寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

働き方改革、参議院審議入り

今国会の最重要課題とされる「働き方改革関連法案」が6月4日に参議院本会議で審議入りしましたね。

先月31日に衆議院を通過した働き方改革関連法案ですが、

高度プロフェッショナル制度や、残業時間の罰則付き上限規制、

正規・非正規労働者の不合理な待遇差を禁じる同一労働同一賃金の導入などさまざまな内容が含まれていますね。

6月20日まで国会は会期延長され、法案成立の公算が高いようです。

 

学校現場においては今回の規制対象外ですが、同一労働同一賃金や残業時間の上限規制については、いずれこの罰則が適用される可能性があるのではないでしょうか。

ある日突然対応しようとしてもこれらの諸問題に対応することは難しいでしょう。

 

今国会に提出されている「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の概要を抜粋します。

 

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特に注目されることとして、

①労働時間の見直し、特に時間外労働の上限規制導入

②労働時間の状況の把握の実効性確保

フレックスタイム制の見直し

④労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

などが挙げられるのではないでしょうか。

 

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同一労働同一賃金ガイドライン平成28年12月に公表されていますので、

問題となる例をおさらいしてみましょう。

①基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合

<問題となる例>

・基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給しているE社において、無期雇用フルタイム労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの職業経験を有することを理由として、Xに対して、Yよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない。

 

②基本給について、労働者の業績・成果に応じて支給しようとする場合

<問題となる例>

・基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給しているC社において、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合に行っている支給を、パートタイム労働者であるXが無期雇用フルタイム労働者の販売目標に届かない場合には行っていない。

 

③基本給について、労働者の勤続年数に応じて支給しようとする場合

<問題となる例>

・基本給について労働者の勤続年数に応じて支給しているB社において、有期雇用労働者であるXに対し、勤続年数について当初の雇用契約開始時から通算せず、その時点の雇用契約の期間のみの評価により支給している。

 

基本給に関する事例だけでも3パターンあります。(実際はもっと事例があると思いますが…)

同一労働同一賃金ガイドラインには手当や福利厚生についても細かく事例が紹介されておりますので、お時間がある際に一度お目通しいただければと思います。

 

法律が適用されてからの対応では間に合わないかもしれませんので、今から制度設計に取り組んでみてはいかがでしょう。

 

(文責:長森)

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Society5.0に向けた人材育成

Society5.0、ですって。

ご存知でしたか。

文部科学省から、こんな情報発信がなされています。

 

Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会:文部科学省

 

そもそもSociety5.0とは何ぞや、という点については

内閣府HPに記載があります。

 

Society 5.0とは
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

 Society 5.0 説æå³

 

そして、そんなSociety5.0で活躍する人を育てるための人材育成、

というのが冒頭のリンク先記事のテーマのようです。

 

掲載されている資料にはこんなことが書かれています。

学校が変わる。学びが変わる。 ⇒Society5.0における学校(「学び」の時代)へ
・一斉一律授業の学校 →読解力など基盤的な学力を確実に習得させつつ、個人の進度や能力、関心に応じた学びの場へ
・同一学年集団の学習 →同一学年に加え、学習到達度や学習課題等に応じた異年齢・異学年集団での協働学習の拡大
・学校の教室での学習 →大学、研究機関、企業、NPO、教育文化スポーツ施設等も活用した多様な学習プログラム

 

「社会構造が変われば、学校での教育内容も当然変わってきますよね」

そんなことが言いたげな記述になっていますね。

 

狩猟社会から農耕社会へと変化したとき、

あるいは工業中心から情報中心の社会へ変化したとき、

それぞれにおいて活躍する人材のイメージは確かに大きく変化したことでしょう。

今回の社会変革、すなわちSociety5.0への変化においても、

当然同様のことが起きるというのは想像に難くありません。

 

その中で、学校は子どもたちのどんな育ちを目指すのか。

単なる高学歴への進学や有名企業への就職だけでは測ることができない、

新たな物差しが登場してくるのかもしれません。

そして、それが今後の学校選択において重要な要素となる、かもしれません。

 

御校ではSociety5.0への準備はお済みでしょうか。

この機会に一度考えてみてもいいのではないでしょうか。

 

