寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

教育・文化週間

この時期、週末になると、あちこちで運動会や文化祭等の行事を目にします。

季節も良くなって、運動や文化等の学びに適した時期がやってきた、

ということなのかもしれません。

 

そんな折、文部科学省HPを見てみたところ、

こんなことがかかれていました。

第59回(平成29年度)「教育・文化週間」の実施について:文部科学省

 

「教育・文化週間」…皆様、ご存知でしたか?

平成29年11月1日(水曜日)から11月7日(火曜日)までの1週間は、「教育・文化週間」です。昭和34年の閣議了解により設けられ、今年で59回目を迎えます。
この週間を中心とする前後の時期には、美術館や博物館の無料開放など、全国で2万件以上の、教育や文化に親しみ、「学ぶこと」の楽しさを体験していただくための行事が開催されます。

 

今年で59回目とは、歴史が深いんですね。

正直なところ、私はこれまでほとんど気にしたことがなかったような…

 

どんなイベントがあるんだろう?と気になった方は、

お住まいの地域のイベントを以下のリンクから知ることができます。

 

第59回「教育・文化週間」全国各地の行事一覧:文部科学省

 

大阪在住の私は、このページに記載されている大阪府のリンクをぽちっと。

すると、72ページにもわたる資料が出てまいりました。

1ページあたり6、7件のイベント情報が掲載されていますので、

全部で4~500件のイベントがあることになりますね。

フラワーアレンジメントや篆刻など体験型の学習もあれば、

認知症のメカニズムを知るといった専門性の高い講義もあり、

スタンプラリーや音楽鑑賞、地域の歴史を学んだり…と、

非常にバラエティに富んでいます。

大人でも楽しめそうなものがたくさんあって、

充実のラインナップだと感じました。

 

教育・文化週間自体は来週からのようですが、

イベント一覧を拝見すると既に始まっているイベントもありますので、

早速ご興味のあるものに足を運ばれるのもいいかもしれませんね。 

 

普段、学校で「教える」「指導する」側の皆様も、

「学ぶ」側になってみると新たな発見があると思います。

私も時折セミナー講師などをさせていただくことがありますが、

受講生としてセミナーを聴講すると気付けることが毎度あります。

 

どんなコンテンツ(内容)なら興味を持ってもらいやすいのか。

どんなふうに伝えると伝わりやすいのか。

そして、せっかくの学びを定着させるための工夫とは…。

 

学びに適したこの時期に、ぜひ。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

寝不足の高校生

明確な医学的根拠はないようですが、一般的に一日の理想的な睡眠時間は7~8時間と言われています。

私は睡眠不足になると仕事の生産性が著しく下がることを自覚していますので、以前は5時間未満が当たり前でしたが、最近は毎日7時間程度の睡眠をとるようにしています。

その結果、仕事の生産性がどれほど向上したかはわかりませんが、就業中に睡魔に襲われたり、注意力が散漫になったりするようなことはほとんどなくなりました。

 

ところで、私は毎日電車で通勤しているのですが、ある高校生の男の子が参考書を広げたまま豪快に寝てしまっている姿をよく見かけます。時には参考書が床に落ちてしまっていることにも気づかずに眠り続けていることもあります。

「えらい疲れてるんやなあ・・・」と気の毒に思いながらも、この子は慢性的な睡眠不足なのではないかと心配にもなります。

 

東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所が行った「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」の結果を見ると、十分な睡眠をとれていない中高生が多いのではないか、と思うようなデータが出ています。

 

benesse.jp

 

以下は、学年別の平均睡眠時間です。

  • 中1:7時間38分
  • 中2:7時間22分
  • 中3:7時間8分
  • 高1:6時間35分
  • 高2:6時間32分
  • 高3:6時間20分

学年が上がるにつれて睡眠時間は短くなっていることがよくわかります。

特に、高校生はどの学年も6時間台となっており、私の睡眠時間の方が長くなっています。

 

高校生にもなると、勉強に費やす時間が長くなるだけでなく、多くの場合は通学に費やす時間も長くなります。また、最近ではスマートフォンを持っていて当たり前の時代ですので、SNS等を利用した交友関係にも忙しいことでしょう。

そんなことの積み重ねにより睡眠時間が削られてしまっているものと思われますが、まだ高校生ですので、日々十分な睡眠をとってほしいものです。

睡眠不足の状態では学校の授業にも十分に集中できないことでしょう。

 

成長期の子どもにとって睡眠が重要であることは科学的に実証されていますので、十分な睡眠をとることの重要性については、社会全体でもっとクローズアップされてもいいのではないか、と感じます。

