寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理

既に発表から1カ月ほど経ってしまいましたが、

今後の学校経営において重要性が高いものと考え、ご紹介いたします。

文部科学省HPより。

 

今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理(平成29年12月28日 将来構想部会):文部科学省

 

報告書も掲載されているのですが、まずは概要を図表で確認しておきましょう。

 

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教育界におけるキーワードがたくさん登場していますね。

それぞれの事柄についてまだ具体化はされていませんが、

大きな方向性を示す事柄がまとめられています。

 

そして、全体をまとめるキーワードとして「多様化」が用いられています。

多用な分野、多様な学生、多様な教員、

そして多様性を受け止めるガバナンス。

多様になればなるほど、ガバナンスや経営はより重要性を増していきます。

20年後を見据えた経営の形を模索する必要性を感じます。

 

今回ご紹介している資料は高等教育を対象としたものですが、

この考え方自体は今後の初等中等教育にもどんどん当てはまってくるようになる

と考えられます。

特に、児童生徒の生活背景や資質がさらに多様化することや、

教員確保に向けて多様化せざるを得ないこと、

そして多様な経営要素を受け入れるためのガバナンスを構築すべきことは、

学校種が変われど必要になってきます。

そして私学の場合、それらが各私学の経営の力量となるのです。

 

具体論は、大きなビジョンに従って決められていきます。

政策のビジョンを見て、御校自身のビジョンをどう描かれますでしょうか。

今後の針路のご参考になることを願っています。

 

(文責:吉田)

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幼稚園から高校までの学習費総額

子どもの学習費総額と言っても、

学校の授業料だけがすべてではないですよね。

通学費、部活に係る費用、習い事や塾に至るまで様々な費用があります。

そんな費用にどれくらい掛かっているのかを調査した

「子供の学習費調査」が

文部科学省より、結果概要が公表されています。

 

平成28年度子供の学習費調査

 

この「子供の学習費調査」は、子どもを公立または私立の

幼稚園、小学校、中学校、高等学校(全日制)に通学させている保護者が、

子どもの学校教育や学校外活動のために支出した1年間の経費の

実態をとらえることを目的として、平成6年度より隔年で実施されています。

平成28年度の調査では、全国1,140校29,060人を対象に行われ、

保護者が支出した1年間・子供一人当たりの経費

(学校教育費,学校給食費,学校外活動費),

世帯の年間収入の項目についての結果が公表されています。

 

以下、結果の概要です。

1)「学習費総額」は,以下の通りとなった。

・公立幼稚園 23万4千円 私立幼稚園 48万2千円
・公立小学校 32万2千円 私立小学校 152万8千円
・公立中学校 47万9千円 私立中学校132万7千円
・公立高等学校(全日制)45万1千円 私立高等学校(全日制)104万円

公立幼稚園,高等学校(公私立ともに)では前回調査から増加,

私立幼稚園は減少。その他の学校種では前回からほぼ横ばい。


2)「学校外活動費」(学習塾,習い事などへの支出)は,

公立・私立のいずれでも,進学が近づくにつれて増加している。

しかし高等学校(全日制)では,第1・2学年での支出額が増加しており,

第3学年との支出差は縮小する傾向。


3)幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間,

全て私立に通った場合の学習費総額は約1,770万円と,

前回調査から変わらず。全て公立に通った場合(約540万円)と

比べた場合の差は,前回から減少し3.28倍となった。

とのことです。

 

特に気になったのは学校種別の学習費総額について。

公立学校と私立学校の学習費総額を比較すると、私立は公立に比べて、

幼稚園で2.1倍、小学校で4.7倍、中学校で2.8倍、高等学校では2.3倍と

大きな差があります。

がその一方で、前回の調査より公立学校の支出増加がみられます。

 

また、学習費の中でも特に「学校外活動費」に目を向けると、

補助学習費、いわゆる塾や家庭教師の費用が突出しています。

 

教育無償化となった場合には、この「補助学習費」が

さらに増加するのではないでしょうか。

 

学校に出来ることは限られているかもしれませんが、

お客様の懐事情を知ることも重要な事です。

ご参考までに。

 

(文責:長森)

