寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

私大苦境…4割定員割れ

私立大学の二極化が顕著です。

 

まずは読売新聞より。

www.yomiuri.co.jp

 

記事のタイトルがすでに恐ろしいですね…。

本文ではこう書かれています。

私立大は現状でも約4割が定員割れで、先行きは厳しい。日本私立学校振興・共済事業団の17年度の調査では、私立大を運営する555法人のうち、13法人が20年度末までに破綻の恐れがあり、65法人が21年度以降に破綻の恐れがあった。

78/555≒0.14。

つまり、14%もの大学に破綻の恐れがあるということです。

 

一方で、入学者を多く集める大学もあります。

リセマムより。

resemom.jp

 

こちらも本文を一部抜粋いたします。

535大学の総志願者数(358万4,729人)に占める割合をみると、志願者数上位10大学までが30.8%、上位20大学までが46.0%、上位30大学までが56.2%、上位100大学までが83.9%にのぼる。上位100大学で、535大学の総志願者数の80%以上を占めており、残りわずか20%程度の志願者を435大学(全体の81%)がシェアしているという。

上位2割が8割の志願者を集め、残り8割が2割の志願者を取り合う、という構図。

経営学においては、こういう状態は各産業において

充分起こりうることとされていますので、

教育産業もその例から漏れない、というふうな言い方もできるかもしれません。

 

私学には建学の精神があり、教育理念があります。

どんな子供を育て、社会に送り出すのか。

その使命を改めて見つめ直し、

自校らしい在り方を早急に模索する必要がありそうです。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

部活動にかかる負担軽減の取組について

働き方改革、進んでいますか?

言葉はずいぶん一般的になりましたが、実際に改革を進めている事例は

どのくらいあるのでしょうか。

 

学校でもそのことが言われてすでに結構な時間が過ぎましたが、

特に部活動のあり方については働き方改革以外の観点からも

活動の精査や見直しを進めるべきとの指導やガイドラインが出されています。

 

文科省から、こんな資料が発表されました。

 

平成30年度教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査結果:文部科学省

 

この中に、部活動に関する調査結果も掲載されていますので、

以下転載いたします。

 

f:id:ysconsult:20180827081331p:plain

 

部活動についていろいろと言われている中で、

個人的な実感として、それが具体的に変わってきた、とはあまり感じません。

その原因がこの調査結果からはっきり分かる気がいたします。

 

まず1つに、そもそも

『⑤ 部活動の適切な活動時間や休養日について、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(平成30年3月・スポーツ庁)」に則った基準を設定している。』

という設問に対してYesとの回答が約5~6割にとどまっています。

半数ほどの自治体がそもそもガイドラインを守れてないんですね。


そして、

『⑥ 所管の高等学校において、保護者による部活動への過度の期待等の認識を変えるため、入試における部活動に対する評価の在り方の見直しや加点基準の明確化等を行った。』

という設問にYesと回答したのは市区町村でわずか1.4%、

都道府県や政令市ではゼロです。

期待値を適正にするという取組はまるで進んでいません。


さらに、

『⑦ 教師の意識改革のため、採用や人事配置等の段階において、教師における部活動の指導力を過度に評価しないよう見直しを行った。』

都道府県で約1割、市区町村で4%、政令市ではゼロ。

評価を変えずに意識や行動を変えることは難しいのではないでしょうか。

 

今後、部活動の改革はどこへ向かうのでしょうか。

やるならやる、やらないならやらない、はっきりした方向性が求められます。

 

(文責:吉田)

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空虚な謝罪

「気持ちがこもった態度」

 

…学校で教えることが簡単ではない、

しかしながら社会で活動するにはとても大切なこと、ではないでしょうか。

先日、毎日新聞にこんな記事が掲載されました。

 

mainichi.jp

スマートフォンを操作しながら自転車を運転し、歩いていた高齢女性にぶつかって死亡させたとして、重過失致死の罪に問われた元大学生の被告(20)に、横浜地裁川崎支部は27日、禁錮2年、執行猶予4年(求刑・禁錮2年)の判決を言い渡した。

