管理職の心構えについて、大いに気付きをいただいた記事です。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
学校に限らず、どの企業や組織においても、スタッフのメンタルケアは
非常に重要な課題で、そのような現場に携わる専門家として、
筆者はいろいろとご経験されてきているようにお見受けしました。
筆者は、職場のストレスで疲弊した従業員と面談した際、
できるだけ「その従業員を疲弊させてしまった管理職」とも
面談するようにしているそうです。
すると、管理職も決して悪意があったわけではなく、
求められる管理職像の変化に戸惑っている様子で、
部下への接し方がわからなかったのだろうと感じるときがある、とのこと。
上意下達の同質な組織で部下を統率する父性的な役割を求められていた伝統的な管理職像は、フラットな組織で多様な部下を育成していく母性的な役割を重視したものに変化しつつある。現在の管理職は新しい管理職像を作り出さなければならない難しい世代だ。
父性から母性へ、というのは言い得て妙だと感じます。
ひょっとすると私学には当てはまりにくいかもしれませんが、
国内の多くの職場においては、管理職は「組織を引っ張る存在」として
長く認識されてきたように感じます。母性が必要となった今、
管理職の役割は大きく変化したということを知ることが大切ですね。
管理職向け研修で、「傾聴・共感的な対応」が一つの技法として紹介されることが増えてきたが、その根底にあってほしいものは他者を愛する、尊重する気持ちだ。他者への親愛の情があるからこそ、コミュニケーションを取りたくなり、傾聴したくなる。他者への親愛の情は他者と助け合うことで育まれる。人を助けることが上手な人は、人に助けられた経験を持つ。互いの苦手を補い合うチームワークを経験した者は、自身の弱みを隠さず、他者の得手不得手を尊重できるリーダーとなる。
学校の場合、管理職に昇格した教職員はある意味「成功者」であり、
そのことが他社理解を阻害することは確かにあるように思います。
記事にも、
自分の中だけで完結する仕事で成功体験を積み重ねると、自己愛が肥大して他者の欠点ばかりが見えてしまい、厳しい評価はできても育成は苦手な管理職になってしまうのではと懸念する。
とあり、部下たちにとってはむしろ居心地の悪い職場になってしまう、
ということが現実にあるのかもしれません。
「傾聴・共感」という技法の研修は最初の一歩としての意義はあるが、根底にあるべき態度や心持ちを育てなければ十分な効果はあがらない。「候補者はたくさんいるので選抜だけできれば十分」という恵まれた会社は少なくなり、多くの会社はマネジメント層を育てなければならない。他者と助け合う経験は、他者を尊重する管理職を育てる。そのような経験を社員に多く提供できる会社は、よりよい管理職に恵まれるはずだ。
さて貴校園には、助け合う経験、助け合う環境があるでしょうか。
少なくとも、傾聴や共感を実践できるだけの余裕は必要な気がします。
宣伝のようになってしまって恐縮ではあるのですが、
9月15日の学校経営セミナーではまさにこのことを扱おうと思っています。
現時点でその必要性を感じにくい方も多くいらっしゃることは承知しつつ、
これからとても大切になる考え方だと私は思っておりますので、
この機会にぜひともご参加いただければ幸いです。
(文責:吉田)