寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

派遣時給、3年で3割上げ

学校現場においても派遣社員を活用されているケースは決して少なくないでしょう。

その派遣社員の処遇が変わるかもしれない、

という記事が先月掲載されました。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

厚生労働省派遣社員に勤務年数や能力に応じた賃金を支払うよう人材派遣会社に義務づける。同じ業務で3年の経験を積んで業務内容が変われば、初年度より賃金を3割上げるなど具体的な指針をまとめた。「同一労働同一賃金」の制度が2020年4月に始まるのに合わせ、正社員との賃金差を縮小する。

 

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記事によりますと、現在の派遣社員の賃金は、

平均で正社員より2割ほど少ないそうです。

これを底上げし、同一労働同一賃金に対応することが

今回の制度改正の主旨のようです。

 

人材派遣会社にとっては、人手不足が深刻な現状で賃金が上昇すると、人材を集めやすくなる面がある。ただ「派遣先企業に働きかけて、派遣単価を上げてもらう必要が出てくる」(スタッフサービス・ホールディングス)。企業がコスト増を敬遠して派遣社員の活用に慎重になれば、派遣社員の雇用機会が減っていく恐れもある。

 

働く本人にわたる金額を同一にしようとすると、

派遣社員を活用する会社や学校にとっては、

直接雇用よりもずいぶんと高くついてしまうことになりそうです。

社会保険料等の負担がない、といったことと併せて考える必要はありますが、

それでも派遣社員を選ぶ、という職場はどのくらいあるのでしょうか。

 

加えて、賃金アップに関しても、担当業務が経験に応じて上がるケースにおいては、

・1年後…16.0%増

・3年後…31.9%増

・5年後…38.8%増

となる指針が示されています。

1年で16%アップというのは、一般企業における正社員でも

なかなか実現が難しいアップ率ではないかと思うのですが…

 

さて、この改正が実現した場合、

学校現場における派遣社員の活用は、どんなふうに変わって行くのでしょうか。

貴校園の現状、そして将来への影響について、

この機会に少し考えてみてもいいのかもしれませんね。 

 

(文責:吉田)

 

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私大経営「外の目」で規律

大学ではガバナンスがここのところよく話題に上るようですね。

新聞でもそのような記事を時折見かけます。

先日の日経新聞の記事を見てみましょう。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

少子化を受け、大学が経営力向上のためガバナンス(組織統治)改革に相次ぎ乗り出している。学長の権限を強化したり、外部の人材を招いて経営体制の透明性を高めたりといった施策が中心だ。一部の私大では意思決定の迅速化など前向きな効果も出始めている。

 

今回の記事で紹介されているのは芝浦工業大学です。

同大では2014年からガバナンス改革を始めており、

その成果も出ているとのこと。

目指したのは学長の強力なリーダーシップの下で戦略的に動く米国型の大学運営だ。教授会による介入を防ぐため、教授会は学長の「諮問機関」に位置づけた。今では学長が学部長や研究科長を実質的に選び、経営側の理事会が追認するルールが定着した。

日本の多くの私大では経営執行部が強く、学長の地位が低い。ところが芝浦工大では「理事会は学長が腕を振るえる環境を整える黒子役」(五十嵐理事長)と、学長を全面的に支援する。

 

特にユニークなのが「監事の充実」。

とかく名誉職扱いになりがちな監事を増員(2→3名に)、

しかも全員を常勤にしたというから驚きです。

監事は学外の民間出身者を起用し、学内出身者によるなれ合いも排除。

理事長は「常に『見張られている』という緊張感がある」とコメントしています。

監事がきちんと機能している私学の存在をあまり知らないのですが、

チェック機能がちゃんと働くことによって経営の質は上がるようです。

 

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上智大学では学長の選任方式を変えたとのこと。

多くの私大では

「全教職員の投票で選ばれた候補を理事会が追認」

するのが通例化していますが、同大では

・外部人材も加わった「学長候補者選考委員会」が候補者を選考

・候補者から複数人を理事会に推薦

という手順をたどります。

理事会が実質的に学長を選べるようになった点が

これまでと大きく異なる点でしょう。

 