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学校基本調査-平成29年度結果の概要-

毎年発表になる、学校基本調査。

学校関係者の皆様にもすでにおなじみでしょう。

最新の結果が文科省HPに掲載されましたのでお知らせいたします。

 

学校基本調査-平成29年度結果の概要-:文部科学省

 

数多くの統計が紹介されていますので、目次をご覧いただき、

ご興味のあるものについてざっと確認されるのがいいでしょう。

ちなみに、学校基本調査に含まれる統計には以下のようなものがあります。

ご参考になさってください。

  • 学校数
  • 在学者数
  • 教員数
  • 進学率
  • 卒業者に占める就職者の割合
  • 在学者の推移
  • 本務教員数の推移
  • 就園率・進学率の推移
  • 高等教育機関への入学状況(過年度高卒者等を含む)の推移
  • 卒業者数,就職者数及び卒業者に占める就職者の割合等の推移
  • 全児童,生徒数に占める「不登校」の比率
  • 卒業者数

 

ブログで採り上げるのは、やはり気になる、「在学者数」。

報道発表資料には、こんなふうにまとめられています。

(1)在学者数等

在学者総数は減少

・幼保連携型認定こども園,義務教育学校,中等教育学校,特別支援学校,各種学校,大学,大学院の在学者数等は増加。

① 幼保連携型認定こども園は50万6千人で,前年度より10万8千人増加。
② 義務教育学校は2万2千人で,前年度より1万人増加。
③ 大学は289万1千人で,前年度より1万7千人増加。

新たな学校種が在学者数を増やしているのは当然として、

年齢の高い子どもたちが在籍する学校種についてはまだ増加している点も

注目ポイントです。

当然のことながら、少子化は年齢の低いところからやってきます。

 

ちなみに、「学級数」に着眼してみるとどうでしょうか。

レポートの各箇所から引用してまとめてみました。

  • 幼稚園:57,653 学級…前年度より 2,402 学級減少
  • 幼保連携型認定こども園:17,280 学級…同 3,558 学級増加
  • 小学校:272,774 学級…1,010 学級増加→うち「特別支援学級」数は 41,864 学級…同 2,478 学級増加
  • 中学校:120,016 学級…同 1,566 学級減少
  • 義務教育学校:948 学級…同 440 学級増加

小学校の学級数が増えているのは特別支援学級が大きく増えているからなのですね。

 

高等学校については「学校数」を見てみます。

学校数は 4,907 校(本校 4,820 校,分校 87 校)で,前年度より 18 校減少。
①国立の学校数は 15 校で,前年度と同数である。
公立の学校数は 3,571 校で,前年度より 18 校減少している。
私立の学校数は 1,321 校で,前年度と同数である。
中高一貫教育を行う学校数は併設型が 478 校,連携型が 90 校で,併設型は前年度より 13 校増加,連携型は前年度より 3 校増加している。

学校数の減少が始まっていますね。

今後はこの傾向が強まっていくことが予想されます。

 

経営環境を把握し、未来志向の学校づくりを進めていきましょう。

 

(文責:吉田)

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増税どうして会社員ばかり?

税制改正のニュースは年が明けると一気に加速してきます。

通常国会が始まり、新しい税制も「案」から「法律」へと姿を変えていくからです。

それにしても今年の税制改正、なんでそうなるの?!…とお嘆きの

私学勤務者さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

日本経済新聞がこんな記事を掲載しています。

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご容赦ください)

 

この記事、まずは今回の会社員増税についてまとめてくれています。

22日に召集する通常国会には、2018年度税制改正関連法案が提出される。注目は現役世代の会社員の増税だ。年収850万円超の会社員が対象で、年収900万円なら年1万5千円の負担増になる。17年度の配偶者控除見直しに続き、サラリーマンの負担が増す。自営業者や高齢者の税負担はそれほど変わらず「取りやすいところから取っている」との声もある。

 

この記事を読み進めていくと、このようなことが書かれています。

 