 

(文責:木村)

www.ysmc.co.jp

働き方改革“中間管理職のジレンマ”

10月16日、従業員50名以上の企業の中間管理職を対象に実施された、働き方改革についてのアンケート「ボスの本音(ボスジレンマ)調査」の結果が発表されました。

 

news.mynavi.jp

 

働き方改革の中で推進できていると感じている取り組みは以下2点。

 

①所定外労働時間の削減(64.7%)

年次有給休暇の取得促進(64.8%)

 

となっています。

 

一方、業務削減に関しては38.4%が難しいと回答しています。

また、「働き方改革に関する取り組みを推進するにあたり、会社から管理職に対する十分なサポートはありますか?」との質問には、

 

①十分にある(8.1%)

②あるが足りていない(49.1%)

③ほとんどない(34.3%)

④全くない(8.4%)

 

とサポートが不十分であると認識している回答者が9割を超えています。

 

また、部下に対するマネジメントについての悩みとしては、

①部下のパフォーマンスが向上しない(41.0%)

②部下の人事評価が難しい(39.4%)

③部下のプライベートにどこまで踏み込むべきかわからない(33.5%)

④部下のモチベーションが向上しない(33.1%)

 

と一筋縄でいかない悩みが多く寄せられています。

 

このような結果を目の当たりにすると、さまざまな業界において、

働き方改革は管理職に丸投げ傾向であるように感じます。

このようなボスジレンマの緩和には

 

①会社の十分なサポート

②部下との十分なコミュニケーション

③ボス自らのワーク・ライフ・バランスの実現

 

がカギであるのではないかと考えます。

 

また、以下の調査で毎月の勤務時間など勤労統計調査結果が確認できます。

www.mhlw.go.jp

 

この結果では、パートタイム労働者を除く一般労働者の月間実労働時間及び出勤日数を参照すると週41時間以上の勤務が平均となっています。

 

他国との比較において最近では「もう日本は働かない国になってしまった」なんて声も聞こえてきていますが、2016年統計においては、一般労働者に限れば依然として先進7か国の中で最も長時間労働となっています。

 

これらからもわかるように教職員のみなさまのみならず、

一般企業においても働き方改革は道半ばとなっている状況です。

 

働き方改革は一朝一夕では成しえないことだと考えますので、

他業界の動きも参考に、働き方改革が日本全体で進むことを望みます。

 

(文責:長森)

 

www.ysmc.co.jp

主役は「総合」から「専業」に

本日のブログタイトル、何のことかお分かりになりますでしょうか。

先日の日本経済新聞に掲載されていた記事の副題なんです。

学校とは直接関連のない記事ではありますが、

ちょっとだけ紹介させていただきますね。

www.nikkei.com

 

上場企業の変遷について紹介したこの記事。

こんなことが書かれています。

現在、上場企業は約3700社。このうち89年以降に上場した「平成生まれ」は約6割まで高まった。時価総額では3割どまりで、97年上場のアマゾン・ドット・コムや2004年のグーグルが世界の時価総額十傑に入る米市場には及ばないが、IT(情報技術)バブルやリーマン・ショックを経て東京市場でも経営力の高い企業を選別する傾向は強まっている。

日興アセットマネジメントの小林敏紀シニアファンドマネージャー「脱総合・専業化が勝ち組の共通項」と分析する。

ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは94年に上場。カジュアル衣料のSPA(製造小売り)という新業態で時価総額は一時、セブン&アイ・ホールディングスを抜いた。日本電産は平成前夜の88年上場だがモーターに専念し、パナソニック時価総額を逆転。多角化で評価された京セラも追い越した。

衣料品の中でも、カジュアル衣料の製造小売りしかやらないユニクロ

工業系でもモーターに専念して業績を伸ばした日本電産M&Aは多いですが…)。

なるほど、「なんでもやる」という総合系ではなく、

これ、という専門特化型の企業が株価(≒業績)を上げた、というわけですね。

 

かつては百貨店型、オールマイティ型の商売こそが王道、

というふうに言われた時期があります。

ところが昨今、真逆の言われ方をすることがあります。

つまり、専門店でなければ繁盛しない…と。

 

翻って私学のことを考えてみます。

少子化によって市場が縮小している学校ですが、

あれもできる、これもできる、と謳うことで

募集に効果が得られた時期もあったことでしょう。

では近年はどうでしょうか。

総合商社型の宣伝文句で生徒募集ができるかというと、

決してそうではないようにも思うのです。

御校の強みが何なのか。

それをしっかりと打ち出せることが、

安定的な募集につながるように思うのですが…

 

