実際にはできるのに、できないという意識が強い。
自己評価の低さの表れでしょうか。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
国際教育到達度評価学会(IEA、本部オランダ・ドイツ)は4日、小学4年と中学2年が対象の国際学力テスト「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の2023年の結果を発表した。日本は4教科全てで世界トップレベルを維持する一方で、「理数が得意」とする児童生徒の割合は減少した。
上記引用に登場するIEAは、60以上の国・地域の教育研究機関で構成されており、
これまた引用に登場するTIMSSというテストを4年に1回実施しています。
2023年調査は58カ国・地域の小学校と44カ国・地域の中学校が参加。
日本でも同年3月に、約7800人の小中学生が受検しました。
順位のランキングだけを見るのは本意ではありませんが、
記事にあった表を以下に引用します。
日本の平均点の順位は上表の通り。
小4理科の順位がやや低く見えますが、前回調査から2つ下げたそうです。
それでもすべて6位以内となっていますから、
相対的には良好な評価が得られていると言っていいでしょう。
しかしながら、上記4つのカテゴリ全てで、
「得意だ」とする割合が前回調査より減少した、とのこと。
「算数は得意」と回答した小4は56%で、国際平均から8ポイント低く、前回調査から9ポイント下げた。「理科は得意」と答えた小4は前回調査を5ポイント下回る81%。中2理科は同2ポイント減の45%だった。
得意との意識がなぜ低くなるのか。
あるいは苦手意識がなぜ強くなるのか。
以前から指摘されてきたのは受験勉強で、
「数式や図形などを使った問題を解く理数系の授業は、
児童生徒の生活や関心と結びつきにくくなりがち」
であることが今回の記事にも書かれています。
そしてそれ以外にも、筑波大の清水美憲教授は、
小4はコロナ禍に低学年期を過ごし、
プリントを用いた個別学習が中心になってしまったことで、
学びの楽しさや得意さを感じる子どもの減少につながった可能性がある、
と分析されています。
そしてもう一つ気になる結果が。男女差です。
男女別にみると、小4理科以外は、得意と答えた女子が男子に比べそれぞれ20ポイント程度低かった。中学女子は数学・理科ともに2~3割しか得意だと認識していなかった。
それぞれの勉強が「楽しい」と感じる割合も、全教科で女子が男子を下回った。平均得点でも差があった。
実際に得意かどうかよりも、得意だとか好きだとかいう感情のほうが
進路には影響しやすいとも感じます。
リケジョが少ないとの指摘の要因もこのあたりにあるかもしれませんし、
「数学を使うことが含まれる職業につきたい」と答えた中2が22%
(国際平均よりなんと26ポイントも低いそうです)しかいなかったことも、
決して無関係ではないと思います。
この記事には理数好きを育てようとする学校の取組も
少しだけですが掲載されています。
貴校園でも理数好きの生徒さんはきっとそれなりにいらっしゃることでしょう。
その生徒さんの意欲をより高める授業や取組はなされているでしょうか。
私はいくつかの学校で理科や数学の授業を参観させていただきましたが、
教える側の力量によって「好き」を育てられるかどうかが
大きく変わってくることを感じずにはいられませんでした。
ぜひとも興味関心を引く授業の組立と実践をお願いしたいと思います。
(文責:吉田)