新たな学習指導要領の策定に向けた作業が始まりました。
このタイミングに合わせて、
日経新聞では力のこもった記事が上がっておりましたのでご紹介します。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
昨年12月、文部科学大臣は学習指導要領改訂を
中央教育審議会に諮問しました。
今回の指導要領は2030年代の学びを決める重要な議論。
ただ、10年前の前回改訂の諮問では
小学校英語の正式教科への格上げ、
「18歳選挙権」をにらんだ高校の新科目「公共」の検討、
といった目玉があったのに比べると、今回の諮問は
「全体としてポイントがつかみにくい」と、
今回の諮問に教科・科目の再編はなく、年間の総授業時間数は「増やさない」と早々にクギを刺した。ある中教審幹部は「マイナーチェンジでよい」と話す。
まさに激変する社会の中で、指導要領がマイナーチェンジでいいはずはなく、
そもそも議論に向かう方々の心持ちがそれでいいのか、と思ってしまいます。
気を取り直して今回の改訂に目を向けた場合、中丸氏は
①AI・デジタル化への対応
②学習観の転換の徹底
③指導要領の現場目線での作り直し
の3つがポイントではないか、そしてこうもおっしゃっています。
これだけ変化の速い時代に改訂が「10年に一度」でよいのかどうか。この点で「情報技術など変化の激しい分野で最新の教育内容を扱うことを可能とする方策」が諮問に盛り込まれたのは興味深い。
今回の記事は、教育の枠組みを定める国の政策として、
いくつかの視点を私たちに与えてくれるものだと感じます。
その一方で、学校の中でも特に私学に関わる私たちにとって、
自校園がどのような教育方針や教育技術を持つべきかを考えるための
ヒントを与えてくれてもいる、と思います。
例えば、
児童生徒に1人1台の学習端末がある環境を前提にした改訂は今回が初めてだ。指導要領の枠組みそのものを変えるぐらいの意気込みで、柔軟な議論をしてほしい。
との記述がありますが、大胆な方針を打ち出すことに消極的な国に対し、
各私学は現在の枠組みを越えて、現代の、すなわち最新の環境を前提とした
あるべき教育のあり方を考えてもよいのではないでしょうか。
記事には以下のような着眼点も与えられています。
・情報活用能力の抜本的向上
→日本は高校に教科「情報」があるが、小中学校にはない。
義務教育段階の情報教育をどう充実していくのか。
・学習観の転換
→「教師が知っていることを子どもに教える」という、
伝統的な知識伝授のモデルを根本から変えうるAIの出現により、
子ども自身が友達や教師、AIといった周囲の学習資源を活用しながら
学んでいくスタイルへとどのように進んでいくのか。
・カリキュラムオーバーロードの解消
→「何が過剰なのか」の見極めと、
各校園の裁量による教育実践を進められるか。
学習指導要領改訂の時期は、
貴校園の教育内容を根本的に再構築するチャンス、
とも言えるかもしれません。
慎重かつ大胆に、あるべき教育を探究していただければと思います。
(文責:吉田)