昨日に続いて、日経新聞連載「新たな時代の人事制度」からご紹介します。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
従来の人事管理は「勘、コツ、経験」に根ざした不正確なもので、今後は科学的アプローチが必要だ――。こうしたスローガンの下、統計分析に基づいた人材選抜や従業員の健康管理、標準化された労務管理業務の自動化といった「HRテック」と呼ばれるサービスが登場しています。
この記事は冒頭、こんな文章から始まるのですが、
皆さんはピンときますでしょうか。
普段の人事管理が「勘、コツ、経験」だけでなされていないか。
その問いに向き合うだけで、いろんなことに気付けるかもしれません。
残念ながら、実際の人事担当者の多くが科学的アプローチに通じていないようです。筆者が昨年行った調査では、ほとんどの企業が従業員の職務経歴や評価などの情報を収集・保管していました。しかし、その情報を基に自社で現状分析する企業は少数でした。パーソナリティーや将来展望、社外での活動・活躍のあり方なども含めて網羅的に従業員情報を収集する企業も多くありませんでした。
組織内には当然のことながら、人事に関する情報が数多く存在しています。
そして、漏えい等のないように、厳重管理もされているはずです。
ただ、それらの情報を「活用」するという観点では、
それほど進んでいる例を見聞きしないようにも思います。
私自身、人事管理には「勘、コツ、経験」がとても大切だと思っています。
それ抜きで人事管理を行うことは危険、とすら思うほどです。
が、だからといって客観的根拠がなくていいかと言えば、それは疑問です。
私学は異動がほとんどないといっていい組織ですから、
特に「主観と客観」のバランスは重要なのではないでしょうか。
まずは自校園内の人事情報がきちんと管理されているかどうか。
アクセスの制限なども含め、セキュリティの確認は必須です。
そして次に、その情報が有効に活用されているかどうか。
人事の検討の際に、客観情報が活かされているかどうかも、
ぜひ確認をして頂きたいと思います。
誰かの覚えがいいから、とか、誰かがこう言っていたから、
というだけで人事を管理するのではなく、
過去の職歴や勤務歴を記録し、
それらを客観的に踏まえた未来志向の人事がなされることを願っています。
(文責:吉田)