こういうことが起きてしまっているんですね。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
国のオンライン学習促進策の一環として、低所得世帯などの公立高校生向けに調達された学習用端末の活用状況を会計検査院が抽出調査したところ、約9万5600台のうち3分の1が一度も使われていないことが15日、分かった。未使用の端末台数は補助金約12億7000万円に相当し、検査院は文部科学省に有効活用の方法を検討するよう求めた。
その目玉とも言える施策が1人1台端末確保だったと記憶しています。
今回の記事になっている端末の貸与対象は、
奨学給付金の受給世帯など低所得世帯の高校生とのことです。
このような状況は会計検査院の検査によって明らかになったわけですが、
ではなぜ貸与が当初の想定ほどされていないのでしょうか。
貸与が低調だった自治体では、生徒が私物の端末を学校に持参できる「BYOD方式」や、学校指定の機種端末を生徒が購入する方式を採用しており、調達時の想定より貸与の希望者数が少なかった。
調達当時は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う家計の悪化や低所得世帯の増加といった可能性を踏まえ、需要予測を多めに見積もって調達台数が決定された事情もあるという。
仮に家計の悪化が想定よりも進まなかったのであれば、
それはむしろよかったと総括できると思うのですが、
少々雑だと感じてしまうのは引用部前段の理由です。
つまり、BYOD方式を採用する学校がどのくらいあるのかを
事前に把握できなかったのか、さらには
学校指定の機種端末を生徒が購入する方式を採用する場合には
貸与制度のほうを優先適用できなかったのか、といった点が気になります。
コロナ禍という非常事態の中で限界はあったと思うのですが、
それですべてが許されるわけではない、とも思います。
公立校に回される予算の大元は、私学にも配分される文科省の予算です。
公立で無駄が発生してしまうと、
しかも今回のように10億円を超えるような規模ともなれば、
私学にその予算を回してほしい、という感情も沸き上がります。
今回の検査で「今後も利用予定がない」とされたものも相当数あり、
文科省は、教員が授業時や校務で使ったり、
生徒の端末が故障した際の代替機としたりすることを考えているようです。
さて、少々杜撰な国家予算消化を見てきたわけですが、
貴校園の予算管理は十分になされていますでしょうか。
予算は3月理事会を通した後に見る機会すらない、とならないよう、
これを一つの目標値として管理していただければと思います。
そして次年度予算のことを考える時期がやってきてもいます。
やるべきことをしっかり実現する、
一方で惰性的にやってきたことについて立ち止まってみる、
そんなことが予算編成の中で議論されることを願っています。
魂のこもった予算と計画を、貴校園でもぜひ。
(文責:吉田)