今日は日経の記事をピックアップしてみました。
以前から話題になっている奨学金制度についてです。
(有料会員限定記事となっております。ご容赦ください)
先日、ある学校法人の方から「企業寄付が減っている」とのお話をお聞きしました。
以前の大企業は、経営者自身の出身校をはじめ、所在する地域の神社、公的機関等に結構な金額の寄付をしていた、とのこと。
ですが時代が変わり、株主からの圧力が強まったこともあってなかなかそういった利益の処分方法が認められなくなってきたのではないか、とのこと。
学校や地域に収益を還元するというのは遠い将来を見据えた活動。
それに比べると、株主配当を何%にするというのはより刹那的な利益処分だと思えて仕方がないのですが、確かにそういう風潮であることは間違いないのだろうな、と納得しました。
そのような中で今回の制度は、国内産業活性化のための人材育成であるという、未来を見据えた制度を想定したのではないでしょうか。
記事には「国と経済界が連携して大規模な奨学金制度を創設するのは異例」と書かれており、留学前に寄付企業による研修を受けることを義務付ける点などは企業の利益誘導にならないか懸念は感じざるを得ませんが、それでも学生に対する経済的支援はいろいろな方法で確保されてよいのだろう、とも思います。
ちなみにこの「海外留学生向け奨学金制度」の制度概要をおさらいしますと、
・企業からの寄付がベースになる
・対象は大学生や院生のほか、高専生や専門学校生も
・世界トップレベルの大学での研究や新興国でのインターンシップ、芸術やスポーツの分野での留学などを想定
・第1弾として2014年度に大学生ら300人を派遣予定
・研究費や生活費として月12万~最大20万円を支給するほか、30万円を上限に留学先の学費の一部も補助
・希望者は、1カ月~1年間の留学計画を自ら立案し、在籍する学校を通じ申請
・今月10日~4月21日まで応募受付
・6月に寄付企業の担当者や有識者を交えた面接などで選考
といった内容になっています。
この制度に基づく寄付を集めるため、昨年から文科大臣が各企業に出向いて寄付を要請しているとのことで、その成果はある程度表れているのでしょう。
単体の私学が寄付を集める時に大臣級の人材を動員することはまず不可能ですが、企業に寄付を求める方向性自体は十分に真似できるものではないかと思います。
数十億円、数百億円という規模の寄付を集めることは難しいでしょうが、通常の学校法人であればそこまでの金額は必要ないとも思います。
優秀な人材を求めるのは何も大企業に限ったことではありません。地元の町工場だって、目の前のスーパーマーケットだって、今や収益確保、経営改善のために人材を重視する企業は圧倒的多数です。
わずかな金額でも、収益源が限られている私学にとっては有り難いことこの上ありません。
しかも、地元をはじめとする企業との関係性を作っておくことはきっと学校の財産になるでしょう。
地域社会のために何ができるのか。
学校は社会の財産として、その観点を持ち続けていただきたいと思います。
そしてそれが地域に浸透すれば、きっとそのころには寄付を募るお相手はたくさん生まれていることでしょう。
誰もが幸せになる、そんなストーリーを描けるといいですね。
(文責:吉田)