このブログで何度か採り上げた日経新聞の連載、
「教育への投資を考える」。
もう1本、興味深い記事がありましたのでご紹介します。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
クラス内人数をどうするか、というのは経営全般に影響を及ぼすため、
特に私学においては常に議論になる話題なのではないでしょうか。
教学では「1クラスでそれほど多くの生徒に目が届かない」
というご意見があり、クラスサイズは縮小させる方向に行きがちで、
一方、経営サイドは配置教員数等、経営資源の配分の観点から
クラスサイズは拡大させる方向に行きがち、
というのが一般的な構図かと思います。
ではどのくらいのクラスサイズがいいのか。
実際のところ、クラスサイズの影響を計測するのは簡単ではありません。
というのも、例えば大人数クラスと少人数クラスの
それぞれに所属する児童生徒の平均的な学力を比較しても、
観察できない学校外での教育機会が影響している可能性があるから。
そのため、学級編成ルールを利用した研究が主流となります。1クラス40人以内とするルールを考えます。入学人数が40人ならば40人クラスですが、偶然の理由で入学人数が41人となれば、20人と21人のクラスに分割します。入学人数が40人と41人の学校が限りなく近い性質を持つならば、両者の学力差はクラスサイズによると見なせます。
こういった方法を利用してどんな結果が出ているのか。
記事にあるのは以下のような内容です。
・全国学力・学習状況調査とその保護者票による分析結果
→中学生ではクラスサイズ縮小の学力への効果は必ずしも大きくない
ただし経済的に不利な生徒への効果は大きい
・ある都道府県の公立学校の小4~中3の児童生徒パネルデータによる分析結果
→学力に対するクラスサイズ縮小効果は観察されず
・東京都足立区の児童生徒パネルデータによる分析結果
→クラスサイズを半減させても児童生徒の学力の伸びに与える効果は1カ月から2カ月分程度
これらをもって筆者は、
「クラスサイズ縮小が学力に与える効果は大きくない可能性があります」
と評しています。
いろいろな見解があるところかとは思いますが、
ひとつのエビデンスとして、今後の私学経営を考えてみたいと思います。
(文責:吉田)