  • 今回の所得税改革は表向きには「働き方の多様化」を後押しするものである
  • しかしこの改革は直前の衆院選で与党の明確な公約になっていなかった
  • しかも、いわゆる「クロヨン(税務署による所得の捕捉率の差を示す言葉)」の見直しは見送りとなってしまった
  • 専門家談:「クロヨンに触れないまま、給与所得控除を縮小することは無理がある」「財政再建を考えれば高所得者への増税は必要だが、それだけでは政治的説明コストを避けている」
  • ただし、農家や自営業者の声は農協や商工会などの組織を通じて与党に届きやすく、投票率が高い高齢世代と併せ、負担増に踏み切りにくいのが実情である

 

今回の税制改正ではここで指摘されていることが現実に起こっています。

特に最後に挙げた1文には目を凝らしておくべきではないでしょうか。

この結果、私学に在籍される教職員各位には

増税対象者」が多く発生するものと考えられるのですから…

 

日本では「源泉徴収」「年末調整」が普及しているため、

お給料をもらっている方々は

税金を払っている意識がどうしても希薄になりがちです。

事業者は税金を納めるための資金繰りも考えねばなりませんから、

その意識の差は広がる一方です(税に携わる私の強い実感です)。

今回の税制改正の一因が「税に対する意識不足」だとすれば、

これもまた、教育機関として一考の余地があるでしょう。

 

ちなみに、会社員が使えそうな節税の方法はご存知でしょうか。

住宅ローン控除は有名ですが、今後はこれのみでなく、

セルフメディケーション税制をはじめとする医療費控除、

さらには寄付金控除等にも目を向けて頂きたいと思います。

そして、学校に通う子どもたちにも、税金や税制のことを

折を見てお伝えいただければと思います。

 

(文責:吉田)

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学校保健統計調査-平成29年度(速報値)

5歳~17歳を対象とした文部科学省の平成29年度学校保健統計速報によると

裸眼視力が1.0未満の小中学生の割合が過去最高になっているそうです。

以下、文部科学省より公表されている資料です。

 

平成29 年度学校保健統計速報

 

この調査は、学校における幼児、児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにすることを目的として、昭和23年度より毎年実施されている調査です。

なお、今回の統計調査の確定値に関しては3月に文部科学省から公表される予定となっています。

 

調査結果のポイントとして以下が挙げられています。

 【発育状態調査】
(1)身長の平均値の推移は,平成6年度から13 年度あたりをピークに、その後横ばい傾向。
(2)体重の平均値の推移は,平成10 年度から18 年度あたりをピークに,その後減少もしくは横ばい傾向。
(3)肥満傾向児の出現率の推移は,年齢層によりばらつきはあるが,平成 18 年度以降で見る
と概ね減少傾向。

【健康状態調査】
(1)むし歯に関しては,ピーク時(昭和 40~50 年代)より減少傾向が続いており,中学校及び高等学校で過去最低。
(2)裸眼視力が1.0 未満の者は小学校及び中学校で増加傾向にあり,過去最高。

とのことです。

 

また、資料には主な疾病・異常等の推移を表にまとめられているのですが

視力1.0未満の小学生はなんど32.46%もいるそうです。

中学生は56.33%と2人に1人以上が近視という状況です。

これは、スマートフォンタブレットなどの携帯端末の影響が大きく出ているのではないでしょうか。

 

小学生の約3人に1人が視力1.0未満の状況を

「なんだそんなものか」ととるか「これは大変な状況だ」ととるか

意見の分かれるところだと思いますが、

失明の原因TOP5には強度近視がランクインしており、

「たかが近視」などとはいっていられない状況なのです。

 

昭和54年(1979年)の調査と比較すると、

当時は1.0未満の小学生は約17.9%と今の約半分程度です。

一般的に年齢が若いほど近視が進みやすいと言われていますので、

早めの対策が大切です。

これは学校だけの問題ではないので、ご家庭に対する啓蒙活動や

もしかすると指導も必要かもしれないですね。

 

この他にもさまざまな健康状態調査結果が公表されており、

むし歯に関してはピーク時(昭和 40~50 年代)より減少傾向が続いており,

中学校及び高等学校で過去最低を記録しているそうです。

 