 (一部文章を改編しております。ご容赦ください)

 

事故当時、この元大学生は

「耳にイヤホンをつけて音楽を再生し、

 飲料容器を持った右手でハンドルを握り、

 左手でスマホを操作しながら自転車で走行していた」

そうです。

そして判決は、

「危険を察知したとしても直ちにブレーキなど必要な措置を

 講ずることができない状態で、

 人に衝突すれば死傷させ得るという自覚も欠いていた」

と指摘しました。

 

この裁判での裁判長の言葉が記事に引用されていました。

「周囲の安全を顧みない自己本位な行為で過失は重大」

そして、

被告が「急いでいたことが事故原因」と述べたことに対し、江見裁判長は「自らの運転態度について内省が深まっていない。遺族の処罰感情が、被告の空虚な謝罪で和らいでいないのも当然だ」と述べた。

とあります。

 

先日、ある社会福祉法人の役員会に出席させていただいた際に、

こんなことを口にした理事がいらっしゃいました。

 

 事業は、方針がないといけない。方針を示すことはとても重要だ。

 方針が決まることによって、やるべきことが決まる。

 しかしながら、方針がなくとも、常識的にやるべきこともある。

 そのひとつが挨拶だ。オアシス運動はすぐにでもやるべきだ。

 

オアシス運動という言葉を久々に耳にしました。

おはよう、ありがとう、失礼します、すみません。

これらの言葉を口にすることはとても大切ですよね。

そして、その言葉は当然、気持ちを乗せて発せられるべきです。

 

空虚な謝罪は本当の「すみません」ではありません。

その感性を養う社会でありたいと思います。

 

(文責:吉田)

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英語教育強化地域拠点事業 最終報告

文科省HPより。

 

平成26~29年度「外国語(英語)教育強化地域拠点事業」最終報告:文部科学省

 

ご覧いただくとお分かりの通り、

自治体のものがずらりと掲載されています。

全部は確認できていませんが、 

学テでも常に上位、そして今回の甲子園も大いに沸かせた

秋田県のものを引用してみましょうか。

 

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秋田県では小中高一貫した系統的な指導方法を模索されたようですね。

小中高の連携事例は他にもあります。

下記は奈良県の事例です。

 

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「連携」は今後のキーワードになってくるでしょう。

これは公立だけの話ではありませんよ。

私学も他校種・他法人・他機関とどうつながっていくか…

さて御校はどう考えますか。

 

(文責:吉田)

学校現場における業務改善加速事業

働き方改革、チーム学校の実現…

そして人材採用に困難を極める昨今、

学校での業務改善は避けて通れません。

 

文科省からこんな情報発信がなされています。

 

平成30年度学校現場における業務改善加速事業

 

それぞれの自治体や大学等においてテーマを決めて、

業務改善を実践し、結果を報告する、というスタイルの事業のようです。

現在実施中の事業ですので、結果はまだ出ていませんが、

テーマを見ているだけでも事項のヒントになるかもしれません。

という趣旨で、以下にテーマだけを列記しておきます。

 

