日本は人口偏在の解をそろそろ持たなければならないのではないか、
と思っていた矢先、こんな記事がありました。
なるほど、面白そうなアイディアです。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
高等教育への進学率は地域によって大きな差がある。2017年の文部科学省調査によると大学進学率は東京都の73%が筆頭で、最も低いのは大分県・沖縄県の37%である。差があるのは進学率だけではない。京都府や東京都は他県からの進学者を吸引しており、東京都への大学進学者の流入超過数は7.5万人にのぼる。他方、筆者の住む三重県では流出超過となっている。つまり高等教育への進学は地域人口の社会増減の大きな要因となっているのである。
私の生まれ故郷、富山県は高校への進学率は全国トップクラスなのですが、
大学進学率はやや下がる、という統計を以前目にしたことがあります。
その富山県も近年は人口減が大きくなっている地域の一つです。
上で指摘されているとおり、進学というのは
地域人口にかなり大きな影響を与えていると考えることができそうです。
ではどうすればいいのか。
筆者は地域に学校を新設するのは現実的でないと指摘したうえで、
こんな提案をされています。
私が提案したいのは、高校への「専攻科」の設置である。離島などを除けば高校はほとんどの地域で通学が可能である。特に工業科や商業科などの専門高校では専門学科に習熟した教員、地域産業との信頼関係という貴重な資源がある。博士号保持者などの高い資質を持った教員の採用と施設の整備を進め、高校卒業後の生涯教育機関として再編すれば、最小の財政負担で地方に高等教育機会の確保ができるのではないか。
高等教育を高校で実現する、ということでしょうか。
確かに、高校は都道府県内に一定数存在しますし、
通学時間を考慮して配置されている機関ということも言えそうです。
筆者の提案によれば、専攻科ではインターンシップなど
地域と密接に連携した教育を行い、
地元産業の後継人材を育てることが推奨されています。
保育・介護・看護といった分野の専門家の育成や再教育もできるし、
仮に都会の大学などに進学した人が地元に帰る際にも役立つと指摘しています。
これを実現するためには政策による後押し、協力が不可欠だと思いますが、
今回の記事を見て感じたのは、今後少子化でマーケットが縮小する中、
私立高校あるいは私立中学でも同じような考え方ができないか、
ということです。
私学も公立校同様、地域と密着して教育活動を行っているケースが
多いわけで、地域における人材育成の受け皿として、
普段の活動プラスアルファで実現できる事業として、
大きな投資や経営リスクを負わずに経営資源を活かせるのではないか、
と感じました。
学校には施設があることが大きな利点です。
そして今後、この施設が余ってくることも想定されます。
これまではターゲットでなかった人たちを巻き込んでいく、
という発想も今後の学校経営に必要な気がするのですが
いかがでしょうか。
(文責:吉田)