先月マスコミでも報じられましたので、
私学関係者各位にはすでにご承知かと思います。
経営困難事例が増えていることを改めて重く受け止めておくべきでしょう。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
私立大を運営する全国567の学校法人のうち、101法人が債務超過などにより経営困難な状況にあり、うち16法人が自力での再生が極めて難しい状態であることが(5月)19日、分かった。少子化で私大経営は一層厳しくなることが予想され、学生の募集停止のほか、再編・統合を選ぶ大学の増加は避けられない。
日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)が提供されている
財務分析指標はすでにご活用いただいていることと思います。
経営状態を把握するため、レッド・イエロー・グリーンの3色に
色分けされたゾーンのいずれに該当するかで状況の危険度が分かる、
というものです。念のため、資料のリンクを貼っておきます。
今回は2022年度の各法人決算の分析結果が公表されたのですが、
レッドゾーンに分類された法人が16あり、
イエローゾーンに該当した法人が85あったそうです。
レッドゾーンとは
- 教育活動資金収支差額が2年以上赤字
- 外部負債が運用資産を超過
- 修業年限以内に外部負債を返済できない
のすべてに該当するケースですので非常に深刻です。
これを記事では
「自力での再生は極めて困難で26年度までに破綻する恐れがある」
としています。
ちなみに、今回の結果でグリーンゾーンに該当したのは全体の58%。
レッドとイエローの割合は18%となり、2021年度調査より5ポイント増えています。
今回の結果は大学法人が対象ですが、高等学校法人他についても
厳しい状況になっているケースは増えているのではないかと思います。
弊社が近年関与を始めた私学には、いわゆる経営改善計画の提出を
義務付けられた学校法人さんが複数いらっしゃいますので、
経営が厳しくなっていることを実感せずにはいられません。
学校は大型船です。
本来、とても安定感のある存在なのですが、
事が起こってから舵を切るのは至難の業でもあります。
ちょうど決算がまとまるこの時期に、
少なくとも決算内容の十分な把握を行っていただき、
経営課題を抽出したうえで改善活動を進めていただければと思います。
その行動が早ければ早いほど、改善は進みやすくなるはずですので。
(文責:吉田)