(文責:吉田)

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非科学的”スポ根”はもう古い?運動部活動イノベーション

スポーツ庁より平成30年3月19日に公表された

「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」の中では、

運動部活動の見直しが迫られていましたが、ここにきて少しずつではありますが各自治体での動きが出てきましたね。

市区町村レベルでは、スポーツ庁ガイドライン策定後に、

京都市名古屋市川崎市などが基準や方針を策定しました。

また、学校単位でも方針を定め、教員や保護者らへ周知徹底を図っている例も出てきています。

働き方改革の目線から、学校閉庁日を設ける自治体も増えています。

 

弊社のブログでも何度も登場している運動部活動について、

スポーツ庁のWebマガジンに次のような記事が出ています。

sports.go.jp

 

記事の一部を抜粋しますと、

日本体育協会が海外事例の研究を行ったところ、

活動時間は最大でも1週間に16時間が限度で、

それを超えると明らかにスポーツ障害や燃え尽き症候群が多くなることが分かったのです。

併せて、少なくとも週に1~2日は休まなくてはならないというデータも出ています。

との記載があり、続いて、

強くなるためにはむしろ十分な休養が必要だという調査結果が出ており、

実際に練習時間を減らすことで大会成績が上がった部活もたくさんあります。

怪我の件数が減ることに加えて短時間の練習によって集中力が高まり、

練習の質が向上するというメリットがあるのです。

と記載されています。

 

では実際に、休養日を設けることで本当に運動能力は向上するのでしょうか。

 

「陸上競技ジュニア選手を対象としたピーキングに関する研究」(大堀孝・鈴木省三)

こちらの論文のなかでは、試合に向けたコンディション調整の結果が記載されていますが、練習1日のあと、休息日を2日設けていることが確認できます。

 

 

スポーツってやればやるほど伸びそうだと思っていたのですが奥が深いですね。

強くなるためには休養も重要であると思い知らされます。

 

後半の記事では部活の大会規定の見直しについても触れられています。

sports.go.jp

 

記事にもあるように四六時中部活に明け暮れていると、

勉強したり、友人と遊んだり、家族と過ごす時間はほとんどなくなってしまいます。

 

部活動では、仲間と共有したかけがえのない時間、

大会での思い出など、大人になっても色あせることのない瞬間を思い出させてくれます。

そんなかけがえのない部活のために、今回は生徒目線での部活動の在り方についてご案内いたしましたが、先生・生徒双方にとってよりよい環境づくりを検討されてみてはいかがでしょう。

 

(文責:長森)

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セミナーをふりかえって

先週金曜日、弊社主催の学校経営セミナーを開催いたしました。

 

本年度のものとしては3回目の開催でしたが、

梅雨入り直後ということもあってか、参加者数は過去2回に満たず、

こじんまりとしたセミナーになりました。

講師を務める私としては、このくらいの人数だと

かえって有り難いところではあるのですが、

ご参加いただく方々にはできるだけ多くの方と知り合っていただきたい、

とも思っていますので、その意味では少々残念ではありました。

 

今回のテーマは「人材育成」。

学校法人においては優先度が下がってしまいがちなテーマですが、

今後に向けては決して避けて通ることのできないテーマであると

私自身は考えております。

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(セミナー当日の様子です。オープニング直後です)

 

冒頭はデータの確認。

人材市場の統計等を確認したうえで、採用環境について情報整理。

さらには採用のあるべき形についても少々触れさせていただきました。

「採用」は今回のセミナーのメインテーマではなかったのですが、

人材を考えるにあたっては避けて通れない、ということで、

少々時間を割かせてもらった次第です。

 

その後は人材育成についての考察。

育成方法をOJT、Off-JT、SDに分類し、

それぞれの特徴について確認しました。

さらにはそれぞれの育成法における留意点を共有し、

学校法人における育成のしくみづくりについて考えてみました。

 

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(当日の様子です。グループディスカッション中です)

 

最後に人材育成のための人事考課制度にも言及させていただきました。

学校・幼稚園の現場においては評価制度の必要こそあれ、

その方法を十分吟味しないと日常業務に支障をきたすばかりか、

組織を瓦解しかねない危険性があります。

この点、学校法人に適した人事考課とは何なのか、

という点について実例をご紹介しながら触れさせていただきました。

 

