御校での労務管理、どんな状況でしょうか。
以前は学校という職場の特性もあり、
労務管理の必要性はそれほど強く認識されてこなかった…
というのが実情ではないでしょうか。
事実、我々が関わる各校においても、
労働時間の管理すら十分に実施していない、
というケースが未だに散見されます。
ところが近年、学校現場においても他の職場と同様、
心身の不調を訴えるケースや
長時間労働の実態が明らかになっており、
労務について環境を整備する必要に迫られる例が
多く見られるようになってきました。
一方で、これまで学校管理職は労務に関する知識習得の機会が限定され、
またその必要性も決して強調されてきておらず、
「三六協定ってなに?」
「就業規則なんて読んだことがない」
といった校長先生や教頭先生も珍しくないような…
そこで、本日は厚生労働省から公表されたこんな冊子をご紹介します。
全27ページとボリュームは大きくありません。
そして、中を覗いてみてお分かりの通り、
非常に簡易な言葉での説明がなされています。
感覚的には法学部の1回生(1年生)に読ませるような…
という印象です。
各校には各校ごとの労務に関するルールがありますが、
その大前提となる規定について、
必要最低限の知識が得られるようになっています。
例えば、「年次有給休暇」の項目にはこんなことが書かれています。
年次有給休暇は、原則として労働者の指定する時季に与えなければなりません。しかし、労働者が指定した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時季に変更することができます(時季変更権)。
年次有給休暇1日に対しては、就業規則その他で定めるところにより、①平均賃金、②通常の賃金または③労使協定により、健康保険法に規定する標準報酬月額の 30 分の1に相当する金額(その金額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上 10 円未満の端数があるときは、これを10 円に切り上げる。)のいずれかの金額を支払わなければなりません。
アルバイトやパートタイム労働者でも、①6か月間の継続勤務、②全労働日の8割以上の出勤、③週5日以上の勤務という3つの要件を満たせば、有給休暇は正社員と同じだけ付与しなければなりません(週4日以下の勤務であったとしても、週の所定労働時間が 30 時間以上であれば、正社員と同じだけ有給休暇を付与しなければなりません。)。なお、週の所定労働時間が4日以下で、週の所定労働時間が 30 時間未満の場合でも、その所定労働日数に応じた日数の年次有給休暇を付与しなければなりません。
いかがでしょうか。
有給のことなんて当然知ってるよ、という方も多いと思いますが、
こうやって言葉を読んでいくといろいろ気付きもあるのではないでしょうか。
学校における労務管理は、学校全体で考えていくべきものであり、
特定の部署や役割の方にすべて任せるものではありません。
ぜひこのような冊子を有効活用していただければと思います。
(文責:吉田)