≪北海道≫
○ 研究テーマ:共同利用型校務支援システムを活用した業務改善の在り方及び域内職員の業務改善に対する意識啓発の在り方の研究
岩手県
○ 研究テーマ:専門スタッフ等による学校でのチーム体制の構築組織文化の形成を図る学校組織マネジメントの在り方に関する研究の推進による業務改善
宮城県
○ 研究テーマ:地域と連携した教職員の多忙化解消と次世代の学校運営の構築に向けて~宮城県学校運営支援本部を核とした県下取組の推進~
≪埼玉県≫
○ 研究テーマ:学校版カエル会議教育委員会との取組の両輪による「働き方改革4つのステップ」による業務改善の推進
≪千葉県≫
○ 研究テーマ:小中学校における学級担任業務支援の取組~学級事務支援員の配置を通して~
新潟県
○ 研究テーマ:学校事務の機能強化による業務改善と、多忙化解消アクションプランの
取組推進により、子どもと向き合う時間の確保と学校教育の充実を目指す。
≪石川県≫
○ 研究テーマ:外部の専門家・専門スタッフとの連携による学校における業務改善のあり方
≪長野県≫
○ 研究テーマ:関係機関と連携し、保護者や県民を巻き込み、「長野県 学校における働
き方改革基本方針」に基づく取組を着実に実行し、教員の働き方を大胆に改革する。
岐阜県
○ 研究テーマ:業務の効率化・最適化、教職員の意識改革、機能的な学校組織体制の構築による教員が子どもたちと向き合う時間の確保と教育の充実
静岡県
○ 研究テーマ:業務改善加速に向けた多角的・効果的な取組に関する調査研究
三重県
○ 研究テーマ:統合型校務支援システムによる学校事務の機能強化と教職員の事務負担軽減
滋賀県
○ 研究テーマ:教職員の意識改革および教員以外のスタッフの力を活かすことによる働き方改革の推進
京都府
○ 研究テーマ:京都式チーム学校の推進
大阪府
○ 研究テーマ:業務改善の課題意識の醸成に向けた先進的取組みを実施する自治体への
支援
奈良県
○ 研究テーマ:学校事務の機能強化を通じた教職員の担うべき役割の明確化など、教職員の働き方改革の実践研究
島根県
○ 研究テーマ:教職員のライフ・ワーク・バランスの向上と学校教育の質の向上を図るための「学校業務改善アクションプラン」の実証研究
岡山県
○ 研究テーマ:専門スタッフ、地域人材等を活用した教員が担う業務の役割分担と業務の適正化
広島県
○ 研究テーマ:学校の自律的・継続的な業務改善の取組の仕組みづくり及び専門スタッフ等による学校でのチーム体制の構築
山口県
○ 研究テーマ:「山口県 学校における働き方改革加速化プラン」に基づく実効的かつ総
合的な取組に関する調査研究
徳島県
○ 研究テーマ:ワーク・ライフ・バランスをベースにした業務改善と部活動の在り方の検討~共同学校事務室の機能を活かして~
愛媛県
○ 研究テーマ:学校の業務改善による教育の質の向上と教職員の「働き方」意識改革
高知県
○ 研究テーマ:チーム学校の構築による教員の働き方改革の推進~「学力向上」と「働き方改革」を相関して進めるために!~
熊本県
○ 研究テーマ:校務の情報化と学校事務機能の強化による校務改革と児童生徒の学力向上について~校務支援システムの活用による効率化を通して~
≪鹿児島県≫
○ 研究テーマ:子ども支援に向けた学校のチーム体制及びサポート体制を構築し、組織の機能化を通して、教職員の多忙感・負担感の軽減を図る。
さいたま市
○ 研究テーマ:教員志望者の意識改革に関する研究、学校事務の機能強化による業務改善の研究、地域学校協働本部がかかわる部活動の在り方についての研究
新潟市
○ 研究テーマ:教職員の長時間勤務を縮減し、教職員がワーク・ライフ・バランスを確立し、健康で生き生きと子どもと向き合うための働き方改革の研究~教育委員会内各課を横断した取組と関係団体等との連携を通して~
静岡市
○ 研究テーマ:部活動における教職員の負担軽減
信州大学
○ 研究テーマ:長野県教育委員会との連携を活用した国立大学附属学校業務改善モデルの構築
大阪教育大学
○ 研究テーマ:働きやすく、学びの深まる学校づくりプロジェクト~今、国立大学附属学校園にできること~
愛知教育大学
○ 研究テーマ:附属学校における働き方改革の取組

太字は筆者が付したものです。

この太字をざっとご覧いただいて、ピンときたものはありませんでしょうか?

