少し以前の記事になりますが、興味をひかれた内容でしたので本日はそちらをお届けいたします。
朝日新聞より。
学力調査の順位、騒ぎすぎ? ほぼ横並び、3ポイントの間にひしめく 教諭がグラフ化
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成績発表の時に大騒ぎになる全国学力調査ですが、実際にはそんなに差がないんじゃないの?というシンプルな疑問を感じた学校の先生が、それを「証明」した、という記事。
都道府県別の中学国語のうち基礎知識をみるA問題の成績を一つひとつ、方眼紙に落としてみたところ、上位5県と下位5府県を除く37都道府県は、わずか3ポイントの間にひしめきあっていたとのこと。
実際、記事に掲載されているグラフを見ても、ほとんど差がないように見えます。
数学A、そして国語と数学B問題(応用力を試すほう)もグラフにしたところ、やはり大差ないという結果だったそうです。
入試などにおいてはここでいう「わずか3ポイント」が合否の分かれ目になることも多いとは言え、一般的な学力を図る上で正答率が3ポイント高いあるいは低いことがそれほど問題なのか、と言われればそうではないように思います。
マスコミもあおるし、この材料を活かして教育の枠組みを変えることを狙う為政者もあおるために、成績の差が独り歩きしている実態もあるのかもしれませんね。
本論から少しそれますが、この記事を見ながら、情報をどう見せるか、によって意見を誘導するという可能性、危険性を改めて感じています。
本件のグラフも、記事で掲載されているものは縦軸が「50~90%」で展開していますが、これを同じ面積を用いて「65~85%」に範囲を狭めれば、きっと各都道府県の差は大きく見えることでしょう。
このように、分かりやすくシンプルにすることで情報量が減り、情報提供者がフォーカスしてもらいたいところに絞った情報が提供され、結果として提供者の意図にはまってしまう…これは実際にはよくあることだろうと思います。
情報を素直に受け止めること、そして同時に批判的な視点も持つということ、そのバランスが情報を捉える際には必要になるのかもしれません。
そして、逆に情報を提供する側になった時には、誠実さを失わない一方で、必要以上のマイナスのバイアスがかからないような情報提供の仕方を吟味することで、学内に無用な争いを生まない工夫ができるように思います。
実際私も仕事上、議論の材料を提供することは多々ありますが、その際に同じようなことを考えて資料作成を行っています。
情報を活用する技術、身につけておきたいですね。
(文責:吉田俊也)
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