ちなみに、現在の上場企業数のうち6割がバブル後の上場である、

というのがこの記事の本題になっています。

バブル崩壊から約25年。上場企業の顔ぶれは半数以上が変化した、というわけです。

つまり、30年も経つと経営環境は一変していることが多い、

とも言えるのではないでしょうか。

 

30年後を意識した学校経営、ぜひ今こそ。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

現代人の語彙に関する調査より

「なんで自分はこんなにボキャブラリーが乏しいんだ・・・」

 

ブログを書くたびに、そんな自己嫌悪に陥ります。

誰のせいでもなく、学生時代に勉強をさぼって遊び呆けていた私が悪いのですが・・・。

 

そんな私の自業自得な悩みはさておき、株式会社ベネッセコーポレーションが、全国の高校生から社会人3,130名を対象に「第2回 現代人の語彙に関する調査」を実施し、結果を公表しました。

 

www.goi-dokkai.jp

 

この調査結果から、語彙力の高い人の行動や意識の特徴として、以下が挙げられています。

  1. ノンフィクション小説が好きで月1冊以上読んでいる
  2. LINEやTwitterなどのSNSを1日に15分以上30分未満使っている
  3. 語彙力が役に立った経験を持っている

どれも納得の結果ですね。

ちなみに、3の「語彙力が役に立った経験」というのは、「レポートなどの長い文章の作成」や「授業や仕事での発表・プレゼンテーション」などを指すようです。

成功体験がさらなる成功を生む、ということでしょうか。

 

また、語彙力の高い高校生は、思考力・表現力も高いという結果も出ています。

語彙力の高いグループと低いグループを比較すると、以下の能力に圧倒的な差があるとのことです。

  • 筆者の意見と事実とを区別して読むことができる
  • 文章を読むとき、細部より先に大枠をつかむことができる
  • 筆者の主張を裏付ける理由や根拠に気をつけて読むことができる

 

これらの結果から考えると、学生時代にはノンフィクション小説を読み、SNSの利用はほどほどにして、授業で何らかの発表の機会があれば、語彙力は高まり思考力や表現力も高まるということになりますね。

 

読書が様々な面において有用であることは言うまでもなく、読書の時間を取り入れておられる学校も多くあるかと思いますが、やはりアウトプットの機会を設けることが非常に重要なのではないかと感じます。

その意味では、アクティブ・ラーニング形式の授業を展開することは、子どもの成長にとって欠かせないものであると言えそうです。

 

アクティブ・ラーニング形式の授業の導入には様々な試行錯誤の繰り返しがあるようですが、子ども達の健全な成長のためにも、教職員の方々には不断の努力で前進していただきたいと切願します。

 

(文責:木村)

www.ysmc.co.jp

 

教員の退職を考える

先日訪問した幼稚園で耳にしたことです。

 

「本年度に入ってから、3名の専任教員が退職しまして…」

 

年度途中の退職。しかも3名も。すべてクラス担任、とのことでした。

 

別の先生がおっしゃるには、

「他園では5名退職されたそうなので、ウチはまだましな方ですよ」

 

…言葉を失ってしまいました。

 

近年、年度途中で退職される教員さんが増えているように思います。

インターネットで検索しても、退職を考えておられる教員さんは

幼稚園に限らず、小中高でもたくさんいらっしゃるようです。 

新規採用した教員が休職・退職されるケースが特に多いようにも思いますが、

中堅やベテランの方々も、体調を崩されるなどして

職を離れざるを得なくなることを多く見聞きしています。

 

先日来、このブログでも「学校での働き方改革」について

いろいろと書かせていただいております。

教育現場の労働環境は決して褒められたものではない、どころか、

長時間労働やハラスメントなど、問題が山積しているのが現状です。

 

先ほどの事例も、離職の理由は明らかではありませんが、

何らかの形で勤務に無理をきたしてしまった、ということなのでしょう。

夢を抱いて教育業界に来て下さったであろうと考えると

何とも残念なことです。

 

そんなとき、このような記事を目にしました。

朝日新聞より。

www.asahi.com

(記事全文を読むには会員登録が必要です。ご容赦ください)

 

この施策、教員就職率の向上を目指して、ということのようなのですが、

離職率を下げるにも何らかの手立てが必要な気がします。

教育現場の喜びや厳しさを、学生時代に知っておくことは

きっと無駄ではないだろうと感じます。

 

