寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

私学行政の現状と課題等について

文科省HPにこんな資料がアップされました。

 

私学行政の現状と課題等について

 

パラパラと見ているだけで、現時点の論点整理ができてしまう印象です。

目次を引いておきます。

1.教育政策総論
(1)私立学校を取り巻く現況
(2)第3期教育振興基本計画について
(3)高等教育に関する将来構想について
2.学校法人制度の改善方策の検討状況
3.学校法人運営調査における経営指導の充実
4.平成31年度私学関係概算要求・税制改正要望について
5.高等教育に関する各種政策について
(1)高等教育の負担軽減の具体的方策
(2)地方創生に資する大学改革
(3)新たな高等教育機関

 

それぞれの具体的な中身はこれまでの本ブログでも採り上げたものが多いので、

今回は全体のご紹介にとどめることにいたします。

ぜひ一度ご確認くださいね。

 

そんな中で、昨今の収支状況の推移が掲載されていましたので

これを転載させていただきます。

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大学及び高等学校は4割、短大は半数以上が赤字です。

たまたま、ある年度が赤字でした、というのであればやむを得ませんが、

この資料を見ると恒常的・構造的に赤字、という例が多いことが分かります。

高校は以前に比べると状況は改善されていますが、

それでも4割というのは決して低い数値ではありませんよね。

 

今回ご紹介した資料には、私学行政において課題として捉えている内容が

網羅的に記載されています。

ぜひともご参考にしていただき、

自校園にとって必要な方向性と具体的施策を考える材料にしてくださいね。

 

(文責:吉田)

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初任給の状況

毎年公表される統計です。

厚生労働省HPより。

www.mhlw.go.jp

 

採用難の時代ですから、特に初任給の状況はしっかり押さえておきたいですね。

全般的には若干上昇しているようですが、

企業規模別にみるとこんなふうになっています。

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大企業の女性が減少しているのが少し気になりますが、

概ねどの企業規模においても上昇しています。

ただ、異なる企業規模を比較した際の格差は若干存在していますね。

 

そして産業別ではこんな状況です。

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教育・学習支援業は前年から下がっています。

少子化による顧客減が影響しているのでしょうか。

 

今回ご紹介したのは初任給ですが、これ以外の賃金情報も含め、

適宜チェックしておきましょう。

このブログでも都度ご紹介してまいります。

 

(文責:吉田)

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中小企業の4人に1人「年休取得ゼロ」

年次有給休暇の取得が義務付けられることになりました。

各校園では対応が進んでいることと思いますが、

先日こんな記事が掲載されました。

日本経済新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

調査は10月1~5日に首都圏と関西圏の10都府県に住み、企業に勤める20~64歳2000人にインターネットで実施。年休の権利を得てから1年間で実際に取得したかどうかを聞いた。「まったく取得しなかった」との回答は、従業員数100人未満の企業に勤める人の24.8%。100~999人は14.8%、1000人以上は7.7%で、規模が小さい企業ほど取得できない傾向があった。人手不足を背景に休みづらい職場環境がありそうだ。

 

有休がなかなか取れない、という理由の一つはやはり多忙さ。

この記事を読みますと、月残業時間が増えるほど年休が取れなかった、

と回答する割合が増えており、そのことを裏付けています。

 

一方で、有休の取りづらさのもう一つの大きな理由は

職場の雰囲気や風土にある、と言えるでしょう。

学校や幼稚園の場合には特に、通常の平日に取得が難しいですから、 

影響の少ない時期を選びつつ、その取得が促進される風土づくりを

進めていく必要があるのかもしれませんね。

 

(文責:吉田)

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学校経営情報2018年12月号を発行しました

いよいよ今年も大詰め、師走に突入しました。

学校では入試をはじめ、次年度に向けた準備が本格化してきますね。

先日訪れた学校ではすでにインフルエンザが流行しているとのことでした。

冬になるとこういったことも気になります。

気苦労が増える季節かと思いますが、くれぐれもご自愛ください。

 

さて今月号の情報誌を発行いたしました。

ぜひともご覧ください。

www.ysmc.co.jp

 

12月号はこんなラインナップでお届けしております。

  • 偉人のことば「天知る、地知る、我知る」
  • 教えて、先生! 「不合理を活かす私学経営とは?」 
  • 学校法人会計を読みこなそう(中級編)「本当に大切な分析指標はどれ?!」
  • School Management Review「校外での「総合学習」推進」

 

インタビュー記事では大学教授が登場、

楽しくも気付きの多いお話をしていただきました。

 

学校法人会計の連載記事では分析指標を採り上げ、

本当に大事な指標について考察させていただきました。

 

そして今回の広告では法律事務所をご紹介しております。

学校法務はここ最近重要度が高まっているように感じますので、

ご参考になれば幸いです。

 

以上、全8ページの力作?!、ぜひともご堪能ください。

 

それでは今月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:吉田)

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「正しいことをする」を人事評価に

先日の日経新聞に掲載されたこの記事に感銘を受けたのでご紹介します。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

企業の不正、企業経営者の不正、そしてスポーツ界の不祥事…

記事にも紹介されていますが、コンプライアンスにもとる実例は

昨今、枚挙に暇がありません。

その原因のひとつを目の前の締め付けに頼りすぎている組織ルールにあるとして、

本記事の筆者はそれとは逆のアプローチ、

「エモーショナル・コンプライアンス」を提唱されています。

 

「正しいことをしてスッキリした」

「顧客の役に立ち、褒められてうれしかった」

といった気持ちを引き出すことによって、

自ら正しい行動を心がけるようになる、

と筆者は書いておられます。

なるほど、ほとんどのことは「禁止」されることによって

抑圧ややりにくさを感じますが、

自らこうしよう、と思ったことについては

自然と行動に移せるものですよね。

 

