先週のブログでも採り上げた日経新聞の連載、
「教育への投資を考える」。
連載自体は終了しましたが、興味深い記事がいくつも掲載されました。
本日は非認知スキルに関する記事をご紹介します。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
今回の記事は冒頭、「人的資本」に関する記述があり、
この点については正直なところ、あまり良く理解できなかったのですが、
記事の後半で、タイトルにある非認知スキルと認知スキルについての
記載がなされています。そこから見ていくことにしましょう。
経済協力開発機構(OECD)の国際成人力調査(PIAAC)をもとにした
国際比較研究で、日本の結果を見てみると、次のことが言えるそうです。
読解力、数的思考力、IT(情報技術)を用いた問題解決などの認知スキルは、それぞれ単独では賃金と正の相関を持ちますが、全体として見ると数的思考力のみが賃金と正の相関を持つようです。
具体的なところは分かりませんが、
●●力と言われるものが賃金と強い相関を持つことはあまりないのかな、
と感じました。
国語や数学の授業で身に付けられる力は、必ずしもそれだけで
社会人としての力量を示すことはないのかもしれません。
さらに興味深いこととして、非認知スキルを構成する5つの因子
(ビッグ5というそうです)と、労働市場での成果の関係を
日米比較したところ、「外向性」と「勤勉性」は日米ともに
所得と正の関係を持つ一方、「協調性」は、日本では所得と正の関係、
米国では負の関係があったとのこと。
日本の職場では重視されることの多い協調性は、
世界標準とはいかないのかもしれません。
ちなみに、この記事の筆者の研究によれば、
認知スキルと非認知スキルが相互に関連することを念頭に置き、
両者を同時に考慮した分析を行うと、
認知スキルについては認知性熟慮テストや数的思考力が、
非認知スキルとしては外向性や自尊感情が、
それぞれ賃金と正の相関を持つことが発見されたそうです。
賃金との相関関係があるから大切、というわけではありませんが、
学びが経済力に一定影響を及ぼすという結果は
ある意味自然な印象があります。
今回の話題は少々ややこしい話でしたが、最後のまとめを引用して、
学校教育との関連を指摘しておきたいと思います。
このようにスキルは労働市場の成果と関連しそうなことがわかります。すると、学校教育などでこれらのスキルがどのように形成されるのか、スキル形成のためにどのような教育施策が有効なのかに着目する必要性がありそうです。
(文責:吉田)