すでに1カ月前の記事なのですが、その後議論は進んだのでしょうか。
実は本日がその後の議論の開催日なのです。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は(2月)14日、公立学校教員の待遇改善に向けて本格的な議論を始めた。残業代の代わりに支給されている「教職調整額」の引き上げ幅が焦点で、月給の10%以上、現状の2.5倍以上とする案などが検討の軸となる。春に方向性をまとめる方針だ。
業界関係者にとってはすでに周知の事実ですが、
公立校においては、時間外勤務手当(残業代)が支給されない代わりに
月給の4%を教職調整額として支給することとされる
教職員給与特別措置法(給特法)が存在しています。
ここでの「4%」という割合は、1971年の給特法制定当時の残業時間、
「月8時間程度」というところから算定されたもの。
ところが、2022年度調査における月平均残業時間の推計は、
小学校で約41時間、中学校で約58時間。4%はいかにも不適切です。
そしてこれは公立校のみに適用されるルールのはずが、
このブログが対象としている私学においても、
わりあい広くに採用されています。
公私の間で異なるルールが存在すること自体にも
問題を感じざるを得ないのですが、少なくとも現代において、
わざわざ働く意欲を減退させる制度であり、
健康を損なう危険性の高い方法でもある制度を
採り続ける必要はないでしょう。
ただ、大きな問題は「財源」です。
義務教育段階の教職員の給与は国が3分の1、都道府県や政令指定都市が地方交付税などを活用して残り3分の2を負担する仕組みになっている。文科省によると、仮に調整額を10%とした場合、国費ベースで700億円の追加費用がかかる見込みだ。
増加しつづける不登校児童生徒の支援など教育現場は課題が山積しており、待遇改善に充てられる文科省の予算にも限界がある。教員の確保は長時間労働の是正など働き方改革も一体で進めることが欠かせない。
記事で指摘されている上の内容は、私学にもあてはまります。
限られた財源で、学校での業務を全うするためには
働き方そのものを変革することは必須でしょう。
現実に、残業代が支給されている民間企業等においては、
残業代が得られることを目当てに残業する、
というケースが発生することが往々にしてあります。
(もちろん、ご本人はその意図を否定されるでしょうけれども)
つまり、残業代が支給されるようになると、残業時間は延びるのが一般的です。
そしてこれは、私学であっても同じことです。
ついては、限られた労働時間を有効活用するという意識は
働く側に備えておくことが必要でしょう。
そしてそれとともに、経営側には
労働の対価をきちんと支払う、という意識を持ち、
それを実現するための収支構造を実現していくことが必須です。
教育というサービスの提供には、
ともすると「時間無制限」という修飾語が付きやすいもの。
これではいつまで経っても職場環境は改善できません。
時間の制約の下でいかに業務を成立させるか。
組織挙げての取組は待ったなしのはずです。
(文責:吉田)