「ESG」という略語はそろそろ定着してきた、と見ていいのでしょうか。
ニュースでも採り上げられることが増えた印象はありますが、
関連債は順調に増加しているようです。
日経新聞より。
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今さらではありますが、
ESGは「環境」「社会」「ガバナンス」の頭文字を拾った略語で、
長期的な企業成長のために必要な視点とされているものです。
ESG(環境・社会・企業統治)債券の発行が急増している。国内企業の2020年度(4月~21年3月)の発行額はすでに1兆6000億円を超えて過去最高になった。債券の発行額(国債除く)に占める比率も1割まで高まり、資金調達の新たな柱になりつつある。日本は欧州などに比べてESG関連の投資で出遅れており、今後も新規発行の増加が続きそうだ。
SMBC日興証券によると、ESG債の2019年度の実績は1兆3380億円で、
この4~11月の発行額は1兆6574億円と、既に大きく上回っています。
12月以降も東京ガスや東急、JR東日本などが発行を予定しているとのことで、
2020年度としては2兆円規模になりそう、と報じられています。
ちなみにこの記事には、こんなことが書かれていました。
キリンホールディングスは11月27日、初の環境債(5年債)を100億円発行した。調達した資金は使用済みのペットボトルなどを原料にする再生PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂の調達などに充てる。
発行に先立ち投資家を募ったところ、年利は0.11%と、仮条件の中でも最も有利な形での発行となった。6月に起債した普通社債(5年債)よりも利率を0.07ポイント抑えられた。同社によるとコロナの感染が本格化した今春以降に発行された5年債で利率は最低水準という。これまで接触のなかった学校法人などにも購入者が広がった。
私がこの記事を読んで気付いたことが2つあります。
まず1つに、ESGという観点、
すなわち短期的利益よりも長期の視点が経営に求められることが
投資家からも認知され、重視されるようになってきたということです。
これは経営上当然のことではありますが、
投資家はどうしても短期の視点を強く持ちがちで、
そちらに経営が引きずられることもままあります。
学校経営も同じで、短期よりも中長期を見据えてどうするか、
という観点を強く持つことの重要性を改めて感じました。
そしてもうひとつ、私学の資産運用の基準として、
各種格付けのみに頼るのではなく、
ESGといった「企業方針」も投資対象基準のひとつとして
考え得るのではないでしょうか。
収入が限定的になる中で、もし余裕資産があるなら
資産運用も視野に入れておく必要があります。
貴校園の資産運用基準を確認されたうえで、
適切な内容を担保していただければと思います。
(文責:吉田)