また、学校法人神戸学院では理事会の機能を強化するため、

理事会の多数派である卒業生理事のバランスを変え、

外部出身の理事が2人就任した、と記事に書かれています。

定例理事会の開催も増加(年4回→6回)。

法人のあり方について、より踏み込んだ議論ができる体制にしたそうです。

 

経営目標の実現のために最重要とも言える、体制整備。

さて貴校園ではどのようにそれを整えますか。 

 

(文責:吉田)

 

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給与、デジタル払い遠のく

キャッシュレス決済はいくつかのトラブルを経ながら

少しずつ広がってきているように感じます。

そして、デジタルマネーも広がっていく…のでしょうか。

ひと月ほど前になりますが、こんな記事が出ていました。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

 

デジタルマネーで給与を払えるようにするための規制緩和が遅れている。政府は2019年度の実現をめざしているが、お金を預かる民間事業者が破綻した場合にすぐに現金を引き出せる仕組み作りが難航している。銀行の預金保険並みの制度は事業者にとって負担が重い。万一の際に利用者を保護する安全網の設計が滞り、異業種の参入で金融業界の技術革新を促す流れを阻んでいる。


現在の労働基準法によれば、給与の支払いについては、

現金払いが原則で、銀行口座への振込すら法律上は例外扱いとなっています。

さすがに一般企業では現金支給は相当少なくなってきていますが、

学校では「一部現金払い」というような方法がまだ残っていることを

耳にすることもあります。

これが今後、支払方法としてデジタルマネーによるものが加わり、

銀行口座を介さずスマートフォンの資金決済アプリなどに

送金できるようにする、というのが政府の考え方のようです。

 

一方で、デジタルマネーを扱う業者に万一のことがあれば、

給与が失われてしまうリスクも出てきます。

記事によれば、どうやらこのリスクヘッジの方法が固まらないために、

制度設計がうまく進んでいないようです。

 

 

 

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今回の記事に関係がなさそうでありそうな話なのですが、

以前、某私学で

「給与の現金払いを銀行振込に変えたいが、

 教職員の同意が得られず困っている」

というケースに出会い、少々驚いたことがあります。

(それほど古い話題ではありません)

 

何かを変えようとする際に強い抵抗が示されることがありますが、

それが本質的な問題なのか、それとも形式的な問題なのか、

しっかり見極めながら対応していきたいところです。

さて私学でもデジタルマネーで給与が支払われる時代が来るのでしょうか。

 

(文責:吉田)

 

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中高一貫校と東京一極集中

先日、人口統計で東京への偏在を採り上げました。

その後、中高一貫校の存在が東京一極集中という傾向をさらに強めてしまうのでは、

という興味深い記事が掲載されましたので、

弊社夏季休業前、最後のブログとして採り上げたいと思います。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

夏休みにかけて中学生向けの高校説明会が本格化する中、首都圏で高校受験の選択肢が狭まりつつある。東京都立の中高一貫校のうち高校から入れる両国高校など5校が応募が少ないとして2~3年後に高校募集をやめる。「十五の春は泣かせない」と公立高校の門戸を広げた蜷川虎三京都府知事の母校は今の両国高校。様変わりする高校入試をどうみるだろうか。

 

東京都立の中高一貫校が高校からの募集を停止することは

以前のこのブログでも採り上げました。

この傾向は都内の私学でも同様であり、

他地域では少々信じがたい「中学受験の活性化」が

現実のものになりつつあるようです。

 

この中高一貫校が東京一極集中を加速させる一因との見方が政府内にある。東京から地方への移動で減っているのが子どもたちと若い女性だ。親が地方に転勤しても子どもが小学生だと中学受験に備えてついてこない。共働きの妻には仕事があり、子育て環境の改善で乳幼児も東京に残せる。

 

