今週は日経新聞の連載「教育岩盤」からいくつかの記事を
お届けしています。本日もそのひとつをご紹介します。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
記事の冒頭で紹介されているのは、
インターネット上の仮想空間「room-K」での学習風景。
テレビゲームを模した画面内の教室に職員と子どものアバターが入って、
サンゴの生態について通話やチャット機能を使ってやり取りをする。
この仮想空間に認定NPO法人「カタリバ」が2021年に始めたもので、
不登校の小中学生が134人が利用しているそうです。
カタリバの今村久美代表は、
「一律に同じ内容を同じスピードで学ぶことに合わない子どもはたくさんいる。
学校はそこに目をつぶってきた」と指摘しています。
文部科学省によりますと、年30日以上登校しない小中学生は
2021年度に過去最多の24万人に達しました。
10年前と比較してほぼ倍増、とのことです。
記事は続けて、
不登校の加速度的な増加は、教室に集まって教員が一斉に教える学校文化に対する子どもたちの異議申し立ての広がりを映し出す。
とその理由を述べています。
では学校は必要ないのか。
コロナ禍で自宅学習が広がった際にも挙がった問いですが、
さて貴校園ではこの問いにどのような答えられますでしょうか。
学校は学力などを伸ばす以外に協調性を身につける役割を担う。一方で不登校児の学びの充実を図る教育機会確保法が16年12月に成立し、新型コロナウイルスの感染拡大もあって「必ずしも学校に行かなくてもよい」という意識が広がった。
文科省も登校を基本に据えつつ、従来の画一的な教育から、一人ひとりに合わせた「個別最適な学び」へと転換する目標を掲げる。だが、学校になじめない子の受け皿は貧弱なままだ。
上記引用の冒頭にさらりと書かれた一文は、私自身、
本来はとても重いものなのではないかと感じています。
協調性、という言葉だけでは表現しきれませんが、
いわゆる人と人との関わり、しかもリアルの空間での集団活動を
どのように楽しみ、どのように折り合いをつけていくのか、
を体験し学んでいく場が、学校の役割の大きな一つではないでしょうか。
「個別最適な学び」と「社会性」の両立はきっと簡単なことではないでしょう。
貴校園は、なぜ存在しているのか。存在し続ける必要があるのか。
子どもたちの育ちや学びにおける存在意義を、
自校園なりにぜひ求め、言語化していただきたいと思います。
(文責:吉田)