このブログでも以前から何度か、待機児童の話題を採り上げていますが、
保育園の関係者各位よりもむしろ、
幼稚園の関係各位にお伝えするつもりで書かせていただいております。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
保育所などに入りたくても入れない「待機児童」の解消が遅れている。2021年度は新型コロナウイルスの感染拡大による利用控えで過去最少になったが、それでも5000人以上残った。公式に待機児童として算定されない「隠れ待機」も6万人以上いる。保護者の需要に合った保育所の整備が進まなければ、少子化の加速や子育て世代の就業率の低下を招く。
厚生労働省が8月27日に発表した統計によりますと、
2021年4月1日時点の待機児童は5,634人。
さらに、申し込みはしても特定園の希望や育児休業の延長などで
待機児童とは算定されない「隠れ待機児童」は63,581人となっています。
ここには、年度途中で申し込もうと考えている家庭の子どもなどは
含まれていないため、保育需要はその後さらに大きくなっている可能性も
あることが記事では指摘されています。
下のグラフを見ますと、待機児童数は減少してはいるものの、
まだかなりの数が存在していることが分かります。
特に急務となっているのは待機児童全体の9割を占める0~2歳の受け皿の拡大だ。法定の育児休業は最長でも子どもが2歳になるまで。この間に職場復帰を急ぐ保護者にとって希望の保育所に入園できるかがその後のキャリアを左右する。安心できる預け先があれば復職や再就職をしやすい好循環が生まれる。コロナ禍で20年にいったん落ち込んだ女性の就業率は21年に回復しており、厚労省は「保育ニーズも再び増加する」と自治体に整備の継続を求める。
保育所の整備は進んでいる、とはいえ、
現状において十分とまではいえない、というのが
全国平均としての姿かと思います。
一方で、幼稚園は定員を満たせていないケースも多く、
園児募集に苦戦されているという例も見聞きします。
そこで検討対象となってくるのが、幼稚園での低年齢児の受入。
おそらく、幼稚園ではどこでも一度はご検討されたことでしょう。
確かに収入確保策としては効果的ですし、
施設や人材の有効活用も図れる可能性が十分あります。
ただし、ご留意いただきたいのは、低年齢児の保育には
3歳児以上の保育と異なる点がいろいろある、ということ。
専門的な技術や方法論について私は勉強が不十分なのですが、
それでも、関わっている保育園と幼稚園から知る限り、
両者には重なりもあれば重なっていないこともあると感じます。
まずは子どもたちの保育が万全になされることが
受け入れの最低要件となるのは自明ですので、
ぜひしっかりと研究して臨んでいただきたいと思います。
そしてもう一つ、給食についても十分な検討が必要でしょう。
施設整備のための費用もさることながら、
食事の安全確保や食育の観点からも、
貴園の理念からしっかりと行動を組み立てねばなりません。
少子化の中において、ともすると収入確保、園児数確保に
力点が置かれがちな幼稚園経営ですが、
本質を見失わぬよう、各園で議論を深めていただければと思います。
(文責:吉田)