昨日、こんなセミナーを実施しました。
学校法人会計基準も平成27年度から新しいものになる予定ですが、社会福祉法人さんもまさに同じタイミングで新基準が導入されます。
そして、社会福祉法人さんの場合には平成23年度から準備期間がスタートしていて、いくつかの法人さんはすでに新基準での財務諸表作成を進めていらっしゃるようです。
学校法人と社会福祉法人というのは、異なる点もたくさんあるのですが、いくつかの点で強い共通点を見出すことができます。
まず、私が一番大きな共通点だと感じているのは、
「サービスの利用者と意思決定者が必ずしも一致しない」
という点です。
これはサービス業の中でも非常に特徴的な共通点だと感じます。
つまり、学校、特に年齢が低い学校の場合には、サービス利用者は「子ども(児童・生徒)」であるのに対し、意思決定者は「親」である可能性が十分に考えられます。
社会福祉法人も同様に、サービス利用者は「要介護者」「障がい者」「保育園児」ですが、意思決定者は「保護者」であるケースが圧倒的でしょう。
この特徴を持っていることで、意思決定者に対して自らの組織の強みを直接的に訴求することが難しい、という大きな課題を抱えざるを得なくなります。これが学校と福祉事業に共通する大きな悩みになります。
そして2つめの共通点は、「公共性」「社会性」です。
各種企業も当然社会的存在ではありますが、教育事業や福祉事業というのは、より一層社会の要請が強いものです。
そのために公的資金が注入され、本体事業は課税も免除されています。
そしてその分だけ、事業の継続性が強く求められるわけです。
私は個人的なテーマとして「母校をなくしてはならない」という想いで日頃活動させていただいていますが、私の想い以前に、学校や福祉施設そのものの存在は継続せねばならないものなのです。
さらに3つ目の共通点は「経営資源としての『人』の重要性の高さ」です。
両者は、いわゆる現場で頑張る方々の存在あってこその事業。
もちろん、サービス業であればどの事業であっても人が中心になるわけですが、学校と福祉事業はいずれも
能力・技術・人柄・意識・経験…
など、人にまつわるすべての要素がサービス提供に直結する点で、より現場の重要性が高い、もっと言うなら「現場がすべてを握っている」という事業体なのではないかと感じます。
だからこそ、それらの人財がいかに成長し、よりよいサービス提供ができるか、という点がとても重要だと考えられるわけです。
その一方で、学校や福祉事業において「人を育てる研修」が活発になされているか、と言えばそうではない現実…これも両者の共通点と言えるかもしれません。
その原因は日々の忙しさ、という点も両者の共通点。
ですが、現場の重要性を考えれば、もっともっと「人を育てる仕組み」と「それに向けた具体的行動」について積極的に捉える必要があるように思います。
業界を超えて、お互いが学びあう機会があれば…などと考えたりもしています。
ちなみに昨日のセミナーでは私は「管理会計」の重要性についてお伝えし、経営分析の着眼点についてご一緒に勉強させていただきました。
この話はまたあらためてお伝えすることにしますね。
(文責:吉田)
★明日は学校経営セミナー開催日です。どうぞご参加ください→<学校経営セミナー> 第12回 人事考課制度の事例研究