私自身も普段は何気なく過ごしているのですが、

「お腹でてきているなぁ」や「前よりも疲れやすくなったなぁ」と

感じることが多々あります。

自分を見つめ直すためにも、しっかりとした検査と、

正しい生活習慣で過ごさなければならないと感じました。

 

学校経営も同じく、普段は何気なく日々進んでまいりますが、

多くの企業や法人が年度末決算を控えるこの時期に、

一度、健康診断してみるのはいかがでしょうか。

 

(文責:長森)

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平成29年度私立高等学校等授業料等の調査結果について

どうしても気になるのがお金の話。

今年度も私学の納付金の統計が発表になりました。

文科省HPより。

 

平成29年度私立高等学校等授業料等の調査結果について:文部科学省

 

以下、ざっと見ておきましょう。

1 平成29年度私立高等学校等の生徒等納付金平均額(年額)
(授業料/入学料/施設整備費等/計/対前年度増減率の順に記載)

・幼稚園:277,796円/59,360円/34,012円/371,168円/1.5%

・小学校:431,583円/187,547円/194,183円/813,313円/0.6%

・中学校:413,655円/188,427円/185,296円/787,378円/0.6%

・高等学校:396,313円/162,356円/169,611円/728,280円/0.5%

幼稚園の伸びが若干大きくなっていますね。

金額的には小学校が一番高くなっています。

 

3 平成29年度私立高等学校等の受験料平均額
(受験料/上昇率の順に記載)

・幼稚園:2,566円/3.93%

・小学校:17,045円/△0.02%

・中学校:17,939円/0.21%

・高等学校:16,007円/0.45%

こちらも幼稚園が伸びています。

ただ、絶対額が小さいので平均値にあまり意味がない可能性もあります。 

小学校は逆に下がっていますね。

 

ちなみに、高等学校の納付金のここ数年の推移は以下の通りです。

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なお、これらはあくまでも全国平均です。

地域差もありますから、各校園所在の自治体ごとのデータもご確認いただければと思います。

 

ご参考までに、私立大学等の納付金も調査結果が出ています。

私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果について:文部科学省

大学院を除けば、こちらも決して大きな伸びではありませんが、

いくらかは値上げがなされている格好です。

 

「値決めは経営」(稲盛和夫氏)です。

適切な値決めで、健全経営をお続けください。

 

(文責:吉田)

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2020年の教育改革に関する小学校教師の意識調査

2018年度4月より新学習指導要領への移行措置がスタートするにあたり

個別指導の学習塾「明光義塾」を全国展開する株式会社明光ネットワークジャパンは、

全国の公立・私立小学校の教師221名を対象に、

『2020年の教育改革に関する小学校教師の意識調査』を実施しています。

 

resemom.jp

 

この調査では、小学校の先生方がどのように考えているのか、

期待と不安の入り混じったリアルな意見が寄せられています。

以下、調査資料の抜粋です。

 

「今後の社会変化に耐える人材を養うために必要」

「何を学ぶか、どのように学ぶかなどがかなり明確化されていると思う」

「オリンピックに向けて、近年の動向にふさわしい」

といった賛成意見や、

 

「趣旨は賛成であるが、現場では人・準備の時間・設備が不足している」

「時間数など今後考えていかなければならない問題がある」

といった不安に思う声も聞かれています。

 

また、自由回答の一部には、

・これからの時代は英語力は必須だと思う。
・未来の子ども達に必要なことが盛り込まれている。やっと来たかという感じ。
・時代の要請を取り入れていて良いが、国語の時間は増やして欲しい。やはり国語力は大切。
・これまでの"生きる力"から"生きた力"へつなげる理想的な在り方が説かれているが、時間の確保が厳しくなってきている。
・理想的だが現場がついていくのは大変
・受け止めて実践することが大事

といった意見も寄せられています。

 

直接指導される先生方にとっては業務負担が大きく増える可能性があるので

さまざまな意見が寄せられていますね。

 

理想と現実のギャップは確かに大きいように感じます。

 

働き方改革の一環として

長時間労働の削減や業務効率化を進める動きが広がってきていますが、

まだ道半ばといったところでしょうか。

新たな取り組みがしっかりと実現されるよう

教育改革が実現可能な体制づくりが実行されることを期待しています。



(文責:長森)

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