先月公表された教科書検定の結果についておさらいしておきましょう。
日経新聞より。
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文部科学省は(3月)24日、2027年度から主に高校2年生が使う教科書の検定結果を公表した。教科を問わず、多くの教科書が人工知能(AI)を取り上げた。基本的な仕組みや利点を具体的に示すとともに、安全かつ倫理的に利用するための仕組みである「AIガバナンス」の視点も盛り込まれた。
記事の冒頭は上記引用の通り。
「教科を問わず、多くの教科書が…」
とあるので、具体的にはどのくらいなのだろう、
と思われた方も多いかもしれません。
記事でその後に続く文章を読みますと、
「AI関連の学習は工業など専門教科を除く196点のうち
3割の教科書に登場した」
とあります。
3割、というのは確かに多いのかもしれませんが、
少し拍子抜けしたのは私だけでしょうか。
とはいえ、そちらに教育内容が移ってきていることは事実です。
例えばある物理の教科書は
「AIの発展によって新しい物理法則を見いだすことも可能になるかも」
と、物理学への応用を紹介。
膨大な物質の組み合わせの中から優れた性質を持つ材料を見つけたり、
天体望遠鏡の画像を自動で分析したりする活用例が示されているそうです。
他にも下の表にある通り、まさにいろんな教科の教科書に
AI関連の内容が登場していて、思わず読んでみたくなりました。

上表にもある通り、AIの基本的構造やメリットだけでなく、
事実と異なる内容を生成する「ハルシネーション(幻覚)」や
生成物が著作権を侵害する可能性といったAIの「負の側面」に触れている
教科書も多くあったようで、さらに一部の教科書には
AIを安全に倫理的に使うために一定のルールや規制を設ける
「AIガバナンス」の視点も反映された、と記事に書かれています。
文科省は30年度ごろから順次実施される次期指導要領で、小中高校の情報教育を強化する方針。小学校では「総合的な学習の時間」で、中学校では情報・技術科(仮称)でAIの特性や仕組みを学ぶことを想定している。
今回の検定に合格した教科書は次期指導要領への改訂を待たず、
AIの学習内容を先んじて盛り込んだ、とも言えそうです。
新指導要領が実施された後は、よりいっそう、
児童生徒の学びの中にもAIが多く登場することになるでしょう。
そしてこういった制度やしくみ、ハード面が変化したとき、
最も重要なのがそれを受け止めて噛み砕く教員の動きです。
経済協力開発機構(OECD)による24年の「国際教員指導環境調査」(TALIS)によると、「過去12カ月の間に、AIを授業などで使った」と答えた日本の中学校教員は17%で、55カ国・地域中54位だった。質の高い授業を実施するためには、教員がAIへの理解を深めることも重要になる。
PwCジャパングループが2025年6月に公表した調査によりますと、
日本の企業のAI活用割合は55%で、米英とほぼ同水準だったそうです。
企業人の間ではAIへの関心はすこぶる高まっています。
学校は小さな社会であるはず、だとすれば、
教職員の学びが少なくとも社会と同程度までは進んでいることが必要でしょう。
貴校園でも、時代の変化を面白がってみませんか。
(文責:吉田)