寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

大学法人のトップと学長 役割明確に

国立大学法人が複数の大学を経営できる、という1法人複数大学制。

アンブレラ方式と呼ばれるその制度の議論が進められています。

記事は少し古くなりますが、日本経済新聞より。

 

www.nikkei.com

(全文読むには会員登録が必要です。ご了承ください) 

 

今後の少子化を見据え、大学どうしの連携を強めつつ、

経営体としては統合しようというこの制度について、

法人トップと各大学長の役割分担が明示されています。

 

国立大学法人の長は法人経営の責任者として人材や資源、予算を掌握。複数大学の教員や施設を効果的に活用するためにリーダーシップを発揮する。一方、学長は法人全体の経営方針に従いつつ、各大学の教育研究の実施体制、カリキュラムの編成などで一定の権限や裁量を持つ。

 

一般企業で言えば、社長と支店長のちがい、といったところでしょうか。

ただ、下図に記載されているように、

法人トップと学長を兼ねることもできるとされています。

兼務がいいのか悪いのか、という議論も今後深まっていきそうです。

 

 

f:id:ysconsult:20181207074415p:plain

 

国立大学のこのような動きが強まる中、

私学はどのように変わっていくのでしょうか。

経営人材の不足も目に付くようになってきた昨今、

今後に向けた経営体制の確立は喫緊のテーマと言えるでしょう。

 

ちなみに、本年度末にはこの有識者会議の最終結論が出るようです。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

海外で日本語教育拡大

教育サービスそのものを海外に輸出する。

これもひとつの政府方針ですが、

民間企業ではすでに進みつつあるのかもしれません。

日本経済新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

海外で日本語を教える事業を拡大する動きが広がっている。人材大手のヒューマンホールディングス(HD)は海外の大学で日本語授業の提供先を増やすほか、学習塾の成学社は韓国で日本語教育を始める。外国人労働者の受け入れ拡大を受け、日本語を学んだ人材の引き合いが高まっていることが背景にある。

 

海外の労働力の受入について、先般入管法改定が急ぎ成立し、

いよいよ本格的にその流れが強まる可能性が出てきていますが、

技能実習生、あるいは留学生のアルバイト等の外国人労働者数は

2017年10月時点で約128万人に達しています。

なんと直近6年で90%増。すごい増え方です。

つまり、このような動きを前提にすれば、

日本語を学びたいという外国人材はかなりの数に上ることになります。

 

 

文化庁によると、日本語教育施設は大学や自治体の国際交流協会、民間を合わせて17年時点で2109カ所。2年前から5%増えたが、日本語学習者数はこの間に25%も増えた。海外でも日本語教育施設は増えており、日本語能力試験の応募者数も17年に102万人と過去最高を更新した。

 

実は弊社事務所の近所にも、日本語学校があります。

最近は以前にも増して盛況のようですが、

一方で生活マナーを習得させるのに苦労しておられる様子も伺えます。

決められた場所に駐輪する、外で大声で話をしないなど、

日本では当たり前のことが海外では当たり前でないことも多いのでしょうね。

 

現在は学習塾系の企業の海外進出が目立ちますが、

日本の教育機関、学校が海外でも存在感を示す日も遠くないのかもしれません。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

働き方改革の実現不透明?

教員の働き方改革がどうなっていくのか。

そんな記事が少し前の日経新聞に掲載されました。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

教員の働き方改革中央教育審議会は6日、公立校の教員の残業時間を原則「月45時間以内」とする文部科学省の指針案を了承した。ただ「深い学び」を目指す新学習指導要領への対応や部活動の運営など学校現場が抱える課題は多く、実現性は不透明。同省は細かな対策を積み重ねて改革を進める考えだが、保護者をはじめとする地域社会の支援も必要になる。

 

f:id:ysconsult:20181207073021p:plain



今回の指針案では、教員の時間外労働の上限目安を原則月45時間、

年360時間に設定されています。

特別な事情があっても月100時間未満、2~6カ月の月平均で80時間。

年間で720時間まで。

民間企業の働き方改革関連法にならった形です。

 