今回も内容をやや欲張ってしまった感があり、

3時間ではお伝えしきれなかったところもあったのが反省点です。

ただ、皆様からは

・人材育成に必要な要素を整理して説明されたので、実践したみたいと感じました。

・ポイントがまとめられており、理解しやすかった。資料も具体的でよかった。

・今まさしく現場で問われている課題であったから、事例も取り入れて研修していただきよく理解できた。

との嬉しいお声をいただくことができ、ほっとしております。

 

次回は8月3日。

学校経営を取り巻く課題を総ざらえいたします。

www.ysmc.co.jp

すでにお申込いただくことが可能です。

上記リンクからぜひともどうぞ。

多くの方々のご参加をお待ちしております。

 

(文責:吉田)

平成30年度の司法試験、今年も予備試験合格者がトップ

毎年、この時期になると司法試験における短答式試験の結果が発表されます。

法務省は平成30年6月7日、平成30年司法試験における短答式試験の結果を発表しました。

 

平成30年短答式試験結果

 

この結果を見ると、予備試験合格者は受験者433名に対し、合格者431名で合格率99.5%となっています。

 

各大学ごとの合格率はこちらの記事からご確認ください。

resemom.jp

 

法科大学院制度の是非についてはさまざまなご意見があるものの、

法科大学院はどんどんと閉校されています。

先日も国立大学である横浜国立大学法科大学院が募集停止を発表しました。

 

resemom.jp

 

記事によりますと、

 近年は志願者数、入学者数とも減少が続き、

定員割れの状況が続いていた。

横浜国立大学には法学部がないこともあり、

「今後も状況の改善を見込むことは困難と判断した」という。

法科大学院は、在学生が教育課程を修了するまで存続する。

 そもそも大学に法学部がないところにも無理があったのかもしれませんが、国立大学でも募集停止することがあるなんて正直驚きました。

文部科学省では、公的支援の見直し強化策などを通じて、

法科大学院の自主的な組織見直しを促しており、

平成30年度の入学定員は2,330人とピーク時の5,825人から半減。

学生募集停止は、今回の横浜国立大学を含めて36校にのぼり、

学校数はピーク時の74校から38校にまで減少することになる。

と記事は締めくくっています。

鳴り物入りでスタートした司法制度改革も、こと法科大学院制度については上手くいかなかったと判断できるのではないでしょうか。 

 

このように政策における制度改革や教育改革については必ずしも成功ばかりではありません。

現状、国公立大学の一次入試では、英語試験センター試験と民間試験の併用が考えられていますが、今後の流れではその制度もいつまで続くか不透明です。

このような時期だからこそ、学校独自の教育内容が必要となるのではないでしょうか。

国際バカロレアコースをいち早く導入した東京都立国際高等学校

ユネスコスクールに指定されている東京都立三田高等学校

東京グローバル10に指定され、ハーバード大学マサチューセッツ工科大学研修を行っている東京都立日比谷高等学校などは有名すぎるかもしれませんが、

高校独自の取り組みが世間から広く支持を集めている例が増えているように思います。

入試制度改革が進むこの時期だからこそ、

御校ならではの良さを改めて考える機会にされてはいかがでしょうか。

 

(文責:長森)

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「学校閉庁日」、「夏休み短縮」など長時間労働の是正に向けた取組み

まずは本日、弊社主催セミナー開催日となっております。

www.ysmc.co.jp

お越しいただく皆様、どうかお気をつけてお運びください。

昼くらいからは雨の予報なのですが、

最寄駅から会場までは傘なしでもアクセスできますのでご安心を。

 

さて本題です。

 

2020年までに小学校の部活動を廃止するとして大きな話題を呼んだ名古屋市が、

次は学校閉庁日を設けると発表しました。

期間は8月13日から8月17日までの5日間で、

原則、部活動などの校内業務、電話対応を含む対外的業務は行わないとしています。

対象は名古屋市立の小学校、中学校、特別支援学校、高等学校、幼稚園で、

緊急時の連絡については、子どもに関することは指導室、

子ども応援委員会への相談は子ども応援室、

教職員に関することは教職員課にて対応する、とされています。

名古屋市:学校閉庁日を設けます(暮らしの情報)

