長い人生を考えた場合、進学よりも進路のほうが
圧倒的に重要性が高い、と思っている私。
そのことを改めて気づかせてくれる記事です。
日経新聞より。
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新型コロナの感染拡大による休校措置で、高校入試を控えた中学生や保護者は不安が大きいことだろう。高校入試では多くの生徒が大学受験を見据えて普通科を選ぶ。しかし人工知能(AI)の発達など不確実な雇用環境を踏まえ、普通科からの大学進学だけが答えなのかと迷う人も多いはずだ。そんな人たちに工業をはじめ専門科という選択肢を訴えたい。
大学進学花盛りの昨今、高校の学科は普通科の選択が圧倒的に多い印象があります。
今回の記事を読んでみても、直近年度の東京都立高校の入試倍率は
普通科が1.40倍、工業科は1.03倍。歴然とした差があります。
一方で卒業時の就職率は専門学科の多くで100%。
入口が広く、出口も確実。
なぜその選択肢が進学時に挙がらないのか、不思議ですらあります。
かく言う私も、中学生当時、
専門学科の高校に進むことが選択肢になったかと言えば、
決してそうではありません。
が、人生で2回、自らの常識の狭さを思い知らされたことがあります。
うち1回は中学2年生のときのこと。
同じ部活で憧れていた先輩がいたのですが、
部活でも1,2を争う上手さながら、頭脳も明晰。
単に勉強ができるというよりも、賢い、という言葉がぴったりくる先輩でした。
その先輩はてっきり地域トップ校の普通科に進むと思っていたのですが、
高専に進学されました。
高専?何それ?という私だったのですが、そんな私に、
高専の魅力をたくさん話してくれました。
後になって高専は入試もそれほど楽でないことを聞き、
自らの進路開拓にあたって幅広の情報をしっかり集め、
準備を怠らなかったその先輩がまたひとつ好きになった、という経験があります。
そしてもう1回は補習型個別塾の塾講師を務めていた頃のこと。
ある時、担当することになった中3の男子は、
学力が十分に高く、地域の2番手校に無理せず入学できそうな状況でした。
が、彼は「工業高校に行く」という決心をしていました。
へえ、なんで?と聞く私に、彼は将来就きたい職業の話、
そしてそのために18歳までの時間を無駄にしたくないということ、
さらにはもし大学に行きたいとなれば工業高校からも不可能ではない、
ということを熱く語ってくれました。
いろいろ考えた挙句、自分で出した結論があまりにも素晴らしくて、
本人にその選択を大絶賛しました。
結局高校に合格した後も塾に通い続けてくれた彼は、
工業高校でずっと学年1位の成績を取り続けたようです。
今回の記事の最後に、筆者はこう問うています。
「選択肢は普通科だけでいいですか?」
子供達には皆、それぞれが熱くなれる進路の選択肢を持てるはずです。
大人がその選択肢を狭めていないだろうか。
私は自らの非常識さを思い出すたびにそう思います。
未来の社会をつくる子供たちが、
ワクワクする進路を実現できることを願っています。
(文責:吉田)