寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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不登校最多「受け皿」不足 2割増の29万人

おそらく、貴校園でも経営課題の一つになっているのではないでしょうか。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

2022年度の問題行動・不登校調査で、全国の小中学校で不登校だった児童生徒が過去最多の29万9048人と21年度から22.1%増えたことが3日、関係者への取材で分かった。新型コロナウイルス禍で生活リズムが乱れやすかったことなどが影響した可能性がある。文部科学省が近く発表する。

 

まずは今回の記事に付いていた、下のグラフをご覧ください。

増え方が明らかに変わってきています。

直近は「急増」といっていいくらいのカーブの形状ですね。

 

 

不登校の事案の前に、いじめについての統計も確認しておきます。

小中高校などで認知したいじめの件数は、過去最多の681,948件で、

2021年度から10.8%の増加となっています。

このうち、身体的被害や長期欠席などが生じた「重大事態」は

217件増の923件と、こちらも急増しています。

認知件数自体が増えることは、明るみに出たという意味では

むしろ望ましいことと言えなくはないかもしれませんが、

重大事態が増えているのはかなり気になります。

こちらの詳細は明日のブログで採り上げたいと思います。

 

そして本日の本題である不登校ですが、

不登校」とは、病気や経済的理由などを除き、

年間30日以上登校していない状況をいいます。

2022年度の増分としては小学生が大きく、前年度比29%増。

中学生は同じく18.7%増となっており、10年連続の増加です。

 

不登校については、翌日の日経新聞にもこんな記事がありました。

 

www.nikkei.com

(会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

こちらの記事では、受け皿となっている施設が紹介されています。

それは、東京都の区立中学の教室に設けられた半個室のブース。

「スモールステップルーム」と名付けられたその部屋は、

教室に通えない生徒向けに2022年度から設置されたそうです。

生徒らは自分で決めた時間割に沿ってオンラインで授業に参加したり、

自習したりする際に使っていると記事には書かれています。

そしてこのブースの利用者数は、1日あたり数人~20人程度。

かなり多い印象です。それだけ利用希望があるということなのでしょうね。

 

 

不登校の増加については、保護者の考え方の変化もあるようです。

学校以外の居場所が認められ、無理して学校に通う必要がないと考える保護者も増えた。学校以外の多様な場で学ぶことの重要性を認め、不登校の支援を進める教育機会確保法が17年に施行されたことが影響しているという。

 

ただし、支援が行き届いているわけではなく、

2022年度に不登校だった小中学生のうち、4割近くの子どもは

学校内外で専門家らの相談や支援を受けていなかったそうです。

 

ちなみに、制度上の対応は少しずつ進められているようで…

柱となるのがカリキュラムの作成などで柔軟さを認める「学びの多様化学校」の拡充だ。従来は「不登校特例校」という名称だったが、ネガティブなイメージを与えると当事者らから意見が寄せられたことを受け、23年8月に名称を変更した。

同省は300校の設置を目指すが、23年度時点で公立校14、私立校10の計24校にとどまる。「近隣の住民を含め、どういった学校かということを知らない人がまだ多い。広報を進めていきたい」

 

さて貴校園にもこの課題があるのでは、と冒頭書かせていただきました。

が、オンライン授業などがまだまだ制度上の制約がある中で、

対策はなかなか難しい、と各私学の皆さんからお聞きしています。

もちろん、制度の変化や規制緩和を待たねばならないところはあるかと

思いますが、一方で、不登校となれば、

その後には転退学が現実化するというのも実態のひとつです。

そうなると当然、校園の収支にも影響を及ぼしますよね。

 

これをどう防いでいくのか。

解は簡単には見つからないと思いますが、だからこそ、

正面から向き合っていただきたい課題だとも感じます。

 

学校は小さな社会です。

ぜひその社会生活を成立させる術を模索していきたいですね。

 

(文責:吉田)

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