なるほど、子どもが小学生のうちなら転居もOK、

と考えていた各家庭がそうでなくなる、という意味では

記事が指摘するような可能性はあるのかもしれませんね。

ただ、親の転勤そのものも減少していくのでは、

という見方もありますので、

東京一極集中に対する中高一貫校のあり方を考えることは

優先順位が高いことなのかどうか、慎重に考えねばならないように思います。

 

一方で、地方での教育環境を求めて移住や転居を検討するご家庭も

出てきているのが現状です。

都内では地方公立高校が募集行事を展開されているそうで、

その様子が記事にも書かれています。

 

都内での地方公立高校の募集行事は盛況だ。鹿児島の奄美大島から参加した古仁屋高校の福壽恵子教諭は「島で過ごしてみたいという中学生は予想以上に多い。親の説得材料を求める子もいる」とたくましさに目を細める。多様な価値観に触れることを大切に考える子どもたちが増えているのは心強い。

 

国内でもボーダーレスが進んでいくのでしょうか。

せめて心の中のボーダーは消えていきますように、と願いつつ…

 

それでは皆様、よいお盆休みをお過ごしください。

 

(文責:吉田)

 

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消費者心理冷え込み

消費増税のタイミングが近づいてきました。

「この10月の増税は確実なんですよね?」と聞かれる機会も多いのですが、

一税理士には「そうです」と言い切ることもできず、

かといってこのタイミングでのちゃぶ台返しはさすがにないだろう、

とも思っているのですが…

日経新聞にはこんな記事が先月中ごろに出ました。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

消費者心理の悪化が続いている。内閣府の消費動向調査で、消費マインドの強さを示す消費者態度指数は6月まで9カ月連続で低下。4年7カ月ぶりの水準まで落ち込んだ。前回2014年4月の消費増税時と比べても悪化ぶりが際立つ。名目賃金は増加傾向にあるものの物価上昇のペースに追いつかず、実質の所得が伸び悩んでいることが背景にある。

 

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ちなみに、先月末にも同じ日経新聞にこんな記事が掲載されました。

 

www.nikkei.com

 

大きな買い物、蓄積できる物品の購入は増税前、

という心理が働きやすいのですが、各校園ではいかがでしょうか。

この夏休みに施設整備等にかかる工事をされているのは

増税と無関係かもしれませんが、

計画的な購買が可能なものもいろいろあるでしょうから、

早めにご検討いただくとよいかもしれませんね。

 

ただ、そんな駆け込み需要も、今回はあまり盛り上がっていないようです。

 

今回、税率の低いうちに買い物を済ませる「駆け込み需要」も過去の増税前と比べて目立たない。政府が軽減税率のほか、住宅や自動車で消費増税後の反動減を抑える給付金や減税などの対策を打ち出している効果もあるが、エコノミストの間では消費の基調そのものが弱いとの声が多い。

 

将来不安が消費を冷え込ませている状態がずっと続いている、

というふうにも見ることができると思いますし、

そもそも消費増税のたびたびの延期で、

冒頭の話題ではありませんが「今回も延期されるのでは?」という

憶測が駆け込み需要を鈍化させているのかもしれません。

 

消費行動が以前とは変化してきている日本経済。

学校教育に対するお金の使い方には

現時点でそれほどの変化はなさそうな気もします。

これが今後も続くのか、それともそれも変わっていくのか。

いずれにせよ、学校教育の内容充実に努めていくべきことは変わりません。

消費税の枠外にある教育サービスの重要性を改めて認識したいですね。

 

(文責:吉田)

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人口、東京圏0.4%増

人口動態は学校にとっても非常に重要な指標です。

先月発表された人口に関する情報を改めて押さえておきましょう。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

 

総務省が(7月)10日発表した2019年1月1日時点の住民基本台帳に基づく東京圏(1都3県)の総人口は、前年比0.41%増の3661万人だった。外国人の集計を始めた13年以降で6年連続の増加となった。地方圏に加え東京を含む三大都市圏のうち名古屋、関西も減少し、東京圏が唯一増加を続けている。