そしてその際に重要なのが人事評価制度である、と。

ルールを破ったら減点というマイナス評価ではなく、進んで正しいことを行うことをプラスに評価すべきだ。米国の航空会社では、定時運航しただけで社員にボーナスを出すことがある。コンプライアンスと利益を両立できる方法はほかにもあるはずだ。

研修も重要だ。正しいことをすることが、どれだけ誇らしくうれしいかという感覚を、リアリティーを持って感じられる研修に切り替える。仮想現実(VR)など最新のテクノロジー活用も一案。社員にディスプレーを装着し、不正に陥りやすい状況からの切り抜け方を体験させれば、自信も持てるだろう。

 

教員を対象とする人事評価制度の実例はまだまだ多くないかもしれませんが、

今後導入を検討されるという学校法人さんはもちろん、

評価制度はなくとも「懲罰型」の評価思考が標準的である組織においては

ぜひともご一考いただければと思う記事です。 

 

(文責:吉田)

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火災保険料 来秋引き上げ

消費税の税率アップが控えていますね。

学校でもコストアップが見込まれる中、

これにどう対応するか、悩ましく思っておられる経営者さんも多いことでしょう。

 

それに加えて、こんなニュースも入ってきました。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

大手損害保険3グループは2019年秋に火災保険料を引き上げる方針だ。国内で自然災害による保険金支払いが増えて収支が悪化しているためで、引き上げは4年ぶり。西日本豪雨や大型台風など風水害が相次いだ18年度の保険金支払額は大手3社で計1兆円規模に膨らむ見通しだ。今年のような風水害が今後も続けば、家計や企業の保険料負担が増える基調が続く可能性がある。

 

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記事によれば、台風被害等を保証する火災保険が5%前後、

地震保険料が4%弱、それぞれ上がるだろうと見られています。

今年も地震や台風の被害が相次ぎましたので、

やむを得ないのかな、とも思います。

そして災害の発生確率が今後に向け高まるとすれば、

なおのこと保険料は上がっていくことが予想されます。

 

学校は施設の重要性が非常に高い事業体です。

そして当然のことながら、台風や地震等で被害を受けるケースも多いでしょう。

損害保険の重要性が高まる中、痛い出費のかさみ方かもしれませんが、

しっかりと手当てしておきたいところです。

 

(文責:吉田)

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2040年に向けた高等教育のグランドデザイン

一昨日、表題の答申が中教審から示されました。

今後20年を見据えたグランドデザインです。

まずはしっかりその内容を押さえておきましょう。

 

まずは紹介ページのリンクを貼っておきます。

 

2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申):文部科学省

 

まずは本文から、本答申が示す

「高等教育改革の実現すべき方向性」

を確認しておきましょう。

 

・ 高等教育機関がその多様なミッションに基づき、学修者が「何を学び、身に付けることができるのか」を明確にし、学修の成果を学修者が実感できる教育を行っていること。このための多様で柔軟な教育研究体制が各高等教育機関に準備され、このような教育が行われていることを確認できる質の保証の在り方へ転換されていくこと。

・ 18 歳人口は、2040 年には、88 万人に減少し、現在の7割程度の規模となる推計が出されていることを前提に、各機関における教育の質の維持向上という観点からの規模の適正化を図った上で、社会人及び留学生の受入れ拡大が図られていくこと。

・ 地域の高等教育の規模を考える上でも、地域における高等教育のグランドデザインが議論される場が常時あり、各地域における高等教育が、地域のニーズに応えるという観点からも充実し、それぞれの高等教育機関の強みや特色を活かした連携や統合が行われていくこと。

 

そして、概要を転載します。

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この答申のキーワードの一つは「多様性」だ、と私は思います。

学生やカリキュラムのみならず、

教育を提供する教員も、高等教育機関そのものも多様であるべし、

との提言がなされていると感じました。

 

そして、多様になれば中身がより分かりにくくなる、

そこで「質保証」という課題が現れます。

この点についても答申は必要性を強く説いています。

これは、教育を提供する高等教育機関のガバナンスという観点も

含んでいると考えて良さそうです。

 

さてこれからの高等教育機関はどんな組織になっていくのでしょうか。

浮世離れした学術研究機関、というよりも、

まるで社会の縮図がそこにあるような、

人と人との混ざり合いを私はイメージしてしまいました。

皆様はいかがでしょうか。

 

本日のブログの最後に、

「私立大学の役割」として書かれている箇所を引用しておきます。

 

私立大学については、学部学生の約8割の教育を担うなど、様々な学生に対し門戸を開き、それぞれの「建学の精神」に基づき、多様性に富み、独創的な教育研究を行う役割を担っている。また、私立大学は一部のエリートだけではなく、私立大学の教育研究の多様性によって、複雑な社会の変化に対応できるより多くの国民を育成し、一人一人の労働生産性を大幅に引き上げるため、幅広い年齢層に及ぶ中核人材の教育機会を保障し、国民の知的水準を底上げする役割がある。そのための知識・技術の創造拠点を、大学の独自性に沿って創ることも、私立大学の役割である。このため、私立大学は多様性の保持を明確にした上で、それぞれの「建学の精神」に基づき、学生/教員の比率等も踏まえた教育研究の更なる充実を図りつつ、その経営基盤の強化を図り、我が国の高等教育の中核基盤を支える方向で改革を進める必要がある。

 

まさに「多様性」を担保するのが私大の役割、と言わんばかりの記述です。

私学の存在意義がいよいよ問われます。

 

(文責:吉田)

 

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