 

同様の取り組みは、神奈川県の川崎市でも行われています。

川崎市教育委員会:「学校閉庁日」の実施について

 

いずれの自治体でもお盆あたりで学校閉庁日を設けるようですね。

 

また、昨年、教職員の働き方改革の一環として大きく報じられた大阪府の取組みに、「夏休みの短縮」があります。

昨年は9月1日ではなく、8月25日まで1週間前倒しした日程になったことを覚えていらっしゃいますでしょうか。

www.sankei.com

(昨年の記事です、ご容赦ください。)

 

少し気になったので、全国の都道府県の今年の夏休み期間を調べてみました。

 

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こうやって調べてみると、夏休みって驚くほど長いんですね。40日も連続して休めるなんて…学生の特権ですね。

ただ、生徒・児童は休めるかもしれませんが、学校の先生はこの期間もなかなか休めませんよね。

 

1週間の夏休み短縮で授業時限数として25~30時間は確保できます。そうすれば毎週の時限数を1時間短縮でき、教員の労働時間短縮のみならず、授業準備などに時間を割くことができ、教育内容の充実も図れるのではないでしょうか。

 

冒頭にご紹介した学校閉庁日に関して、公立校の場合だと教育委員会が学校閉庁日に対応してくれますが、私立校ではそうもいきません。

夏休みについても短縮されている学校がほとんどだと思いますしできることは限られているのかもしれません。

しかし、「できない」と嘆いているだけでは何事も前には進みません。

教育の質向上のためにも、更なる夏休みの短縮や、学校閉庁日導入も検討されてみてはいかがでしょうか。

 

(文責:長森)

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幼児理解に基づいた評価

分かるようで、よく分からない。

 

「幼児理解に基づいた評価」というフレーズを聞いての最初の感想です。

文科省の審議会で現在審議が進められているのが

この幼児理解に基づいた評価です。

 

幼児理解に基づいた評価に関する検討会:文部科学省

 

昨年の11月末から毎月1回程度開催されている会議のようです。

HPにアップされている資料の中で、こんなのがありました。

 

幼児理解に基づいた評価に関する検討会における検討課題

 

1.「幼児理解に基づいた評価」の充実について
 
• 幼児のよさや可能性などを把握し、指導の改善に生かすために、どのような工夫を図っていくことが考えられるか。 
• より多面的に幼児を捉えるため、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」をどのように生かすことが考えられるか。 
• 評価の妥当性・信頼性が高められるよう、各園で日常の記録等についてどのような工夫改善を図っていくことが考えられるか。 

 

2.指導要録の改善について 

• 幼児理解に基づいた評価の充実を踏まえて、指導要録の様式をどのように改善することが考えられるか。 
• 小学校等につないでいく点から、記入内容についてどのような工夫を図っていくことが考えられるか。 

 

3.各園の評価の充実に向けた支援方策について 

• 各園における幼児理解と評価の充実に向けた取組についてどのようなことが考えられるか。(指導資料の作成等)

 

先日、ある幼稚園からのご依頼で、園内研修会を実施したのですが、

その研修内容をどうするか、という打合せの中で、

その幼稚園の管理職各位から

「何を目的に仕事をしているのか、理解が薄いような気がする」

というご発言が相次ぎました。

日常がお忙しいあまり、目の前のことをこなすことで精一杯になってしまい、

それが子どもたちの未来にどう生きるか、という観点が希薄になる、

ということなのかもしれません。

手段が目的化してしまっている、とも言えます。

幼少期の子どもたちを保育する、教育することの難しさを

改めて感じたところです。

 

今回ご紹介した検討会においては、

「幼児期が終わる時点でどんな子供に育てるのか」

という、先ほど触れた「目的」「目標」を意識した議論がなされるようです。

そのことの重要性を強く感じながらも、

幼稚園という場の日常においてそれが実現するような具体的な方策も

同時に考えねばならないだろう、と思います。

 

とってもいいことなんだけれど、時間がなくてできないよ。。。

 

というふうにならないよう、実務にも活かせる議論の進展を望みたいところです。

 

(文責:吉田)

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