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寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

同一労働同一賃金の実現に向けて

人事 制度

Googleで「同一労働同一賃金」をぽちっと検索。

 

すると、

首相 同一労働同一賃金のガイドライン 取りまとめを指示 | NHKニュース

 

同一労働同一賃金を生産性高めるテコに :日本経済新聞

 

「同一じゃない労働・同一賃金」の不思議な国・ニッポン | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

 

「同一賃金」企業内に限定 政府方針、企業間格差は容認 :日本経済新聞

 

…と、ここ数日の記事だけでも相当数に上ります。

そして今朝の日経新聞にも

「同一賃金 企業は警戒 総人件費の増加焦点」

とのタイトルで記事が掲載されています。

 

ここのところ、経営者にとって人事労務をめぐる課題は以前にもまして大変なことに。

長時間労働メンタルヘルス、期限付雇用、そしてこの同一労働同一賃金

それぞれ対応は必要ですが、御校でも今年度に入って以来、いろいろとしくみを整え、同時に現場教職員さんへの説明をされていることと思います。

 

同一労働同一賃金」は、Wikipediaではこのように定義されています。

同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念。性別、雇用形態(フルタイム、パートタイム、派遣社員など)、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払う賃金政策のこと。

学校法人で問題とされるケースの多くは雇用形態による差異、が大半でしょう。

すなわち、非常勤教職員と専任教職員の差についてどう対処するか…という点です。

しかし、本来の同一労働同一賃金を達成しようと思えば、私学における給与制度を根本から変えねばなりません。

 

その原因は「年齢給」。

例えば、クラス担任をしつつ分掌(部や委員会)にも属している専任教諭であるAさんとBさんは、かたや35歳、かたや53歳。

この両名の給与が同じ、ということはおそらくほとんどの私学においては現状「あり得ない」と思われます。

つまり、学校法人における給与制度の根幹は現時点において「年齢を基準とした俸給表」で、しかもそのほとんどすべてが右肩上がり、すなわち年齢が増すほどに基本給が上がるという設計になっていると思われます。

これが年齢給の特徴であり、そんな年齢給は同一労働に対して同一の賃金を支払う制度とは基本的に相容れないものです。

この点、今後仮に「同一労働同一賃金」が本格的に実現されねばならないとすれば、どのように考えればいいのでしょうか。

 

年齢給以外にも、給与制度で採用される賃金支給基準は様々あります。

 

職能給、職務給、職種給、成果給…

 

同一労働同一賃金が原則となるのであれば、同一「労働」、すなわち職務内容とその遂行状況によって賃金を決める方法が主流になっていくのかもしれません。

事実、学校法人以外の企業体においては、年齢給を採用していない、あるいは年齢給以外の支給基準と併せて給与支給しているという企業数が相当程度に上っています(2014年経団連調査結果より)。

 

このご時世においては、年齢給のみを基本給の基準とし、多種多様な手当を付加する形で月例給を支給しているのは学校法人くらい、とも言えるかもしれません。

ただ、同一労働同一賃金が進んでいけば、給与制度は年齢給が当然の前提、ということが言いにくくなるのではないでしょうか。

ついては、やはりまず「何に対して給与を支払うのか」という点について御校の考えをまとめる必要があるでしょう。

 

逆に、これが固まれば後は技術的な制度設計を進めていけばいいだけです。

手間は一定程度かかりますし、留意すべきことはいくつかありますが、難しさはそれほどありません。

給与制度の根幹は、何といっても支給基準、つまり「何に対して給与を支払うのか」という点にありますから、ぜひその点を組織内で詰めていただきたいと思います。

 

個人的には、現在の日本において、本来の意味における同一労働同一賃金を実現するのはかなりハードルが高い、と思っていますし、仮にそれを貫徹しようとすれば弊害がたくさん起こってしまうとも思っています。

よって、今後、様々な解釈論的?緩和策が提示されるのではないか、と推測しています。

一方で、このような議論が起こっていることをあくまでも前向きにとらえて、自校における最善の給与制度は何なのか?を考える機会としていただければと願っています。

 

弊社でも先日来、ある学校法人さんの給与制度改正のお手伝いを続けてきております。

おそらく、今後もその必要性から制度改正を実行する学校も少なからず出現するだろうと思います。

「何に対して給与を支払うのか」。

この点をしっかりお考えいただきたいと思います。

 

(文責:吉田)