昨日のブログに続いて、日経新聞の連載記事より。
今回のテーマはオンライン入試です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
新型コロナウイルス禍で広がった大学のオンライン入試。早くも対面方式に逆戻りする大学が目立つ。10月初旬、神田外語大(千葉市)の総合型選抜(旧AO入試)では受験生がキャンパスで答案用紙と向き合った。2020年度は受験生全員が自宅のパソコンなどから学科試験を受けたが、遠隔での全面実施はこの年だけだった。
上記の通り、コロナ禍においてオンライン入試は
にわかに脚光を浴びた気がします。
入試の新たな形態として、そして安全管理上の一方式として、
大学に限らず検討対象に挙がったことは間違いないでしょう。
しかしその後、様々な理由でトーンダウンしていることも確かです。
この記事には、オンライン入試を実施してみてその限界を知ったという、
いくつかの大学の事例が掲載されています。
ひとつは機器や通信のトラブルとその対応の難しさ。
ログインできないとの電話が殺到し、試験はとりあえずできたものの
公平性に疑問が残ったという例が紹介されています。
もうひとつはオンライン入試を希望する受験生の少なさ。
2020年度に導入した大正大のオンライン希望者は総合型選抜受験生のわずか9%。
最初はやむないと思うのですが、その後の広がりを感じずに
縮小、取りやめ、といった流れになっているようです。
一方で、オンライン入試が定着しつつある大学もあるようです。
101の国・地域の学生が在籍する立命館アジア太平洋大(大分県別府市)は留学生全員がオンライン面接を受ける。20年度から出願書類もデジタル化し面接から入学手続きまでシステム上で完結する。21年度卒の留学生662人のうち180人が日本で就職した。
「学生確保の競争はシビア。オンライン活用は大前提だ」
「時間的・経済的負荷を減らすことで多様な学生を集めやすくなった」
とのコメントも記事にはあり、評価が真っ二つに割れている、
というふうにも見えます。
ちなみに、この記事の執筆者はこの記事をこう締めています。
世界はオンライン導入に前向きだ。180以上の国・地域から志願者を集める米ミネルバ大はオンライン形式の入試を採用。大学を目指す全米の高校生らが受けるSAT(大学進学適性試験)は23年からデジタルに移行する。子どもが減り続けているのに世界に向けた扉を閉ざしていてよいのか。
下記のような痛烈な批判を寄せておられます。
分析・考察留学生へのオンライン入試を充実させることに異論はないし、大学院入試などでは広がっている印象だ。一方、数千から数万人が一斉受検する国内一般入試にまでオンライン入試を広げる必然性は記事からは読み取ることができない。教育改革のシリーズを維持する「為にした取材」のように感じる。より丁寧かつ論理的な取材を心がけてほしい。
間口を広げること、適切に選抜すること。
入試にはいくつかの要請があり、特質があるでしょう。
私自身、入試は各校園のポリシーに応じて多様化していくのが自然、
と考えていますので、オンラインにすることもまた選択肢のひとつと思います
(もちろん各種規制への配慮はありつつ、です)が、
逆に「どうしてもオンライン入試を広げるべき」だとは思いません。
貴校園でもぜひ、在籍を望む子どもたちを選抜するにふさわしい、
入試の形態をより幅広に検討いただければと願っております。
(文責:吉田)