寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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平成26年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について

久しぶりに会計に関するネタが入ってきましたので、本日はそれをお届けしましょう。

文部科学省HPより。

 

平成26年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について(通知):文部科学省

 

これは会計の中味の話ではなく、公開度を調べた結果を示したものです。

一般企業においても財務情報の公開は原則とされているわけですが、学校法人においてもその方向へと流れは進んでいます。

まず、この情報が掲載されているページの冒頭に書かれた文章を引用してみます。

財務情報等の公開に関しては,学校法人が公共性の高い法人としての説明責任を果たし,在学生や保護者等関係者の理解と協力を一層得られるようにしていく観点から,私立学校法により,財産目録,貸借対照表,収支計算書,事業報告書及び監事による監査報告書を関係者への閲覧に供することが義務付けられています。
 私立学校法の規定は,法律により全ての学校法人に共通に義務付けるべき最低限の内容を規定したものであり,各学校法人においては,法律に規定する内容に加え,それぞれの実状に応じ,より積極的な対応が期待されています。
 文部科学省としては,学校法人のホームページ等を活用して一般に対して広く情報提供を行うよう積極的な取組をお願いしています。学生募集を停止している法人を除き全ての学校法人において財務情報等をホームページに掲載しており(学生募集を停止している法人を含めた割合は99.7%),積極的な取組が行われている状況となっております。
 一方,既に財務情報等を公開している法人のうち,公開情報に改善の余地のある法人も見受けられ,より詳細な財務情報の公開及び財務情報をわかりやすく説明するための工夫等を一層進めるようお願いします。

 財務に関する情報を開示することは各校にとって非常に抵抗感が大きいことだと思いますが、一方で、先日お届けしたブログ記事で「情報開示が進んでいる学校に志願者が集まる傾向」があるということも採り上げさせていただきました。

御校の財務情報、会計情報等についても、どのような開示をすればよりよく伝わるか、という点にぜひともご留意いただき、積極的な情報開示を進めていただければと思います。

 

さて今回の調査結果ですが、文科省管轄の学校法人(全666法人)について、財務情報を開示しているかどうかを調査したものになっています。

毎年同時期に調査されており、今回も10月時点での開示状況について結果が記されています。

一般公開をしている、という点だけに限れば、665法人、つまり1法人を除いてすべてが公開しているという結果になっています。

さらにこのうち664法人がHPでの開示を行っている、となっています。

 

ただし、開示にあたっての工夫度は法人によりまちまちです。

これは私が各校のHPから財務情報を拝見させていただく際にもいつも感じることです。

今回の調査でも、次のような結果が出ています。

一般公開にあたって財務情報を分かりやすく説明するための資料を作成している法人は91.1%

財務比率等を活用して財務分析をしている資料を作成しているのは72.8%

グラフや図表を活用した資料を作成しているのは70.3%

各科目を平易に説明する資料を作成しているのは61.7%

 このように、ほぼ100%の法人が情報を開示しているのに対し、読む側に分かりやすい資料の提供という意味合いでは大きな差があるという結果になっています。

 

個人的な感想ではありますが、それでも文科省管轄の学校法人の情報開示レベルはかなり高いと感じています。

一方、知事所管法人は開示していないケースも非常に多く、またその開示レベルも文科省管轄法人よりかなり低いのが平均的だと言わざるを得ません。

 

懐具合を知られることへの不安感は十分理解できますが、開かれた学校、支持される学校への一歩として、この財務情報の開示についてもその方法と合わせてご高察いただければと思います。