今日はこのニュースを。たまには税理士らしく…
年収1000万円超、増税へ 17年以降、会社員ら対象に給与控除を縮小 政府検討
以下、ややこしいことを抜きにして書かせていただきます。
(よって正確さは少し失われます、ご容赦ください)
所得税というのは、年収、すなわち「年間」の収入に対してかかるのが原則。
が通常、サラリーマンと呼ばれる方の所得税は、「毎月」の給与や年数回の賞与から
天引きされています。
ですから、その天引きされている所得税額はあくまで概算であって、
正確な年収に対して計算されているわけではありません。
そこで、年収が確定する年末に、年収に対する所得税額を計算し直して、
毎月天引きされてきた税額との過不足を調整します。
これが「年末調整」というものです。
そして今回、議論されているのは「給与所得控除額」といわれるもの。
これは、サラリーマンの年収から「勝手に引いてもらえる経費相当額」のこと。
原則的には「年収が上がるほど、この控除額も増える」ものなのですが、
年収が高い層に対してはたくさん税負担してもらおう、という意図のもと、
このような案が出されているようです。
・年収1,500万円超→控除額を245万円で固定する(2012年から実施)
・年収1,200万円超→控除額を230万円で固定する(2016年から実施)
・年収1,000万円超→控除額を220万円で固定する(2017年から実施)
この影響は所得税だけにとどまらず、地方自治体に納める住民税も増税になります。
今回この記事を採り上げた狙いは2つ。
1つは、以前から申し上げている「家計」への影響。
今回の改正案は、「1人の大黒柱が家計を支えている高所得者世帯」に最も大きな影響を及ぼします。
共働きであればおそらく家計収入総額に対するこの増税の影響は相対的に小さくなるでしょうが、
例えば大企業や中堅企業の幹部として勤務されている世帯主さんが家計収入のすべてを担っている、
というケースでは家計の負担が大きくなる可能性を否定できません。
私学に在学する、あるいは進学予定のご子息を持つご家庭は比較的所得層が高めである、
ということを考慮するなら、この制度変更の影響はあると考えてよいでしょう。
もうひとつは、私学に勤務する教職員さんへの影響。
一般企業であれば年収1000万円というのはなかなか届かないレベル
(新聞記事ではサラリーマン全体の4%とありました)ですが、
私学においてはもう少しその割合は高まるのでは?と感じます。
この制度改正が実現すれば、年収は上がらなくとも手取り額は減るという現象が起きますので、
念のため頭の中に入れておく必要があるでしょう。
負担増のメニューが出そろいつつある今日この頃。
しっかりと情報を整理しておきたいですね。
(文責:吉田)