一方、今回の記事には気になる現場の声が掲載されています。

現場からは懐疑的な声も上がる。「働き方改革なんて、外国のことみたい」。関西地方の中学校で働く40代女性教諭は冷めた口調で言う。

2017年度、運動部の顧問を任された。朝練で午前6時45分には自宅を出て、放課後の練習や授業準備を終え、帰路に就くのは午後9時ごろ。月100時間超の残業を正直に申告すると、管理職から短く書き直すよう命じられた。

スポーツ庁が今年3月に策定した運動部活動の指針は週2日以上の休養日を設けるなどとしたが、変化はない。「長時間預かってほしいという保護者の声に応えざるを得ない面もある。今回も文科省の理想通りにはいかないのでは」。企業と違い、学校の働き方改革には地域社会の理解と支援が欠かせない。

「地域社会」とありますが、もっと直接的に言えば

「家庭」や「保護者」ということになるでしょう。

いくらしくみを整えようとも、価値観や考え方を変えないと

社会は動かない、というのは学歴偏重と同じ構造なのかもしれません。

 

今回の記事は公立校が念頭におかれているようですが、

仕事内容に公私の差はほとんどありません。

私学での働き方改革もまた、どのように進んでいくのか…

働く環境の整備は、将来に向けてその業界を志そうとする

若者たちの動向にも大きな影響を及ぼすことを、忘れてはなりません。

 

最後に、今後の施策の方向性に関する記述を引用しておきます。

 

働き方改革関連法には罰則があるが、答申素案は罰則の導入には「慎重であるべきだ」とした。労働時間を年単位で調整する変形労働時間制の導入も提言。文科省は導入する自治体が条例化できるよう教職員給与特別措置法(給特法)の19年度改正を目指す。

 

「残業代」という大きな問題が残っている、学校業界。

これからもこのニュースから目が離せそうにはありません。

 

(文責:吉田)

 

www.ysmc.co.jp

新たな共通テストへの対策は授業改善?

大学入試が変化しようとしています。

各大学はもちろん、その準備期間にあたる各高校でも、

入試への対応が課題となります。

ではどんな対応が図られているのか?について、

日経新聞にこんな調査結果が掲載されていました。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

11月10~11日に本番前最後の試行調査が行われるなど、2020年度の導入が近づいてきた大学入学共通テスト。進路情報を提供するさんぽう(東京・渋谷)が高校の進路指導担当に共通テストの対策での取り組みを聞いたところ、日々の授業を重視していることがわかった。

 

 

 

この調査は今年7~8月の実施で、全国533校から回答が得られたとのことです。

最多回答が「授業・定期考査改善」(35.4%)だったこと、

その他にも教科ごとの分析や記述試験対策など、

当然考えられる回答が並ぶ中で、最も気になるのは

2番目に多かった「検討中」(18.1%)。

記事には「対策に悩む学校があることもうかがえた」とありますが…

 

ただ、この調査時期は今年の夏。

年末が迫るこの時期には、さすがに「検討中」はかなり減ったのではないでしょうか。

いや、減っていなければいけない、と思います。

 

それでも、テスト対策はあくまでも結果論であって、

あるべき教育内容に向かって、改良が進められる、というのが本来の教育現場です。

知識と知恵が存分に生かせる人材を育てるべく、

教育機関の皆様には最善を尽くしていただきたいと願っております。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

「正社員の給与下げるな」

すでにご承知かと思いますが、同一労働同一賃金に関する指針が発表されました。

各紙一斉に報道されましたので、そのうちのいくつかについて

リンクを貼っておくことにします。

 

www.jiji.com

 

上記時事ドットコムの記事では、

「指針案では企業に能力や経験、勤続年数、貢献度に応じて

 適切な賃金を支給するよう求めた」

と、事実のみに近い形で報道されています。

 

 

mainichi.jp

 

本日のブログタイトルに使わせていただいたのがこの毎日新聞の記事です。

本文を少し引用しておきます。

非正規労働者に支給する基本給や残業代などの各種手当は原則として正規社員と同等にするほか、正社員の待遇を非正規レベルに引き下げて格差を解消する手法を「望ましくない」と明記した。

 

ガイドラインは、勤続年数や能力、成果が同じ場合は正社員と原則同額の基本給や賞与を支払うよう求めた。ただし、正社員にだけ転勤や異動がある場合は、基本給の格差は認める。