もしあれば、それが御校の業務改善のきっかけになる取組なのかもしれません。 

 

(文責:吉田)

 

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政策決定過程を見学してきました

1週間で2回の東京出張、というのはひょっとすると今回が初めてかもしれません。

 

前の土曜日は東京国際フォーラムで開催された私学展を見てきました。

ブログ記事はこちらです(大阪の私学展がメインではありますが)↓

ysconsult.hatenablog.com

 

そして昨日は、自民党本部の文部科学部会を傍聴。

文部科学省概算要求・税制改正要望に関する議論を目の当たりにしてきました。

私自身、わずかしかなかった官僚時代には経験できなかった与党の部会。

とても貴重な機会となりました。

 

 

最初の議案は傍聴することができず、2つめの議案が始まる少し前に入室が許され、

部屋の一番奥へ。

「予約席」と書かれた紙が置いてあるパイプ椅子に座り、

しばし様子をうかがっていると、

20名程度の国会議員さんと30~40名程度の文科省職員さんが

こちらの島と向こうの島に分かれて座っていることが分かりました。

それ以外に、100名以上?の方々も陪席されていて、

誰だろう?と思っていたのですが、どうやら議員秘書さんだったようです。

 

議員さんご本人は会の冒頭には結構いらっしゃったようですが、

会が進むにつれ退席される方が1人、また1人と増え、

会の終了時点までいらっしゃった議員さんは10人を切っていたような…

別の会合もあってお忙しいのでしょうかね。

 

さて本題の概算要求については昨日から今日にかけての報道でもあるように、

エアコンやブロック塀等、施設整備がメインテーマになっているようです。

www3.nhk.or.jp

昨日の部会でも議員さんから最も多く要望されたのもまさに「エアコン」でした。

 

では私学は…といえば、部会中にその要望は全くと言っていいほど

聞かれませんでした。

あえて言うなら、ブロック塀の補修工事等において、

それに対する補助制度ができる前に工事をしてしまった私学に対しても

同様の補助が可能になるように工夫せよ、との議員さんの声があった程度です。

(ただ、これはとても大切な指摘だと思います)

 

与党の部会から政策の議論が始まっていく、昨今の政治行政。

私学としてどのような政策を求めていくのか、

先を見据えた企画と具体的な働きかけが必要だと感じました。

私学全体の発展を図るため、私学の同業者団体はもちろん、

各私学においても動いていくことが大事なのかもしれませんね。

 

(文責:吉田)

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学校施設におけるブロック塀等の安全点検等状況調査の結果について

大きな台風が近づいています。

地震や大雨、台風など今年は特にいろいろとやってきていますが、

これからはもっと…なのかもしれませんね。

 

6月に起こった大阪府北部地震では学校のブロック塀が壊れて、

痛ましい事故が起こってしまいました。

それを受けて、文科省がブロック塀の調査を実施した、

その結果が掲載されていましたのでご紹介します。

 

学校施設におけるブロック塀等の安全点検等状況調査の結果について

 

結果の概要がグラフで示されていましたので掲載します。

f:id:ysconsult:20180822073820p:plain

 

全51,082校のうち、ブロック塀等を有する学校は19,953校。

そのうち、安全性に問題があるブロック塀等を有する学校数は12,652校。

そしてそのうち、応急対策が完了している学校数は10,140校となっています。

ちなみに、応急対策とは「撤去や注意喚起、近寄れない措置等の応急的な安全対策」を指しているようです。

 

私もあちこちの学校に出入りさせていただいていますが、

ブロック塀がある私学も当然見かけます。

先般の事故も必要な補強等がなされていれば防げたかもしれず、

やはり学校の安全対策の必要性を痛感します。

このようなことがあるたびに学校は厳しい目にさらされますが、

だからこそ、常日頃からの活動が重要であると言えるのでしょう。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp