていると思います。
私学の場合、それが職場の雰囲気に拠るものであることもありつつ、
圧倒的に多くは
「連続した休暇を取れるしくみが整っていない」、そして
「まさかそんな休暇を自分自身が取得できるなどと思っていない」
のがその原因になっているように思います。
担任が休めるわけないという思い込み、
そして実際に休めるわけないような勤務体系が存在する現実。
どちらも学校の永続性を確保したければ是正せねばならないと強く感じます。
今国会で提出される、次世代育成支援対策推進法の改正案では、
「一般事業主行動計画」に育休の目標を明記することとされ、
計画を作らなかったり、公表しなかったりする企業には
厚労相が勧告し是正を求める仕組みになっています。
ちなみに100人以下の企業は目標値の設定が努力義務となります。
法案が成立すれば2025年4月から施行されるとのことです。
目標の水準は企業が自由に決める。目標値が低い企業は育休の体制が整っていないとみなされ、子育てと仕事の両立を重視する人材が集まりにくくなる。優秀な人材を集めるには、高い目標設定と実現に向けた社内制度の整備が必要になる。
マイナビの25年卒の学生への調査によると、育休を取って子育てをしたいと答えた男性は60%だった。女性も60%で男女差はほぼない。
私学では人手不足が依然大きな問題になっています。
こういう環境整備を進めていかないと、
民間企業との獲得競争には確実に負けてしまうでしょう。
給料を上げれば何とかなる、という時代でもありません。
ぜひとも貴校園でも労働環境整備に今一度意識を向けてみて下さいね。
(文責:吉田)