 通勤手当や出張旅費、食事手当などの各種手当を同一とし、休憩室や更衣室、社宅の利用など福利厚生も同じように受けられるとした。一方、退職手当や住宅手当、家族手当などについては「不合理と認められる待遇の解消が求められる」と言及するにとどめた。

 

ちなみに、朝日新聞の記事にはこんな図が掲載されていました。

分かりやすかったので以下に転載します。

 

f:id:ysconsult:20181206073726p:plain

 

さて今後、各私学においてもこのガイドラインに従った

賃金設計が検討されることになるのでしょう。

目の前のガイドラインも重要ですが、

将来の学校経営を見据えての制度構築を目指していただきたいところです。

特に、年齢給がこのまま維持できるのか、という点については

十分な検討が必要だと感じます。

賃金制度は一朝一夕には出来上がりませんので、

少しでも早めのスタートを意識していただければと思います。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

 

大学連携・統合へ3方式

先月報道された内容ですが、ご容赦ください。

日本経済新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

中央教育審議会の総会は26日、18歳人口の減少や劇的な技術革新に対応する高等教育のあり方について、柴山昌彦文部科学相に答申した。大学などの連携、統合を進める3つの方式を提言。教育課程や教員の登用にも柔軟性を求めている。文科省は答申を受けて法改正などの検討を進める。


まず押さえておきたいのは、この答申の前提となる時期はいつごろか、という点です。

記事には

「18年生まれの子供が大学を卒業する、

 40年ごろの高等教育を取り巻く社会情勢を前提とした」

と記載があります。

しくみづくりというのはこれくらいの時間を先取りする必要があるのでしょうね。

国策はさておき、私学は自らのしくみをつくらねばなりません。

ぜひ早めのご検討をお願いします。

 

さて答申の中では、2040年の高等教育機関への進学者数は

2017年比で2割減と推計しています。

そして、その進学者数に合わせた適正規模を模索する観点から、

大学等の連携や統合の枠組を以下の3つに整理しています。

(1)国立大学法人が複数の大学を経営できる1法人複数大学制

 (アンブレラ方式)

(2)地域の複数の国公私立大が単位互換などで連携する

 一般社団法人の大学等連携推進法人(仮称)

(3)私大が経営悪化などを受け、学部単位で他大へ事業譲渡できる仕組み

 f:id:ysconsult:20181207082115p:plain

 

法人と学校種の関係は今後何らかの形で変化していきそうな気配です。

経営と教学の分離が進むのでしょうか。

はたまた、鍋蓋式からヒエラルキー構造への転換がなされるのでしょうか。

経営の形態については、各法人においても考察を進める必要があるでしょう。

国策の議論の行方とともに、各法人の方向性に注目です。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

 

賃金引上げ等の実態

大げさなタイトルのように見えますが、統計の名称です。

厚生労働省より。

 

www.mhlw.go.jp

 

まずは調査対象をチェックしておきましょう。

会社組織の民営企業で、製造業及び卸売業,小売業については常用労働者30人以上、その他の産業については常用労働者100人以上を雇用する企業のうちから、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した企業を調査客体とした。

ここからお分かりの通り、小規模企業は含まれません。

また、会社組織の民営企業が対象であることにもご留意ください。

ちなみに今回の公表資料は、常用労働者100名以上のサンプルのみの

集計となっています。

 

そして概況です。

1 賃金の改定
(1)平成30 年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)で、前年より上昇した。
(2)平成30 年の1人平均賃金の改定額(予定を含む。)は5,675 円(前年5,627 円)で、前年より増加、改定率は2.0%(同2.0%)で、前年と同水準となった。 

定期昇給等の実施
(1)平成 30 年中の賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施し又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同 77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇した。
(2)定期昇給制度がある企業のうち、平成 30 年中にベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同 26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇した。

 

あくまでも平均値ではありますが、昇給する企業数は前年よりも増加し、

昇給幅はほぼ前年並み、ということが分かります。

人手不足もあり、賃金の上昇圧力が大きくなっているのでしょうか。

 

学校法人は本統計に直接的に含まれていないようですが、

経営環境が向かう方向はこちらであることを把握しておくべきでしょう。

次年度に向けた準備が進むこの時期、

労務環境の整備も同時に進めていただければと思います。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp