寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

品川区、全小中学校の体育館に冷暖房

今年の夏も暑さが厳しかったですね。。。

と、すでに涼しくなった今ではなかなか思い出せないほど、

人間というのは「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ものだなあ、

と苦笑している私です。 

 

さてその夏の暑さはもはや災害レベル。

そして、同時に本当の災害が起こることも珍しくなくなってきた昨今。

東京都品川区ではこんな取組が計画されているようです。

日経新聞より。

www.nikkei.com

 

東京都品川区は区立の全小中学校の体育館に冷暖房を導入する。熱中症などの健康被害から子どもを守るとともに、災害時の避難所に施設を使う際に寒さや暑さをしのげるようにする。2018年度に改修に必要な調査などを実施し、19年度から工事を順次進める計画だ。

 

公立校の施設の充実度が高まってきています。

避難場所としての存在感も相まって、

予算計上が促進されやすい環境にあることも一因でしょう。

 

これに比較すると、私学はかなり厳しい状況です。

耐震についても校舎そのものについては施工が進みましたが、

天井等の非構造部材についてはそこまでではありません。

そしてここへきて体育館の冷暖房です。

予算の多くを自ら捻出せねばならない私学にとって、

これからその工事を、となると簡単ではないでしょう。

今後の予算編成に特に留意が必要です。

 

(文責:吉田)

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教員勤務実態調査より

少し前に発表になった調査結果です。

文部科学省HPより。

 

教員勤務実態調査(平成28年度)の分析結果及び確定値の公表について(概要):文部科学省

 

今回の調査結果はなかなか充実していて、

こんな情報もアップされていますよ。

 

教員勤務実態調査(平成28年度)の分析結果について

 

以下、気になるものを少しだけ見ておきましょう。

 

まずは勤務時間について。

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どうでしょうか?

結構興味深い結果が出ているように思います。

 

個人単位での分析では役割という要素が大きいことが分かります。

ついては、役割分担を変える、あるいは組織図を変えることが

長時間労働の是正に役立つことが期待できますね。

 

学校単位では行事や部活動などの影響が大きいようですね。

出勤管理の有無もやはり重要な要素になっているようです。

教諭ごとの個人差が大きい業務を見ても、同様の傾向に気づかされます。

 

もうひとつ、メンタルヘルスについても見ておきましょう。

 

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ここでも勤務時間の長さが重要な要素であることが分かります。

 

教育には時間が必要、ではありますが、

教職員もひとりの人間ですから、

時間をかけること以外の方法についてもしっかり考えねばなりませんね。

 

(文責:吉田)

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財務省、来年から部下が上司評価

公務員の人事考課に関する話題が報道されました。

日本経済新聞より。

 

www.nikkei.com

 

 財務省は学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の改ざん問題などを受け、再発防止に向けた省内改革案をまとめた。部下が上司を人事評価する「360度評価」を2019年中に導入するほか、職員が不正を告発する内部通報制度を整備する。上意下達とされてきた風土が不祥事につながったとの反省を踏まえ、法令順守を徹底する組織に立て直す。

 

360度評価は私自身も前職時代に数年間実施した経験があります。

人事考課制度はその種類を問わず、一定の時間が必要になりますが、

360度評価は特にそのことが顕著で、集計担当者に大きな負荷がかかるのも特徴です。

なぜなら、通常の人事考課であれば考課者にその結果が伝わって当然なところ、

360度評価では匿名性が適正評価の肝になるため、

匿名性を維持したまま評価結果をまとめ、

評価に付されたコメントを集約していかねばなりません。

誰かが上司に対して芳しくない評価をして、

それが基で人事が采配されたら…やはり匿名性は必要です。

財務省の場合は

「その人に出てきてもらって説明してもらおうじゃないか」

ということになるかもしれませんが。

 

 360度評価は、上司が部下を評価するだけでなく、同僚、部下など立場が異なる複数の関係者で複眼的に対象者を評価する方法。部下による評価は外務省や経済産業省などで導入済みで、財務省は19年中の本格運用をめざす。地方組織にも適用する。

 

さてこれで森友問題のような事件が根絶されるのでしょうか。

今後の財務省に注目ですね。

そして今回の記事で360度評価にご興味を持たれた方は、

ぜひとも慎重に検討していただければと思います。

(いつでもご相談ください)

 

(文責:吉田)

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子供の学習費調査に関する研究会 検討のまとめ

子供の学習費調査、ご存知でしょうか。

教育に対する支出の状況を知るため、

私学にとっては重要な統計のひとつであると感じております。

その調査に関する改善プランが、文科省から示されました。

 

これからの子供の学習費調査に向けた改善プラン:文部科学省

 

本プランの概要について上記リンク先に記載がありました。

大きく3つの項目から成っています。

 

まずは1つめ、「調査事項の現代化」についてです。

学校外活動費の調査項目「国際交流体験活動」(留学等に対する家計支出)を新設
学校教育費の調査項目「修学旅行・遠足・見学費」を「修学旅行費」と「校外活動費」に分割(→修学旅行費と校外活動費を個別に把握・集計可能に)
世帯に関する質問「生計を一にする保護者等」を新設(→学習費支出とのクロス集計を通して、ひとり親か否かによる学習費支出状況の差を把握可能に)

国際交流、校外活動など、今後に向けた教育施策の方向性も垣間見えますね。

こういったことから国策のトレンドを知ることもできそうです。

 

次に「統計精度向上に向けた標本設計の再構築」について。

抽出・結果集計に使用する市町村人口規模区分を見直し(将来人口推計に基づく調整)、高等学校の学科区分を見直し(総合学科及び「その他の専門学科」の生徒数増等を受けた調整)
私立小学校の全学校調査をやめ、3集団化による交替での調査実施学校選定へ
私立小・中学校の学校抽出基準を「授業料と施設整備費等の合計額(初年度以外の学年における金額)」に変更
学年の規模が小さい(学校抽出基準に満たない)学校も調査対象とできるように変更
目標精度(学習費総額の標準誤差率1.80%等)に基づき、全学校種の調査対象数を再設定(→目標に満たない学校種の精度向上に向け調査対象を拡大(全国約1,600校、約5万3千人へ))

これは統計に対する信頼度を上げるために必要なことですね。

個人的には赤文字にさせていただいた点がなるほど、と思わされました。

初年度か初年度以外か。後者の方が基準としては適切な気がします。

 

最後に、「回答者負担軽減のための調査手法見直し」について。

調査事項の絞り込み(→より分かりやすい調査票に改善し、回答の分量も削減)
 初年度学校納付金(入学金・初年度施設整備費等)の回答欄を独立
 学校教育費の調査項目から「入学検定料」を削除、及び学校外活動費の小々分類(有形財とサービスの別)を全て削除
 学校教育費の調査項目「後援会等会費」を新設
保護者調査票と学校調査票の2調査票による調査手法を廃止、保護者調査票に一元化(→学校の回答負担軽減、学校納付金等の把握正確化)
保護者調査にオンライン調査を導入(→学校・都道府県の事務負担軽減、保護者は手軽に回答可能に)
 紙方式とオンライン方式を併用、保護者が選択可能に
 オンライン方式は政府統計共同利用システムを利用

末尾にあるように、オンライン調査の導入が挙がっております。

手間を考えれば当然のことで、今ごろになって?と驚きます。

もし皆様の学校園において実施されている調査や意見聴取等が

紙のみ、となっているようであれば、方式の検討は必須でしょう。

 

今後はエビデンス(根拠)に基づく政策決定が進められていく予定です。

(EBPM、というやつですね)

私たちも賢く統計を活用していけるといいですね。

 

(文責:吉田)

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バイト時給、2.4%高

久々に給与水準に関する最新情報をお届けしましょう。

日本経済新聞より。

 

www.nikkei.com

 

 求人情報大手のリクルートジョブズが15日発表した三大都市圏(首都圏・東海・関西)の9月のアルバイト・パート募集時平均時給は、前年同月比2.4%(24円)高い1036円だった。10月の最低賃金改定に向けて時給を引き上げる企業が増加。低時給が多い販売・サービス職で特に影響が大きく、時給は過去最高を更新した。

 販売・サービス職は同3.3%高い1031円だった。コンビニなどで引き上げの動きが広がった。百貨店などで年末商戦向けの募集も増えた。

 同業大手のパーソルキャリア(東京・千代田)が同日まとめた全国の9月のアルバイト・パート募集時平均時給は、同2.1%(21円)高い1042円だった。

 

都市圏の時給は完全に4桁の時代に入ってきたようです。

職種別で見た場合、例えばコンビニでは最低賃金での募集も多いところ、

今回の集計では、時給単価引き上げの動きがみられたとのことです。

 

最低賃金自体もどんどん上がっており、

採用単価はここのところ急激に上昇しているように思います。

各校園におかれましては、今一度内部規程をご確認いただき、

採用力に問題はないか、法令違反はないか等、ご留意いただければと思います。

 

(文責:吉田)

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次世代リーダー育成のために…研修報告

先週、「中堅社員研修」という題目で2日間の研修会が行われました。

主催は弊社自身ではなく、公的機関。

(内容企画のコンペがあり、弊社の企画が採用されました)

そして実施されたのは大阪ではなく、関西の地方都市です。

集まったのはすべて地元企業の中堅社員。

中にはすでに管理職に就いている方も含まれていました。

 

丸2日間で14時間の研修、その内容は

・コミュニケーションを充実させる

・会議をよりよいものにする

・段取よく仕事を進める

・目標を掲げ、それを達成する

という4つの目的に沿った4部構成で実施させていただきました。

階層別研修としては「経営者」「管理職」「新人」といった区分もありますが、

中堅、と言われる方々にはそれに適したテーマがあります。

今回の企画においては

「組織運営」と「個」の両者をバランスよく、

ということを想定したつもりです。

 

定員は20名。早々に定員が埋まり、当日欠席もなく全員集合。

ですが、最初は周りにも知らない人ばかり、

会場は静まり返っていました。

外部の研修会ではよくある光景、かもしれませんね。

ところが1日目が終わる頃にはもうすっかり日常会話がなされる関係に。

帰り際、誰しもが「また明日!」と挨拶をして会場を後にする姿が印象的でした。

そしてもちろん、2日目の朝は賑やかにスタートを切ることができました。

 

研修会というのは学ぼうという志を持った方々の集合体ですので、

ぜひとも周囲とのつながりを作っていただきたいところです。

私が講師を務める研修会やセミナーでは必ず、

グループワークや名刺交換の時間を組み込むのですが、

そうでなくても、自分の周辺にいらっしゃる方と言葉を交わすくらいのことは

あってもいいのではないでしょうか。

 

中堅社員向け、と銘打った今回の研修会ですが、

終了後につらつら考えてみたところ、

これは「次世代リーダー研修」と言い換えてもいいのでは、と感じました。

私学においては人材の確保が大きな経営課題であるケースが多いところ、

今回のような内容はぜひとも各校園において実施していただきたいと思います。

教員、職員を問わず、きっと多くの気付きが生まれることでしょう。

 

実はこの研修、トータルでは3日間の研修です。

そのうち2日のみが今回行われ、あと1日は約1ヶ月後に実施されます。

その意図は

『あと1ヶ月の間に「やるべきこと」をやって最終日に臨みましょう』

ということ。

よって、上記4つのテーマそれぞれに宿題を出させていただきました。

その成果を1ヶ月後に持ち寄っていただくことになっています。

さて、1ヶ月後はどんな発表会になるでしょうか。 

 

(文責:吉田)

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学習塾100社連合

教育業界に大きな再編の波が来ているようです。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

塾・予備校の合従連衡が一段と進もうとしている。学研ホールディングス(HD)は全国の約100社からなる「塾連合」を11月に立ち上げる。Z会グループやベネッセHDも外部の塾・予備校との連携を広げている。学習指導要領の改訂や大学入試改革が2020年度に迫り、従来のノウハウが通用しなくなるとの危機感が背中を押す。IT(情報技術)を駆使する「エドテック」への対応も欠かせなくなっており、データを軸にした再編機運も高まっている。

 

学校がそのノウハウを活用しているケースも多くなってきた、学習塾。

進学に的を絞ればその専門性はもはや学校よりも上、

という見方もできるのかもしれませんが、

そんな学習塾が2020年度を控えて危機感を持っている、

との記事です。

 

さて、私学各校はいかがでしょうか。

今後に向けたカリキュラムの開発、そしてその実現のための体制整備と、

やるべきことがたくさんありそうですね。

残り時間は決して多くない、という認識をもって、

今後に向けた取り組みを着実に進めていきたいですね。

 

(文責:吉田)

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