この直近の調査によると、全国の総人口は0.21%減の1億2744万人。

このうち東京圏に住む人は実に28.73%を占めています。

(もちろん、この比率も引き続き上昇しています)

 

そして、東京圏の中でも、東京都が0.76%増(1374万人)で

他地域よりも大きな伸び率となっています。

神奈川、埼玉、千葉の3県はいずれも0.20%前後の伸び率とのこと。

 

さらにその増加している中身にも特徴があります。

東京圏の国籍別住民は、日本人が0.23%増の3552万人、外国人は6.55%増の109万人となり、外国人の高い伸びが目立った。全国に占める首都圏の割合も日本人が28.47%に対し、外国人は41.05%となり、外国人が日本人以上に東京圏に集中していることが浮き彫りになった。

 

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東京への人口偏在、外国人の増加、そして外国人自体も偏在…

事実としての減少を把握して、中長期の学校運営について

しっかり考えていかねばなりませんね。

大人にとっての夏休みの宿題になりそうです。

 

(文責:吉田)

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夏のボーナス、7年ぶり減

ちょいと時間が経ってしまいましたが、

今年の夏のボーナスはどうだったか、見ておきましょう。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

日本経済新聞社がまとめた2019年夏のボーナス調査(最終集計、7月1日時点)で全産業の平均支給額は前年比0.37%減の83万9844円だった。5年連続で80万円台となったが、7年ぶりのマイナスとなった。企業の業績不振を反映しており、米中貿易戦争などの影響で電機や鉄鋼、繊維などの業界が全体を押し下げた。

 

例年お伝えしていますが、この調査は上場企業などを対象としたものです。

どうかくれぐれもご注意ください。

ただ、今年はここ数年と少々様相が変わっています。

こんな記事も日経新聞に出ていました。

 

 

www.nikkei.com

(こちらも有料会員限定記事となっております。 ご了承ください)

 

2019年夏のボーナス調査(最終集計)では、全34業種のうち6割強にあたる22業種で18年夏の実績比で支給額を減らした。製造業と非製造業の両方がマイナスとなったのはリーマン・ショックの影響を受けた09年以来、10年ぶり。米中貿易摩擦などで企業業績の停滞感が強まる中、今冬や来年にかけてのボーナス支給の大きな伸びは期待しにくい状況だ。

 

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業種別で下落率が大きかったのは不動産・住宅(12.37%減)で、

他にも繊維(4.68%減)、食品(2.79%減)、商社(2.47%減)

といった業種でも減少しています。

各学校法人の夏の賞与はいかがでしたでしょうか。

毎年変動することが前提の一般企業に比べ、

学校の賞与はかなり安定感があると思います。

ただ、賞与はあくまでも業績還元の性質を持つものであることを

忘れてはならないでしょう。

 

 

そしてお待ちかね?、中小企業はどうだったのか、ですが、

こうなっています。

 

中小企業の夏季ボーナス支給状況

 

いつものように大阪シティ信用金庫さんのデータになりますが、

ポイントを確認しておきましょう。

  • 賞与を「支給する」と答えた企業は59.6%で、昨年夏より0.3ポイント減少。支給企業割合が減少するのは3年連続。
  • 1人当たりの平均支給額は昨年に比べ1,814円多い262,570円。支給額が増加するのは7年連続となり、リーマン・ショック前の水準にほぼ回復。

 

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景気がいいような話が聞こえてきますが、

6割の企業しか夏の賞与を支給できていないのが現実なのですね。

 

この統計、日経が採り上げるとこんなタイトルになります。

見える景色が違ってきそうなタイトルに驚きます。

www.nikkei.com

 

賞与の金額も、大企業は平均80万円超なのに対し、こちらは26万円。

学校法人の多くは中小企業ですが、

その賞与水準は大企業並みであるケースが多いのではないでしょうか。

このことをかみしめながら、いろいろな活動を展開していかねばなりませんね。

 

(文責:吉田)

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