以前にEBPM(Evidence-based Policy Making)という言葉も
ありましたね(もちろん今もあると思いますが)。
貴校園では、学校経営にデータを活かしていらっしゃいますか。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
デジタルトランスフォーメーション(DX)が大学経営にも浸透してきた。教職員の論文数や獲得した競争的資金、企業との共同研究などを分析し、データに基づく経営戦略を立案。他大学や地域との連携も進める。データの有効活用により研究力などを底上げし、生き残りを図る。
記事に登場しているのは北海道大学。
産官が持ち寄った地域の課題などを北大の研究者が協力して解決する組織として、
今年7月に「データ駆動型融合研究創発拠点(D-RED)」を設置しました。
そして、北大がデータをベースにした取り組みで外部との連携を推し進めるのは、
学内のデータ活用実績があるから、とのこと。
「研究」「教育」「財務」などのデータを常時更新し、
グラフなどで表示して確認できる独自システム
「北海道大学 Business Intelligence(北大BI)」を
2019年から運用、大学運営に生かしてきたそうです。
公開されている情報は「北海道大学ファクトブック(学外版)」として、
ホームページで誰でも閲覧可能ですのでぜひご覧ください。
私も見てみましたが、視覚的にとても分かりやすいですし、
クリックだけでグラフが変わるなど、操作性も高い気がします。
外部から見られる情報に限りはあるようですが、
内部ではこのデータが有効活用されていることが推測できます。
大学経営にデータを生かす取り組みとしては、少し以前にも
「インスティテューショナル・リサーチ(IR)」と呼ばれ広がりました。
地方大学では佐賀大学が力を入れているそうです。
月例の大学運営連絡会では大学の執行部と部局長がデータを共有してKPI(成果指標)の進捗などを確認し、改善につなげている。4月にはIR室の人員を5人増やして14人体制とし、学内データの情報収集機能と活用体制を高めた。
データによる経営、と大上段に構えるとなかなか難しいものかもしれませんが、
例えば各校園で行われている管理職会議で、
何らかのエビデンスやデータに基づき戦略や施策が話し合われる、
といったことはありますでしょうか。
私のこれまでの感覚では、学内の会議においては
「目の前のことへの対処」が議題として圧倒的に多く、
事業計画や経営企画などといった、今後を見据えての議論というのは
相当強く意識しなければ優先順位が下がってしまうように感じます。
今回の記事にある内容は、大学に限った話ではないはずです。
例えば進学実績を踏まえて、今後のカリキュラムを検討すること。
決算書を踏まえて、望ましい収支構造や財政構造を検討すること。
教職員の採用データやその後の業務遂行状況を踏まえて、
育成の制度や採用のあり方など、あるべき人事のしくみを検討すること。
現場にはあらゆるデータがありますから、それを未来の経営に活かす、
という、いわば当たり前のことができているかどうかを
まずは確認してみてはいかがでしょうか。
(文責:吉田)