学校種間の連携がいっそう重要になってきているようです。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
小学校1年生の不登校が2年間で倍増している。入学直後の環境の変化に適応できず、登校に支障が出るケースが目立つ。専門家は新型コロナウイルスの感染拡大により他の子どもとの交流機会が減ったことや、幼稚園などとの教育方針の違いに戸惑う子どもが増えたことが要因とみる。児童の不安を減らそうと幼稚園や保育園との連携が進み始めている。
この記事には、小学校に入学した後、
5月を過ぎた頃から体調不良を訴え欠席が増え、
7月には不登校に至った子どもさんの様子が書かれていますが、
このような例はかなり多くなっているようです。
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
によりますと、小1の不登校児童は2022年度時点で全国で6668人と、
2020年度の3395人から約2倍に増えています。
10年前との比較ではなんと7倍にもなっているそうです。
なぜこれほど増えているのか。記事で指摘があるのは2点です。
1点目に、コロナ禍によって幼児期の過ごし方が変わり、
同年代の子どもと交流する機会が減ったために、
人間関係を身につける時期に交流が制限され、
トラブルへの折り合いの付け方などを学習しづらかった、
との見方があります。なるほど、それはそうかもしれません。
そしてもう1点が今回の記事のメインテーマ。
それは「幼稚園や保育園で主体性を重視される教育を受けた子どもが、
小学校の教育に戸惑うケースもあるのではないか」との指摘です。
この指摘に関しては、
幼稚園で主体性を重視した教育がなされているにもかかわらず、
小学校ではなぜそれができていないのか、という疑問を感じつつ、
いったんそれは横に置いて、幼保小の連携というメインテーマに
話を移しましょう。
対策として文科省が注力するのが、22年度に始めた「幼保小の架け橋プログラム」だ。幼稚園や保育園などと小学校が教育手法や目標を積極的に共有し、相互の教育の質を高める取り組みだ。不登校対策として始まった施策ではないが、入学前後に子どもが感じる心理的なギャップを減らす効果が期待できるという。
記事に挙げられている実例には以下のようなものがあります。
・広島県では、入学前の子どもたちが
「幼稚園などでどのような体験をしているのか」について
小学校の教員による把握を進めている
保育園と小学校、中学校の連絡協議会に地域の住民が参加している
・横浜市立本郷台小学校では、校長や1年生の担任が
子どもたちが通っていた幼稚園など約30施設の全てをまわり、
全員分の記録を引き継ぐことで児童に関する綿密な情報収集を行っている
こういった例は一定の効果を上げているようです。
同じ地域の他校園と連携することは、私学にとってはなおのこと、
ハードルが高いと感じられることもあるかもしれませんが、
今後はむしろそのような活動が自校園の付加価値を高める可能性が
大きいようにも思います。
ぜひともご検討、そして実現いただければと思います。
(文責:吉田)