年度末が近付いています。
というわけで、今日は退職金の話題をお届けします。
日経より。
中小企業、特に小規模あるいは零細企業では、独自の退職金制度を持つことはなかなか難しいのが現実。
ですので、この記事にある「中小企業退職金共済」、略して中退共は規模の小さな企業の退職金制度を補う、貴重な存在になっています。
その中退共で運用成績が上がったとのニュース。
おそらく大阪府下の私学の皆さんは「うらやましい」と思われたのではないでしょうか。
大阪府の私学が加入している、公益財団法人大阪府私学総連合会の退職資金事業においては昨今、補助金の減少に伴い苦しい状況が続いている、とのお話を耳にしています。
そしてその影響は各私学職員の退職金にも当然及んでいて、今後退職金の掛け率が上がり、支給率が下がることが予定されているようです(正確には年数に応じて増減があるのですが、ここでは大括りな話にさせていただいております、ご容赦ください)。
退職金というのは個々の金額が決して小さくなく、また日本の人口における年齢構成がそうであるように、定年を迎える方々の人数も決して少なくないため、支給総額は相当程度に上ります。
よって、会計処理上も退職時に一気に費用化するのではなく、毎年の掛金あるいは引当金を費用にすることで平準化が図られているわけです。
(ちょっと話はそれますが、今回の支給率の変更を今年度決算において一時に処理すべし、とのお上からのお達しがあったとの話も聞いていますが、それはあまりに乱暴ではないかと思っています。会計基準の変更に準じた取扱で、数年(各校の影響額を勘案し、3~5年程度)に分けて計上させるのが筋でしょう。)
ところが、外部積立先がこのような状況では、制度上は「確定給付型(決まった額を支給する)」であっても、実質は「確定拠出型(支給額は変動する)」のようになってしまいます。
この問題に限らず、各私学の退職金制度を拝見させていただくといろいろな課題が見つかります。
退職金は人事制度の中でも特に変革の難しいもの。
もしその見直しを検討されるのであれば、とにかく早めに考察を始めることが肝要です。
運用改善への期待もしつつ、自校にできる改善を進めてみませんか。
(文責:吉田)