加えて、私が個人的に感じるのは、

 1. 学校という職場自体の環境整備

 2. 職業人としての意識と資質の向上

が重要なのではないか、ということです。

 

前者は働き方改革でも言われている内容ですのでさておき、

後者も学校では欠けていることが多いように思います。

 

職業人というものは、持ち場に就けば1年目でもベテランでも、

必ず「プロフェッショナル」です。

そのことを、学校教職員も理解して業務遂行する必要があります。

これは何も授業力といった専門性のみならず、

休暇の取り方や他の教職員への配慮といったことも当然含みます。

教育技術に関する研修への参加、あるいは開催にはそれほど抵抗感はなくても、

人間力を高める研修や社会人力を高める研修が学校において実施されている、

あるいは外部研修に参加されている学校関係者はそれほど多いようには思えません。

 

仕事とは何なのか。職業倫理とは何なのか。

さらには、仲間とは何なのか。組織とは、目標とは何なのか。

こういった基本的ともいえる事柄が、

学校現場において軽視されてしまってはいないでしょうか。

これらは退職に追い込まれる側のみならず、いやむしろ、

継続して勤務している教職員に理解や行動が求められるものです。

退職者が多く出てしまった職場においては、

特に真剣に考えていただきたいテーマです。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

労働時間管理は何のため?

本ブログでは過去に何度か取り上げていますが、8月29日に中教審の学校における働き方改革特別部会が「学校における働き方改革に係る緊急提言」を発表しました。

皆さんご存知かと思いますが、以下の3項目が緊急提言として挙げられています。

 

 ①校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること

 ②全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと

 ③国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること

 

特に、①の勤務時間については、教員の出退勤時刻の管理ができている学校が非常に少ないことを踏まえ、「自己申告方式ではなく,ICTやタイムカードなど勤務時間を客観的に把握し,集計するシステムが直ちに構築されるよう努めること。」と明示しており、早急な対応が求められます。

 

「労働時間管理」という概念のない世界で過ごしてこられた教員の方々からは少なからず抵抗があるようですが、労働時間の管理を徹底することはとても重要なことです。 

以下の記事では、その理由がわかりやすく挙げられています。

 

www.kyobun.co.jp

 

 

■理由1:義務である

第1に、緊急提言でも「勤務時間管理は、労働法制上、校長や服務監督権者である教育委員会に求められている責務である」と書かれているとおりである。厚労省からも「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)」が出ている。

わずか4ページなので、ぜひご一読いただきたい。

使用者が現認できない場合は、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」が原則である。

 

■理由2:振り返りのため

2つ目の理由は、働き方改革や業務改善を進めるには、まず、現状をしっかり把握して、反省する必要があるからである。教員の大好きな〝リフレクション〟は、働き方改革にも必要である。

例えば、学校でテストを1度も行わずに学力向上の有効な手立てを立案できるだろうか。あるいは、体重計に乗らずに、ダイエットしようとする人がいるだろうか。正確な記録と振り返りがないとは、そういうことと同じだ。

確かに、タイムカード等を導入したからといって、劇的に勤務時間の削減になるとは限らない。実際、連合総研の27年の調査によると、タイムカード等の機器で出退勤時刻管理を行っているという教員と、そうでないという教員との間で、週の労働時間に有意差は確認されなかった。

少し考えてみれば当たり前の話だが、時間の把握だけでは、仕事を減らすことにはならない。が、同時に言えることは、時間の把握もないままでは、今が危機的なのか、何を見直すべきかなども見えてこない。

 

■理由3:自分と家族を守るため

3つ目の理由として、仮に病気や最悪、過労死等となった場合、公務災害として認められるかどうかという点で、勤務時間の記録がないと、不利になる。

裁判になって何年も闘って勝てるかどうかという事案も多いのは、正確な記録がないためである。記録がないと、遺族の方には、教材や文書などの成果物を集めたり、関係者から証言をとったりする苦労がものすごくかかってしまう。その負担もあって、公務災害の訴えを断念する(いわゆる泣き寝入りする)例も多いと推察される。

 

どの理由も当然重要ですが、私は特に「理由2」が重要であると感じています。

記事中にもありますが、労働時間を管理するだけでは長時間労働が改善されないことは明白です。PDCAサイクルをしっかりと回すことが求められます。

その理解がなければ、労働時間管理はあまり意味のないものになってしまいます。

 

緊急提言を受けて各学校は対応に追われることと思いますが、ただ労働時間を管理するだけではなく、教員の方々に目的と理由をしっかりと理解してもらうことが何より重要です。 

 

(文責:木村)

www.ysmc.co.jp