先日、ある学校を訪問した際に、その学校法人で以前理事長を務められていた方にお会いしました。
ちょうど現在の理事長もいらっしゃって、今後の経営についていろいろと議論していらっしゃるところに私もお邪魔した、というわけです。
私は常々、学校経営の羅針盤になるものとして「事業計画」の策定をお勧めしています。
もちろん、学校法人であれば事業計画書の作成及び提出は法定事項ですから、つくること自体はどの学校でもしておられることではあります。
ただ、そこに「魂が入っているか」と言えば、それは別問題、と私は感じます。
去年の計画書をなぞり、数字だけ入れ替えてみた…
そんな事業計画書は「単なる書類」であり、法定要件を満たすにしか過ぎないもの。
学校をより良く、経営をより良いものにするためには、「書類」としての事業計画ではなく、『本気』の事業計画が必要だと考えています。
ちょうどその事業計画策定の取組を進めようとしているその訪問先の学校で、前理事長はこんなことをおっしゃいました。
「以前はやるべきことをやっていれば人は集まってきた。けれど今は子どもたちが他校に奪われてしまっている。企業のように、競争に勝つことが求められている」
なるほど、と思うところと、あれ?と思うところの2つを感じたご発言でした。
まず、なるほど、と思ったこと。やるべきことをやれば人は集まる、という点。
この言葉は当たり前のようでなかなか深いものがあります。それは、逆説で考えると分かりやすいかもしれません。
なぜ人が集まらないのか。それはやるべきことをやっていないから。
確かにそうかもしれませんよね。
こうすればいいのに…と思うことがあっても、過去の経緯やしがらみなど、できない理由が先に立ってしまって、結局やらない、やろうとしない。
それをやりさえすればいいんだけど。そう感じておられる学校関係者は決して少なくないでしょう。
そして、あれ?と思ったこと。企業のように競争に勝つことが求められている…本当に?
学校は企業とは違う。私はそう思います。
最も違う点は、「利潤追求」は目的ではなく、手段である点です。
私自身は、できれば企業もそうであってほしいと願っていますが、一方でそれは簡単には実現できないことも実感しています。
学校の存在意義は建学の精神にあります。建学の精神に「利潤追求」と書いてあれば別ですが、そうでなければ、学校が経営を続ける目的は建学の精神を実現することにあります。
教育という、社会の一番の基盤にあたるところを担う事業体として、学校は経営を継続する強い社会的責務が課せられていると私は考えています。
少子化の中で、学校経営は非常に難しい時代に入ってきました。
一見すると、「他校との競争に勝つ」ことが必要だと勘違いしてしまうこともありそうです。
ですが、各校の存立意義があくまでも建学の精神にあり、活動の根底には建学の精神の実現があるのなら、各校でそれぞれ異なる建学の精神を持つ以上、学校同士が競争関係にはならないはずです。
自校の建学の精神が何なのか。それを実現するためにどんな目標を設定し、またどんな施策を計画し、それを達成・実行するのか。
そしてその結果、その学校に行きたいと思ってくれる生徒・保護者が自校を選んでくれる。
それが私学なのではないでしょうか。
よって、私学は他校と競争するのではなくて、比べる相手がいるとすればそれは「自校のあるべき姿」であるはずです。
きれいごとでしょうか。仮にそうであっても、私はそのきれいごとを捨てる気にはなりません。
まずはとことん、建学の精神に向き合っていただきたいと思います。
そしてその実現のために何をすればいいのか、それを事業計画にしっかり表していただきたいと思います。
そうそう、次回のセミナーは事業計画がテーマなんです。
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